第4話 グッチー

「そのかわり無記名で書き込めるチャットルームみたいなん用意したから。なんか情報あったら教えて! ってことで今日は皆帰っていいからね!」

「出たよネットに強いギャル」

「本当は受験の愚痴の場にしたかったんだけど、まさかこんな使い方するとはなー」


花咲は黒板にそのアプリ名とIDを書き出した。

そのアプリの名前は『グッチー』という。『皆の愚痴を新たなアイデアに! 匿名でテーマを決めて愚痴を言えます』というキャッチコピーがすぐ表示された。

書き込むにはルームIDが必要で、それを知っている者なら書き込めるというのが売りらしい。


残った皆もスマホを出しインストールしてIDを入力する。花咲は派手な見た目に反して機械に強い。父親がその開発の関係者らしく、写真や動画の共有のために便利なアプリを自ら探して友人に広めているほどだ。

その応用で、無記名で書き込める場を用意していたのだろう。無記名ならば何かを見たが怖くて言えない生徒も書き込める。



ちなみにこの学校、携帯電話の持ち込みは緊急連絡手段として可だ。ただし授業中に鳴らしたり使ったりすれば容赦なく没収され金庫入りとなる。盗まれたとしても学校側は責任を取らないと誓わせるし、ロックをかけなければいけない。

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