ルーメン&カエルレウム

「!!開かない!」

「『キスしない限り開きません』だそうですよ」

「なんでそんなに冷静なんだ!あんたの差し金か?!」

「私に何の得があると?まあ、私は出られなくとも別にかまいませんが」

「はぁ?!」

「出たいですか?……当然、ですよね」


 スタスタと近づくルーメン。

 思わず後退るカエル。


「ちょ、ちょっと、待て。何するつもり……」

「出たいのでしょう?」

 

 ルーメンは小首を傾げてから、にやりと笑う。


「男とするのは、屈辱的、ですか?」

「……ばっ……!忘れてるのか!?俺は……」

「忘れてませんよ。ですから、時間が経つほど危険でしょう?」


 カエルはハッとして、それでも、伸ばされる手からは逃げる。


「解ってて……!!」

「死ぬのが私ならば、貴方はそれほど心を痛めずに済むのではありませんか?」

「あんた、本当に嫌なやつだな!」

「はい。自覚しております」


 くすくすと笑いながら、ルーメンは壁際にカエルを追い詰めた。


「私も、ユエを悲しませたくはないですから。少なくとも、貴方はここから出なければいけません」


 薄く微笑んでいる唇は楽しんでいるかのようだけれど、カエルを見つめる瞳は真剣だった。


「……駄目だ。やっぱり、別の方法を……」

「『動くな』」


 ルーメンを押しのけようとするカエルの耳に、ルーメンの鋭い一喝が潜り込んで体の自由を奪っていく。

 声も出せなくなったカエルに、ルーメンの顔が近づいた。


「魔力量には自信があります。ですから、そんなに怯えないでください」


 二人の唇が重なる。

 鍵を開けるためだけの、おざなりな触れ合いではなく、ひどく優しく柔らかいキスだった。


 腰が抜けてすとんと座り込んだ、赤面したカエルを上から覗き込んで、ルーメンはにっこりと笑った。


「ほら、大丈夫だったでしょう?ついでにユエとどちらが上手いか、もう少し比べてみますか?」

「に……二度とお断りだ!!」


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