第23話

「…僕とも交換しよ」


 その横から差し出されたもう一つのキューアールコード。凛々花が顔を上げると、累がスマホを差し出していた。


「多分僕たち、同じ部屋になると思うから」

「……部屋?」

「? そう。寮の部屋。今朝僕の部屋に荷物運び込まれてた」


 聞いていない。


「ずるい……さねちゃんと同じ部屋なんて……ずるすぎる前世でどんな徳を詰んだの……ずるい……」


 涼香が怨嗟の声を発しているが、それどころではない。


「りょ、寮なんですか……?」

「うん。あ、敬語いらない。僕たち、同い年」

「え、あ、分かった。……待って、私何も準備してきてない!」

「え? でも荷物届いてたよ」


 凛々花の脳裏に、盆栽を整える母親の姿が蘇る。


「………………………あんのクソババア!!!!!!!」

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