赤殺しの2人組……。
「改めまして! 私の名前はシィウと申します! 以後お見知り置きを」
朝起きてすぐに情報屋の縄を解いたら急に立ち上がってお辞儀をしながら自己紹介をしてきた。
「よろしく」
ちなみに、ルゥはまだ寝ている。
「それで? いつギルドに行くの?」
ソワソワしながら訊いてくる。
「とりあえず、ルゥを起こさないとね」
「ぐがー……」
ルゥはお腹を出していびきをかきながら寝ている。
⋄◇冒険者ギルド◇⋄
私たちはルゥを起こした後すぐに冒険者ギルドに来た。
いつもならこんな早い時間には来ないのだが、シィウが『はやくいこーよー』とうるさいので仕方なく。
入った瞬間にまた他の冒険者から異常なものを見るような目で見られる。
この前のホーンラビットの一件以来ずっとそうだ。
最近では『赤殺しの2人組』なんて物騒な名前で呼ばれ始めた。
周りからの視線を無視して、受付のお姉さんに話しかける。
「おはようございます。依頼を受けに来ました」
「おはようございます。あっ! シィウさんじゃないですか!」
え!? 知り合いなの!?
「どうもー」
シィウが軽くお辞儀をする。
「久しぶりですねー。最近見かけなかったから心配しましたよー」
「色々あってね……」
何故かシィウが言葉に詰まっているような……久しぶりに会ったんだから当然か。
「あのー、2人はどんな関係で?」
このまま2人だけの空間が出来上がりそうだったので間に入る。
「シィウさんはこの町で唯一のAランク冒険者なんですよ! そして、私は気づいたら仲良くなっていただけの受付嬢です!」
『この街で唯一のAランク冒険者』ってことはこの街で1番腕の立つ冒険者ってことか。
情報屋なのに目立ってるじゃない!
なんでこの人は、情報屋なのに目立ってたりドアから堂々と部屋に入ってきたりしてるの?
本当に情報屋?
「そういえば依頼を受けに来たんですよね?」
何かあるりそうな顔をしながら言う。
「えぇ、まぁ……」
「ちょっとまってねー。赤殺しの2人組には簡単すぎるかもしれないですけど」
そう言いながらギルドの奥の方に入っていく。
資料を取りに行ったのだろう。
「うるさいなー」
正直、赤殺しの2人組という呼び方が嫌いだ。
ルゥは……
「赤殺し……ヨシ!」
まんざらでもなさそう。
てか、赤を殺したのルゥじゃないからね! 私だからね!
しばらくして資料を手にしたお姉さんが帰ってくる。
「おまたせしましたー」
「それで? どんなクエストなの?」
「簡単に言うと盗賊退治ですね」
なんだ普通のクエストじゃん。
「ただ、訳アリのクエストでして……なんでも、このクエストを受けた人は約1ヶ月の間、精神年齢が5歳児になるみたいなんです」
「え? 何があって精神年齢が5歳児になるのよ……」
精神年齢を若返らせる魔法なんて聞いたことないし……。
するとルゥが口を開く。
「へーおもしろそー」
コイツは既に手遅れだった。
「2年前からずっとあるクエストで、1度も達成されたことはありません。ですので、各地のギルドに順番に配られているのですが、先日ついにうちのギルドにも回ってきたんです」
正直なところ、興味しかない。
できることなら受けたいが、もし精神年齢が下がった場合に面倒を見てくれる人は……アル兄さんは忙しいだろうし、リリー姉さんに連絡を取ってからね。
「その依頼、精神攻撃を受けた場合の保険に信頼できる人に連絡をとってからでも良いですか?」
「大丈夫ですよ」
よし!
じゃあ帰ってから手紙を書こう!
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