禁じられた遊び その3

 「要は、魔族は卑劣で恐ろしい生き物だということを子供におしえたかったのだろう」

 「だとしても、なんでこんな話なんだよ? もっとこう、話の組み立て方とかあんだろ。子供用ならよ?」

 聖護は何かを積み立てるようなジェスチャーをしながら、源太に問うた。

 「そこで、だ。俺もそう思ったから、村長の家にある書庫から昔のことが書いてありそうな本を片っ端から漁った」

 「時々おめぇの行動力に感動するぜ・・・・・・」

 この時の聖護の表情は、感嘆とも呆れとも取れるものだった。

 「ちゃんと許可はもらった。そこで昔からの言い伝えが書かれた本があってな、覗いてみるとさっきの話が書かれていたのだが、おかしなところがあってな」

 「つうと?」

 「魔族が角を切り落とし、人間として村に住んだところと、再び魔族が攻めてくるところの紙の材質が違うのだ」

 「それがどうしたんだよ? たまたまそこで用意してた紙が無くなって新しいやつを使っただけかもしれねーだろ」

 「材質だけではない。明らかに紙が新しいのだ。まるで後半部分を後から付け足した様にな」

 「それは・・・・・・」

 源太の思い過ごしだと言いたいところだが、可能性がないわけでもないため聖護は言葉に詰まった。

 「言うなれば、先代の村人が話を改竄かいざんした可能性があるのだ」

 「何のために?」

 「さっきも言っただろう。この話は子供に対して、魔族が『死へと#誘__いざな__#う』者であることを教えるためのものだと。つまり」

 「そんな奴らと仲良く暮らすなんて話は、子供に魔族がいい奴だと思われるから変えようとしたってか?」

 「お、おう。その通りだ」

 意外な洞察力に驚きながら、源太は頷いた。 

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