無愛想で怖いとクラスで有名なギャルの和水さんが、僕だけに優しいんですけど
美濃由乃
第一部
第1話 自意識過剰ではない……はず
僕のクラスには、無愛想で恐ろしいギャルがいる。
彼女の名前は
もう一度言うけど、なごみゆうかさんだ。
名は体を表すとしたら、和んでいて優しいギャルになるわけだ。
けれどそんな和水さんのクラスでの評判は、完璧に名前負けしていると言ってしまっても過言ではない。
もう一度言うけれど、なぜなら和水さんは、無愛想で恐ろしいとクラスで有名だからだ。
皆から恐れられている和水さんはいつも一人。
たいていは窓際の一番後ろにある彼女の席に座って、不機嫌そうに窓の外を眺めている。
もし誰かが和水さんに話しかけでもしたら、彼女は眉間に皺を寄せて相手を睨み、無言で冷たく舌打ちして追い返す。
その対応を受けて和水さんとお近づきになろうとした幾人もの男子が撃沈した。
僕は軽率なクラスメイトの一人が和水さんから絶対零度の視線を向けられて、儚くも砕け散った様子を実際に何度も見た。
だからこそ怖くて自分から和水さんに話しかけたことは一度もない。
これが和水さんがクラスで恐れられている理由だ。
それほどまでに恐れられているならば、誰も関わろうとはしないのが普通だと思う。けれど今でも和水さんに近づこうとする男子が絶えないのは、ひとえに彼女の魅力が大きい。
これはクラスの男子のほとんどが言っていることだけど、ただ静かに座っている和水さんは見惚れてしまうほど絵になるのだ。
目をうっすらと細め、頬杖をついて外を眺めているその横顔は大人びた色気があり、物憂げな様子の彼女が何を考えているのかつい知りたくなってしまう。
窓から入って来る太陽の光が和水さんの明るいブラウンのショートヘアを輝かせる。耳元で光っている青いピアスとブラウンの髪のコントラストはとても綺麗だ
さらに目を引くのはいつも彼女が机に載せているあるものだ。普段からあんなに大きなものを身体につけているとよほど重たいのかもしれない。
前かがみになって頬杖をついている和水さんは、彼女の身体にある大きな胸を机の上にいつも載せている。
制服越しにもはっきりとわかるくらいの大きさで存在感が凄い。
ここだけの話、僕はよくチラチラと横目で見てしまう。和水さんが少し体制を変える度に、机の上で形を変える膨らみが僕の視線を吸い寄せて離さないのだ。
スケベ野郎だと罵られるかもしれない。けれど僕は和水さんの隣の席だから、彼女の様子が他の人よりもよく見えてしまうのだ。
そういう深い事情があるから胸に目を奪われても仕方ない。
あと和水さんは座っている時よく脚を組んでいる。そうするとどういう事態が引き起こされるかというと……和水さんの太ももが大胆に見えてしまうということになるのだ。
なまめかしい太ももがさらけ出されている様子は、言葉では言い表せないほど素晴らしい光景だ。
かなり短いスカートは和水さんが立っているだけでも危険が危ないような状態で、さらに脚を組んで座ったりしたらもう大変だ。染み一つなく少し太めで柔らかそうな太ももが大胆にさらされる。
そうなると僕の目は和水さんの脚にも釘付けになってしまい抗う事ができない。
やっぱりスケベ野郎じゃないかという声が聞こえてきそうだけど、隣の席という絶好のポジションに僕みたいな童貞が配置されたら、これは本当に仕方ないことなんだ。
それだけ和水さんが魅力にあふれているということで、だからこそいくら冷たくされてもアタックする人が途絶えないのだと思う。
そんな無愛想でクールでいつも不機嫌そうで怖い和水さんと、隣の席になってはや数週間。
僕はあるとんでもない可能性にたどり着いてしまっていた。
それは――
――誰にでも無愛想なはずの和水さんが、何故か僕だけには優しいかもしれないということ。
そんな童貞力全開の、自分に都合のいい妄想のような考えに至ったのは、単に僕が童貞だからというだけじゃなく、ちゃんとした根拠に基づいているのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます