集会所の外にて

 「っぶねー! 見つかりかけたぜ」

 額の汗をぬぐいながら少年は立ち上がった。

 そしてその隣には、立ち上がった少年よりも一回り大きな体躯の少年が、未だに尻餅をついた状態で座っている。

 「誰のせいだと思っている」

 「この世のことは全て神様が決めている。だから全ての出来事は神様の仕業だ! そう思えば大半のことはどうにかなる」

 「今のは完全にお前のせいだろう」

 「まあまあ見つからなかったんだから、気にしない気にしない」

 大きな少年の恨み節もなんのそので、少年は大きな少年に手を貸して立ち上がらせると、二人でもう一度集会所の中をいしずえに足をかけ、窓から覗き込んだ。

 「しかし、魔族に連れ去られたとは・・・・・・」

 「本当に驚いたぜ。足場を踏み外すほどに」

 「村長に見つかっていたら洒落にならなかったぞ」

 「んな18までなんか待てっかよ」

 集会に参加できるのは成人と認められた18歳以上の男だけ。よってまだ12歳の2人には足を踏み入れることはできないのだ。

 しかし、それが気に入らない少年は、大きな少年を無理矢理付き合わせて集会があるたびにこうやって覗き見を敢行しているのだ。

 「第一、こん中で話されることの方がよっぽど洒落にならねーと思うけどな」

 そう言って少年は左手で窓枠を掴んで体を固定し、窓の奥の大人たちを指差した。

 集会所内では村長の一声によってなんとか混乱が収まりつつあった。

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