第49話 ギルドランクと特例と依頼

 転移の魔石であっという間に王都付近の草原に来ました。一応、王都前で門番さんにギルドカードチェックを受けなきゃいけないからです。ディルクも取り締まる立場なのもあってきっちりしてるので、ちゃんと出る手続きしてから来てます。




 並んで問題なくチェックを受け、自由な風さんとはここでお別れかな?というところで、ビネさんが言いました。




「姫さん、冒険者ギルドに一緒に来てくれ」




 別に断る理由もないし、グレートキングスラッグの討伐報告もあるので了承しました。












 さて、冒険者ギルドに到着です。受付はいつものシェリさん。相変わらずセクシーダイナマイト。




「冒険者パーティー、自由な風。依頼達成を報告に来た」




 本来パーティーリーダーがこういった手続きをするのだが、ソールさんはあんななので限りなく向かないから基本ビネさんがするらしい。


 達成報酬を受け取り、サインするビネさん。また、本来なら依頼者であるアークが確認すべきだが、ついでなんで私が代わりに承認した。




 ビネさんは4通の封書をシェリさんに提出した。




「自由な風はメンバー全員、冒険者ロザリンド=ローゼンベルクの特例措置を推薦する。彼女の実力は埋もれさせるには惜しい」




「あら。承りました」




 シェリさんは妖艶に微笑むと、にっこり笑って封書を受けとった。




「え?特例?」




 特例措置とは、特殊な事情がある場合、低年齢でもギルドランクが上がるようになり、大人と同じ依頼を受けられるようになる措置のこと。


 しかし、条件が厳しい。実力はもちろん、Sランク以上の冒険者からの推薦が最低5人必要になる。そもそもSランク自体がそんなに居ない。自由な風は比較的常識人だが、冒険者には気が荒い者も多い。そんな人達が推薦書類なんて面倒なものを書くだろうか。普通に無理である。




「ロザリンドちゃん、大人気ね。他にSSランクから2人、Sランクから1人推薦書類が来ているわよ」




「…アークとマーサとマーニャですね?」




「当たり!」




 てっきり高ランク冒険者との顔合わせ目的だけかとおもいきや、私の特例措置への推薦を彼らにさせる目的もあったのだろう。




「な、なんかすいません…うちのマーサとアークが」




「ロザリンド嬢はそれだけの資質を示した」




「ひいき無しで全員賛成したのよ」




「追いつくのもすぐかもな」




「また一緒に冒険しよーな」




 それぞれ、笑顔で話しかけてくれる。彼らを紹介してくれたマーサとアークに後でお礼をしようと思った。




「ギルドマスターとの面会を。特殊討伐報告がある。ロザリンド嬢、悪いが最後まで付き合ってくれ」




「はい?わかりました」










 そして別室。ギルドマスターは熊みたいなおじ様でした。あー、ゲームでこの10年ぐらい後の彼を見たなぁと思う。




「で、特殊討伐報告だったな」




「エルフの森の冒険者殺しを討伐した」




 冒険者殺し?やたら物騒なお名前ですね。




「何ぃ!あの剣も魔法も効かねぇ化け物をか!」




 んん?それどっかで聞きましたよ?剣も魔法も効かない強い魔物?




「ロザリンド嬢、証拠を」




 アレか。グレートキングスラッグか。あれ冒険者殺しとか言われてたんだ。




「はい」




 ごとり、と蛇もどき実はなめくじの頭を置く。ギルドマスターさんは丁寧に魔物を検分する。




「…確かに特徴と一致するな。それに…」




 うげ。頭から…魔石?インシェントタートルよりかなりでかい。




「これほどの魔石だ。SSランクはくだらない。特殊討伐報告を受理。討伐したのは自由な風でいいな?」




「いや、ロザリンド嬢がほぼ一人で討伐した」




「…は?」




「ロザリンド嬢がほぼ一人で討伐した」




「はぁぁぁぁ!?ビネ、頭は確かか!?SSランクですら逃げるので手一杯な化け物を嬢ちゃん独りでどうやって倒すんだよ!!」




「あー、コツがありまして」




「へ?」




「アレ、体を覆う粘液をどうにかすれば倒せるんです」




「ああ、だから最初は魔法で植物に粘液を吸わせてたのか?」




 興味津々なミルラさん。




「はい。それさえなければ実はさして強くないんです。腹立つことに」




「嬢ちゃんは、冒険者殺しと戦ったことがあるのか?」




「いえ、ただ私の天啓は未来予測でして。何回挑んでも勝てず、もう自棄になって効きそうもない魔法を使ったら、たまたま効いて倒せたんです」




 遠い目をする。嘘は言ってない。本当でもないけど。




「あ、ついでにエルフの森のユグドラシル調査とできたら解決依頼を下げてください。ロザリンド嬢が解決しました。後で報酬受け取ってね」




「はい?」




「私が依頼出してたの。駄目元だったんだけどね」




 微笑むシュガーさん。そんな依頼あったんだ?ギルドマスターさん、表情が険しいです。




「嬢ちゃん、何者だ?」




「身分的には公爵令嬢です。マーサとアークが家の使用人として働いてます」




「は?」




「へ?」




 皆様ポカーンとされてます。知らなかったの?普通に働いてますよ?




「ありえねぇぇ!!赤い悪魔姉弟を使用人として雇う家とかないわ!!どこの勇者だ公爵様!!」




「…父はルーファスと言います」




「あいつかぁぁ!!スゲー納得!!有り得るわ!」




 父、何をやらかした。一転して有り得るになっちゃったよ?娘は不安なんですが。シュガーさんがコソッと聞いてきた。




「マーサさん達を雇うなんて、どんなお父さんなの?」




「聖獣様が怖くないよアピールで、いきなり聖獣様の口に無表情で手を突っ込む猛者ですかね。ちなみに聖獣様はでかい獅子の姿です」




「あー、やりそう。あいつならやるわ」




 ギルドマスターさんに納得されました。他の方たちは表情が引き攣っています。


 ギルドマスターさんの話しからして、父は昔から父なんですね。




「さて、では冒険者ロザリンド。あんたのギルドランクはAになる」




「は?」




 今度は私が固まるターンでした。




「まず、冒険者殺しは危険すぎてSSSに格上げ予定だった。そして、シュガーの依頼はランクSS。この2つを足した結果、もはやSランクも目前だ」




「えええええ」




 Dから一足飛びにAですか!びっくりです。


 私は特例措置を受け、7歳でランクAという快挙を成し遂げたのでした。




 さて、特殊討伐の方法も情報料が発生するとのこと。別に隠すことでもないので開示可とした。




 受付でいただいたお金が…みたことない大金でした。当分遊んで暮らせそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る