禁じられた遊び
「もう二度と集会覗きはしねえ・・・・・・」
「次やったら、村長の家に昔からある牢屋に一生閉じ込められるらしいしな。覗きなどするものではない」
集会所からの帰り道を二人は疲れ切った顔で歩く。
雑木林をまっすぐに切り開いた道は、背の高い木々によって陽光が程よく遮られ、涼やかな風が頬を撫でる。
二人は先程覗きを見つかり、村長にこってりと絞られたのだ。
村長は集会所の掃除があると2人を先に帰らせ、一人その場に残った。その際
「さっきのことは忘れよ。お主らは聞いてはならんことを聞いてしまった。知らなくて良い事という物もこの世の中にはあるのだ」
と釘を刺され、子供ながらにこの世界の闇を知ったのだった。
だが、もちろんその程度のことで子供の好奇心が消えるわけはなく、二人は示し合わせてはいなくとも、美雪が魔族であることの真相を知ることを決意していたのだった。
「そういえば、さっき言いかけた『あの話』ってなんだよ」
村長に見つかり聞くことができなかった話の続きを聖護が求めた。
「ああ、お前も聞いたことがあるだろう。ここら辺で伝わっている魔族と人間の話を」
源太は真上を指差して、聖護に思い出すように促した。
「確か人間界に攻めてきた魔族を、人間が協力して追い返す、みてぇな話だっけか?」
「大体はあっている。だが、追い返して終ではない。その後が問題なのだ」
「問題?」
「ああ。魔族を追い返した後、宴を開いたのだが、そこにまだ残っていた一人の魔族がいたのだ。皆、剣を取り臨戦態勢に入ったが、魔族は戦う意思を見せなかった。魔族は一人の女を探していたのだ。戦いの差中であろうとも目を奪われた女をな」
口笛を吹き茶化そうとした聖護は、源太の絶対零度の眼差しによってあえなく口を閉じることになった。
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