毎日が辛い学校生活で秘密の非行

ムロショウ

第1話 トイレの中で・・・

肌が痛くなるほど寒い冬に暖房がよく効いた教室で居眠りするのはこの時間が一生続けばいいと思えるほどの気持ちよさなのだが4限目を終えるチャイムの音で目が覚めた。授業中に教師の目を掻い潜りながらする睡眠の心地よさから引き戻され、頭と首の筋の痛さに襲われる。


 まだはっきりしない意識で授業の終わりの挨拶をして席を立つ。寝起きなので股間部分が膨らんでいた。バレたらスケベの烙印を押されかねないがいつも通り教科書とノートで押さえつけて廊下に出る。昼休みに入り俺はお腹が空いてご飯を早く食べたいがクラスメイトは談笑に夢中で弁当を食べようとしない。一人で食べ始めるのはボッチ感が出てしまう気がする。こういう時、いつも俺はトイレに行く。


 さすが私立と言える綺麗なトイレは学校内にいるのに別空間を感じさせてくれる。毎朝八時に重くてだるい体で登校し、眠いだけの授業を受け、ようやく授業が終わったと思い家に帰ると受験勉強が待っている。勉強自体は嫌いではないが集団行動が苦手なので学校にいるだけで気を遣い切る。だから帰宅後はベッドでスマホを触るだけで、気がついたら深夜一時を過ぎている。毎日これの繰り返し。学校社会の落ちこぼれにとってトイレとは、集団の束縛から自分を解放してくれる場所なのだ。

 

 いつもの便器で大して溜まっていない小便を出しながらまだ授業が続くことをに嫌気がさす。気がついた時には小便は終わっていた。教室に戻ると弁当を食べ始めている人が多かったから自分も食べ始める。この時は無心、何も考えずに白飯とおかずを口に運ぶ。ぼっちあるあるかもしれないが俺は妄想力に関しては自信がある。友達がいない分一人の暇な時間を面白いことや卑猥な妄想をして過ごしていた。考えていることが顔に出てしまうらしくその癖を家族に指摘された。学校その癖が出てしまうのは避けたいのでマスクをしていない時は無心、何も考えない。そのせいか昼飯は一番乗りに食べ終わりやることがない。残り三十分の昼休みやることがないので単語帳を取り出す。クラスメイトも食べ終わった人が多いらしく一段と教室は騒がしくなる。俺の近くの席で女子たちが談笑を始めた。いくつもの仲良しグループができている中、俺だけ一人でいるのが不思議なのかチラチラと視線を感じる。会話内容もどうやら俺のことのようだ。そっとしておいてほしいが言い返したり冗談を言える器量はないのでトイレ避難する。

 

 気晴らし程度にはなったが当然、尿意など微塵も感じない。トイレに来て何もしないのは不自然なので小便をしている体勢を保つ。トイレにいた生徒が出て行って一人になったから個室に滑り込む。人前だと個室に入りにくい。小学生の頃のように個室にはいるとからかわれることはないが知り合いがいると照れくさいのだ。


 ズボンを下ろして便器に腰掛ける。窓が全開なため足元は冷たい風が吹く。トイレ特有の不潔感漂う匂いもしない。クリーム色の壁と低い天井に囲まれたその空間はまるで1日の終わりにベッドに入り、干したばかりの布団に包まれている安心感を思い出させてくれる。これは決して大袈裟ではない。 トイレ自体も息抜きの場所だが個室は周りとのつながりが完全に遮断される唯一の場所である。息抜きの場所なので1日に何度もはいる。でも長居をしようとは思わない。一息つくだけで満足なのだ。教室では気を張っていたせいか笑みが溢れる。いつもの癖で慌てて顔を真顔に戻そうとするがここは個室だった。教室でニヤついていると不審に思われるがここは個室。誰の視線も気にする必要はない。

「ふふん」


 試しに声を出して笑ってみる。トイレには俺一人だから聞かれることはない。

 

 鼻くそをほじくってみる。当然、誰の視線もない。五分ほど馬鹿みたいなことを繰り返すと学校生活の息苦しさを忘れる。ちょうどよく息抜きができたので教室に戻ることにした。


 綺麗なままの水を流しズボンを上げる。外に出ようとノブに手をかけると聞き慣れた声が近づいてきた。名前は知らないけどクラスの陽キャグループなのは確かだ。ここが学校なことを思い出した。集団に戻るのが嫌なのか大便したと思われるのが照れ臭いのか、ドアを開くのをためらった。


 それに一つ出れない理由もある。俺の股間が膨らんでいることに気がついた。。卑猥な妄想のせいではなく疲れからくるものだろう。授業後は教科書とノートで押して隠すことができるが今は手ぶら。隠すにはくの字で歩くしかなく周りから見ても不自然である。とりあえずズボンをずらし便器に座る。クラスメイトの声もしなくなり再びトイレの中は俺一人になった。


 この時、俺の中にある普段は心の奥深くに隠している黒いものが表面に出てきたのを感じる。股を大きく広げ巨大化したあそこに手を伸ばす。

 3本の指でつまんで恐る恐る上下に動かした。


 クラスメイトは大人しい俺が学校のトイレで卑猥な行為に及んでいるとは思いもよらないだろう。学校で行為に及ぶのは初めてだが火遊びに手を出したあの日のような感覚。バレたらクラスでの立ち位置がただのインキャからむっつりすけべとなる。学年だけでなく後輩にも語り継がれることになるだろう。先ほどまで見ていたクラスの女子の裸体を想像して動かす手はさらに激しくなる。息もだんだん荒くなっていく。しかしまたトイレに誰かが入ってきたで手は止まる。聞いたことない声だったからクラスメイトではない。もし上から覗かれでもしたら何をしていたかバレてしまう。仕方がないので出て行くまで股を閉じてじっと待つ。やがて手を洗う音と共に声も遠ざかって行く。萎えかけたあそこをつまんで動かす。また静けさが戻ったトイレですけべ心がエスカレートする。


 個室の中で中腰の状態になった。。中腰状態になると短めの俺の股間も握ることができる。そして次第に俺は妄想の中へと入っていった。

 女子の胸が急成長し出す中学1年の夏。授業で班活動をすることになった。机を4人で向かい合わせにする。この時、俺の隣の女の子は学年で一番と言っても過言ではないほどの巨乳の持ち主だった。顔も可愛い。思春期真只中の俺は気づかれないようにチラチラと胸を見ていた。シャンプーのいい香りを吸い込みながらよく胸を見ると制服の第二ボタンと第三ボタンの間の隙間が空いているのに気づいた。その隙間から何やら水色のものが見え隠れしていた。下着売り場のマメキンが着てそうな大人のブラがそこにはあった。初めての同級生のブラに興奮した俺はできるだけ目に残そうとバレてもおかしくないほど凝視した。しばらく観察しているとズレたブラから皮膚の色よりも一段階濃い色の皮膚が見えた。幸運に次ぐ幸運に俺の股間は暴発寸前。6年前のことにも関わらずはっきりと記憶に残っている。


 他の脳内スケベファイルを掘り起こす。さらに記憶を遡って小学6年の夏。集中力のない俺は授業中、キョロキョロと周りを見渡していた。夏だからか露出の多い服を着ている人が多い。いわゆるノースリーブというやつだろうか。袖すらない服と脇の間が開いている女子がいた。通常は服の中が見えることなんてないだろうが今は授業中でノートを取るため前屈みになる。その女子は猫背気味な姿勢だったから斜め後ろからだと脇と服の間から中が見える。まだ小学生なこともありブラはつけていなかった。乳房も成長途中なのか大きくなく、乳首が前にツンっと突き出しているタイプだった。性に興味を持ち始めた頃だから俺の股間はしっかりと膨らんでいた。それも忘れられないスケベな思い出だ。


 そんなことを妄想していると股間に熱いものが感じられた。ますます手の上下運動を激しくしていく。息も荒くなり便器から腰をうかすだでは飽き足らず、俺は個室の中で立ち上がっていた。

 足音が近づいてくるのを感じた。トイレに誰かが入ってきたのだろう。この個室の薄いドアを隔てた向こうには誰かがいる。この個室の外には嫌いな学校が広がっている。もし上から覗かれたら、荒くなっている息を聴かれたら、俺はスケベの烙印を押されるだろう。でも俺はこの危険な興奮を抑えることをしなかった。


 目の前が霞むほどの快感が頭の中を駆け巡る。股間の先から出た精子は個室の壁に飛び散る。膝が痙攣して立てなくなった俺は便器に音を立てて崩れ落ちた。先から出た精液が個室の壁をゆっくりと滴り落ちていく。


 味わったことないほどの快感の余韻に浸りながら初めて射精した時のことを思い出す。性に関心を持ち始めた小学5年の時、乏しいながらの知識と家族がいない限られた時間をつかいリビングにある共用のパソコンで検索していた。動画、画像、漫画、インターネットに溢れかえっている情報は俺の性欲を満たしてくれた。


 ある日、漫画に載っていた通りに股間を握って上下していると、股間の根本から何やら熱くなるのを感じた。さらに手を動かしていると何かが上ってくる感覚と共に痙攣するほどの気持ちよさが頭を駆け巡った。あそこの先から透明な粘液の塊が吹き出して机にかかった。これが俺の初めての射精だった。


 それから風呂場、トイレ、布団の中で毎日のようにしていた。入浴時間、朝のトイレの時間は長くなり家族には不審がられた。もしかしたら気付かれていたのかもしれない。当時は一緒の部屋で寝ていたのでそこで自慰行為に耽るとは自分の性欲の強さを痛感する。バレるかもしれないスリルに興奮を覚えるのは昔からのようだ。


 ようやく元の大きさにもどり性欲もおさまった。性欲も収まったと同時に精液がついている股間と壁をティッシュで拭きながら罪悪感に襲われる。学校で自慰行為をするのもいけないしバレたらと思うとゾッとする。


  そこで気づいたが個室と手に匂いが漂っていた。精液特有の生臭いにおいがついたまま教室に戻ると確実にバレるだろう。バレていることに気づかずそのままいつも通りの顔で過ごすことになる。入念に手を洗うことで匂いを消した。


 教室に戻る時、いつもの真顔に戻っていたが足取りは明るくなっている気がした。溜まっていた疲れも精液と共に吹き飛んだのだろう。


 何かと疲れがたまる学校生活で自分だけの秘密。気が向いたらまたしようと思うが帰ってからする快感が薄まってしまう。

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