ロザリンド7歳・冒険者とエルフ編
第40話 経過報告と冒険者デビュー
皆様こんにちは、ロザリンド=ローゼンベルクです。あれから3年が経ちました。季節は巡り、今は冬。今日が誕生日です。
私自身は何をしてたかというと、賢者と呼ばれる魔法使いに弟子入りしていました。といっても押しかけ弟子で、日常生活面で全くダメな賢者様に魔法を教えてもらう代わりに家事炊事をしていました。賢者様は見た目美少年、中身はじい様というお方です。奥様によく叱られるしょうもないじい様ですが、戦乙女の指輪はじい様の作品だったりします。魔法に関してはエキスパートです。
大概、私のチートはじい様の弟子ですから☆でごまかせます。じい様は文句があるようですが、おやつをちらつかせると黙ります。非常に扱いやすいじい様です。
ディルク様が大怪我するかもという件に関しては、ディルク様をアホ犬ことカーティス=ブランとペアを組ませることで大体解決しました。
カーティス…アホ犬でいいや…は超直感という天啓の持ち主で、危険察知と回避に非常に優れている。奴がなんとなくマズイ気がする場合、高確率でとんでもない事…例えば簡単な山賊討伐依頼が罠で、上から岩が落ちるわ、敵に囲まれるわ、簡単だと上が判断したから人数少ないわ…あらかじめアホ犬から連絡貰ってた私が居なかったらやばかったと思う。
更に、奴があの辺りやな感じと言えば大概罠がある。冒険者的には欲しい天啓ランキング常に上位の便利スキルである。
あ、アホ犬にはうっかり懐かれました。たまたま騎士団に用があって行った時に腹ぺこのアホ犬に持ってたおやつをねだられ、うっかりあげてしまったら…懐かれた。すっかり味を占めたアホ犬はちょこちょこおやつをねだりに来ます。
まぁディルク様の事をお願いしたり、ディルク様が騎士団でどうしてるか、嫌がらせはないか情報を横流ししてもらったり、ヤバい気がする任務の時は教えてもらって同行に協力してもらったり…結構なギブアンドテイク的関係です。
最近はディルク愛されてるよねー(笑)が彼の口癖になりつつある。事実なんで否定しません。
1番変化が顕著なのは兄ですかね。兄、まさかの冒険者登録しちゃいました。しかも私の知らないうちにアークから戦い方の指南を受けていたらしく、すっかりアウトドア派に。
最近は一人で森の散策して、珍しい植物を自分で採取して栽培してます。植物好きは変わらないものの、学校行きつつ冒険者ランクもだいぶ上がってるとのことです。
この国では大体7歳から12歳が小学部、13歳から15歳が中学部、16歳から18歳が高等部となります。基本庶民は小学部止まりか無学。貴族は中学から高等部。特に女性は14歳での結婚もあるそうで、中退もあるとか。
兄は王立シルベスター魔法学園の小学部に通ってます。貴族向けの私立学校ですね。私もそっちか庶民向けな王立魔法学校にするか…春から入学なんで悩み中です。ちなみにゲームのロザリアはまた別のお嬢様学校の卒業生です。ロザリアが礼儀関係はマスターしちゃっており、行く意味がないので除外してます。
母はというと、すっかり病弱設定が消えました。今や普通に公爵領を取り仕切り、茶会で私とディルク様の壮大な愛物語(笑)を吹聴しています。
こないだ仕事で城に行ったら、応援してるからねと涙ながらに王妃様に言われて発覚。いやもう、何してるの母。どこまで広がってるのか何を話したのか恐怖しかないんだけど。
でもおかげで夜会なんかでのディルク様への風当たりがだいぶマシになりました。奥様方は敵にまわしたらいけませんね。
父はなかなか文官が居着かず、私か兄がちょこちょこサポートしてましたが、最近やっと続きそうな方が入ってホッとしてます。
さて、本日7歳!やっと冒険者登録が出来るということで、やって来ました冒険者ギルド!付き添いはアーク。兄は学校、ディルク様はお仕事です。
「いらっしゃい、何か用かしら?」
泣きぼくろがセクシーな巨乳のお姉さん、シェリさんがカウンターでご挨拶。今日も素敵なお胸ですね。羨ましい。ふわふわハニーブロンドも綺麗な美人さんです。
もう何回かお会いしてまして、顔見知りです。
「あら、ロザリンドちゃん。今日は登録かしら?お誕生日おめでとう」
「ありがとうございます、シェリさん。今日も素敵なお胸ですね」
ベシッとアークに叩かれる。
「ナチュラルにセクハラしてんじゃねーよ」
「うう…アーク酷い。シェリさん登録お願いしまーす」
シェリさんはクスクス笑いながら対応してくれました。
「はい、じゃあコレに血を垂らしてね」
針でチクっと指を刺し、石に1滴血を垂らす。石が光り、光はカードに変わった。
「はい、登録されたわよ。再発行はお金かかるから無くさないでね」
「はーい」
昨年マーニャにもらった首からかけるカードケースに入れる。
最近の誕生日プレゼントは、冒険者グッズシリーズなので私はいつでも旅に行けそうです。
「じゃ、一狩り行っとくか」
「わーい」
せっかく登録したのである。ぜひやりたい。低ランクの討伐依頼書を手に取り、早速町の外に出た。
やり過ぎた。
同行者はアークだし、戦乙女の指輪と英知のサークレットを試したのも悪かった。
狩りすぎました。
とりあえず、延々素材回収するんですが、終わる気がしない。目の前には魔物の死体の山である。
結局面倒になったアークが収納鞄にそのまま突っ込みギルドで他冒険者にも解体させるという大惨事になった。シェリさん引き攣ってました。すいません。
初仕事でギルドランクはEからDになりました。
ちなみにギルドランクはSSSが最高で、現在は1人しか居ません。
SS→S→A→B→C→D→Eの順にランクはあり、兄はCランクです。10歳まではポイントが貯まってもよほど特例でない限りCランクまで。
アークいわく、兄は実力的にはBぐらいらしいです。
「しかし大した嬢ちゃんだなぁ」
魔物の死体の山に絶句してたおじ様方もフレンドリーに話しかけてきます。
「嬢ちゃん、何歳だ?こんだけ腕がよきゃあもっと早く登録しても良かったんじゃねーか?」
「今日7歳になりました」
ピシリと固まる周囲。あははは、見えませんよねー。魔法は使ってませんが、私の今の見た目は少なく見積もっても10歳ぐらいかな?
マーサの持ってきた食材達のせいか、私も兄もコウも…ついでにディルク様もでっかくなりました。兄も同級生より頭一つでかいですし、私も身長140はあります。胸はリンぐらいでしょうか。今後の成長に期待します。
ディルク様は…180ぐらいです。獣人的には普通らしい。すっかり男性らしくなり、かっこいいです。
「はぁー、とんでもない嬢ちゃんだな」
アークが苦笑しつつ言いました。
「姉のご主人様だからな」
再びピシリと固まる周囲。待て、アーク。確かに色々頼んではいるけど、マーサの主は父ですよ。
そして大騒ぎになる周囲。
「はああああ!?赤い悪魔姉弟の主だとおぉ!?」
待て、だから…アークも違う!主は父!私は違う!!
「違…「つーわけで、うちのご主人様に悪さしたら…生きてる事を後悔させる」
「具体的に何するか言わないところが怖い!!」
「…というのが姉からの伝言だ。ギルド全体に伝えとけよ?新入りは多少大目に見るが、あくまでもあの姉基準の『多少』だから死活問題だからな」
首を縦にブンブン振る冒険者さん達。すっかり怯えてしまっています。
「ま、これだけ脅しとけばそうそうバカは出ねえだろ。お嬢様、なんかあれば言えよ」
「…よほどがあればにする」
「賢明だな」
マーサが何するかわからなすぎて迂闊なことはできません。こうして、私の冒険者デビューは終了したのでした。
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