第53話 もふもふとお昼ご飯とディルクが…

またしてもイチャイチャタイムです。

苦手な方はスルーでお願いします。




今回は珍しくディルクのターン。


 こんにちは、皆様。私、ロザリンドは今天国にいます。




 現在私のお弁当を騎士訓練所から少し離れた場所で食べております。今日は食べやすいようサンドイッチです。ジェンド向けにハンバーガー風もありますよ。




 ジェンドは夢中で尻尾をブンブン振りながら食べ、聖獣様はゆったりくつろぎながら食べ、ディルクは食べるのが早いけど、尻尾はゆったりフリフリされて、彼がご機嫌だと教えてくれる。


 おいしい?なんて聞かなくたって、尻尾を見れば一目瞭然!おいしいらしいです。




「ジェンド、お姉ちゃんの作ったごはんおいしい?」




「あい!あ、あ、あー!」




「とってもおいしい、お姉ちゃんすごい…だって」




 コウは私の隣でまどろみつつ、通訳してくれた。背中をナデナデするときゅう、と気持ち良さそう。顎下はどうかな?うりうり。




「うきゅう、くすぐったいよ。お姉ちゃんたら」




 安定の可愛さですよ、うちの子。




 コウのかわいさにニヤニヤしていると、食べ終わったジェンドが私のお膝に来ました。すると急激にジェンドは小さくなり、子犬になりました。子犬はうとうとしておねむのご様子。




「くぅん…」




 ヤバい。なにこれ可愛い。超可愛い。抱っこしてほお擦りしてこのかわいさを叫びたい。いやダメだ。起きる。睡眠大事。安心できるようになってきたジェンドにまたパニックを起こさせたらかわいそうだ…耐えろロザリンド!ビークール!ビークール!!私はやれば出来る子!我慢がまん!




「くぅん」




 子犬は私にスリスリしてきた。そのつぶらな瞳はお姉ちゃん、撫でて?と私に言っている。間違いない。だって尻尾ふりふりしてお腹出してるよ。撫でたいんでしょ?触ってもいいんだよ?と誘惑してるんですよね!




 お腹を撫でると幸せそうにうっとり目を細めるジェンド。私に撫でまくられ、熟睡してしまいました。はぅ…まだ毛はパサパサだけど子犬可愛い…幸せ…




「ロザリンド…」




 ディルクは何故泣きそうなんだい。なんかこのパターン以前もあった気がする。


 獣化して、私の膝に頭を乗っけて拗ねるマイハニー。




「…俺も撫でて?」




 殺 す 気 か




 首を傾げる小悪魔さんめ!辛抱たまらん!!ときめき過ぎて死ぬ!いや、生きる!!




 私は無言でディルクの頭を膝からおろす。ディルク、なんかえらいショックを受けた顔をしていました。


 私はそっと細心の注意を払いジェンドを聖獣様のお腹に乗っけました。後はお願いします。聖獣様は呆れつつ、頷く。




 ショックが抜けないディルクを、向こうの茂みにひきずりこみ、防音・目眩まし結界をはります。




「え?」




 ディルクが再始動したが、もう遅い!




「ディルク、ディルク、ディルクー!!んもう、なんでそんなに可愛いのぉぉ!!好き好き、可愛い!愛してる!!」




「は、わ!?ちょっと!?」




 可愛い可愛い可愛い!私の旦那様、最高!!抱きしめて押し倒し、ほお擦りした上にキスをしまくる。




「な、何!?なんなの!?んん!?ちょ、そこは…!」




 混乱するディルク。仕方ありません。ディルクが可愛すぎて、私の中のナニカが振り切れました。だってさっきも抱き着いてスリスリだけで我慢したんだよ!本当はもっといちゃつきたいんです!




「こ、これ以上はだめ!」




 無理矢理剥がされました。ディルクは涙目、息切れ、乱れた衣服…




「…セクシーだね、ディルク」




「おかげ様で!というか、急にどうしたの?いつもならすぐ撫でてくれるのに…ジェンドの方がいいの?」




「存分に愛でるには、ジェンドを乗っけたままでは不可能ですから。私の暑苦しい愛がまだ足りませんか?」




 ディルクは獣化を解除すると、恥じらいながらも言った。




「…足りない、もっとちょうだい。俺を安心させて」




 ディルクは私にキスをした……




「ぅんん!?ぷはっ!ロザリンド!?い、今の…」




「んー、こないだのを真似たのですが…上手く出来ませんでした。ディルク、もっと…」




 首に手を回し、キスをねだる。




「こ、こないだって…」




「お酒で酔ったディルク、キスがものすごく上手だったのです。まさか他に…」




「い、いません!キス自体ロザリンドが初めて!!あ!まさか激しいとか上手いって…」




「キスのことでした」




「あああああもおおおお!…覚悟してね?煽った事を後悔させてあげる」




 ディルクが見たことないぐらい、獰猛で色気ある表情を見せました。反射的に背筋がゾクッとします。




「うぇ?」




 マヌケな声はディルクに吸い込まれました。
















 いや、うん。肉食獣をからかい過ぎてはいけない。凄かった。腰抜けた。お酒呑んでた時よか上手かったうえに色気…色気にあてられた…


 黒豹ってセクシーで危険な生き物ですよね。肉食獣って天敵がいないから、無邪気に見える。


 ディルクも可愛いだけでなくセクシーで危険な生き物でした。














「お待たせ、聖獣様」




「あ、あう…」




『…何があった』




 聖獣様がヘロヘロな私とツヤツヤなディルクを交互に見る。ううう、まだ立てない…




「端的にいうと、からかい過ぎて愛ある仕返しをされました」




『…ほどほどにな』




 残念なものを見る目な聖獣様。癒しを求め聖獣様をもふる私。はう、もふもふ…




「ロザリンド?俺は?」




『…我にまで妬くでない。余裕がないと嫌われるぞ』




「…なんか、ロザリンドはいつも余裕で、俺ばっかりわたわたしてて遊ばれてて…」




 しゅんとするディルク。うう…か、からかいすぎた?




『…ロザリンド』




「はい」




『獣人は嫉妬深いが大丈夫か?』




「はい。あとディルク。実は毎回余裕なわけでもないから」




「へ?」




「た、たまに照れ隠しもあるの!嫉妬されて嬉しかったり、その…色々されたのが恥ずかしかったからごまかしたりしてたの!だ、だから私だってそこまで余裕なわけでも…」




 言ってて恥ずかしくて、最後は尻すぼみになってしまった。




「…あー、なんか今なら解る」




「何が?」




「好きな子って、大事にして可愛がって、からかいたい。好きな子ほどいじめたい」




 する、とほっぺを撫でられた。それだけなのにゾクッときた。




「ぴ!?」




「可愛い…ロザリンド可愛い」




「あ、あわわわわわ」




 うっとりとした瞳で先程のレオニードさんとは比べものにならないフェロモンを出しているディルク。まずい。ガチで力が抜ける!せ、せめて結界!!




『…ほどほどにな』




 空気が読める聖獣様はジェンドを連れていってしまいました。


 いやいや、助けてくださいよ!!




 私の願いは虚しく聖獣様はディルクの休憩終了手前で戻り、私は散々ディルクにからかわれたのでした…。う、嬉しくなんか…存分にかまわれてやっぱり嬉しかったのですが、身がもたないのでやっぱり自分でリードしようと思いました。

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