第5話 地獄絵図

少女が去ったのを確認し、ポーカーと少女が争っていた部屋に入ると、ひどい光景が広がっていた。

ポーカーの部下らしき人たちは心臓か喉を刺されて絶命している。ポーカーに至っては、喉と心臓、さらには腹を切られ、よく見れば臓器が見えている。床も壁も天井も、血だらけで真っ赤だ。部屋に足を踏み入れれば、ぴちゃりと血の音が鳴る。まるで水たまりに入ったような。

まさに地獄絵図。俺は今までの警察官としての人生の中で、これまでにひどい惨状は見たことがなかった。

一生トラウマになるような光景に絶句したが、我に返ると俺は無言でその場を立ち去ろうとした。

少女が言っていた場所に向かうためだ。もうすぐ午後11時になってしまう。

すると、坂本が言った。

「どこに行くつもりだ?目撃者なんだから、いなくならないでくれよ?」

俺は真剣な表情で返した。

「頼む。どうしても行かなきゃならないんだ。」

目をしっかり合わせて言うと、坂本は渋々といった様子で

「……なるべく早く帰って来いよ?あと、一応行き先を教えてくれ。

 もし遅かったら迎えに行く。それまでに用事を終わらせとけよ。」

と言ってくれた。俺は、

「宮崎倉庫」

とだけ言ってかけだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る