第25話 イジメ、ダメ、絶対!
ディルク様と私の昼食という名のラブラブタイムは順調で、私達は普通に打ち解けました。
あ、毎回聖獣様も同伴してますよ。今日は珍しく不在です。途中王様からお呼びだしがあってふたりきりランチですよ。
今日も仲良くランチタイムをしていると、珍しく他の騎士も来ました。
「おやぁ、ディルク様じゃないですか」
ディルク様が咄嗟に私を隠した。緊張している。
気になってたんだよね。最初にあったときお腹空かせてたり、ちょこちょこ怪我してるの。
ディルク様の実力なら、騎士団長クラスじゃないと怪我もしないと思うよってロザリアがいってたのに怪我するなんておかしいよね。
私はおとなしく様子を伺った。
「楽しくピクニックか?下賎な獣だもんな。外ではいつくばって喰うのがお似合いだ」
「兵舎にいると獣臭くてたまんねぇ」
「ちょっと強いからっていい気になってよぉ」
あああ!私がディルク様のために溢れんばかりの愛情こめて作ったご飯が砂まみれ!残り少なかったとはいえ、許せん!!しかもディルク様っていい匂いなんだよ!獣臭いとか気のせいです!ロザリアも激おこです!!いざ、出陣!
「あら、何をなさっているの?」
いきなり現れた妖艶美少女=ロザリア16歳!高位魔法だから、触れるし感覚もある幻術です。
ディルク様によっかかると、ビクッとしたものの顔を赤くして動かない。
「ねぇ、何があったのかしら?」
ゆっくり、高貴で優雅な動きで首を傾げる。ディルク様以外の騎士3人も口をパクパクしてみとれている。でもそんな余裕はここまでですよ、お覚悟はよろしくて?
「私の大好きなディルクのために、私が作ったご飯を台なしにした挙げ句、暴言まで…」
目を臥せ、冷たい瞳を向ける。睨むより、どこまでも冷たい微笑。
「家を潰して欲しいのかしら?貴方たち、私の敵?」
「は?家を潰す!?」
「そんなこと出来るわけが…」
口々に呟く彼らの言葉を遮り告げた。
「出来るわ。私は、ローゼンベルク公爵令嬢だもの。いくらでも方法はあるわ。私か父の不興をかって、緩やかに滅びる?貴方がたの家の不正を暴いて一家断絶ってのもいいわね」
言葉を失う騎士3人。顔色は蒼白だ。
「どうする?ディルク」
「…俺は、ロザリンドに謝ってくれればそれでいい。俺は獣人だから仕方ない」
もおお!仕方なくないんです!!
「私の大好きなディルクを馬鹿にされて、私に我慢しろと言うの?」
「だ、だいすき!?」
え、反応するとこそこですか?さっきも言ったじゃん!普段からめっちゃ態度に出しまくってますよ?
真っ赤になってめちゃくちゃ可愛いけど、ディルク様天然だよね。くそう、後でぎゅーとちゅーするからね!
私はわざとらしくため息をひとつ。
「優しいディルクに感謝することね」
明らかにホッとした表情の騎士3人。でも、安心するのはまだ早いっつーの、馬鹿め!
「ディルクが望まないなら、ディルクの分は罰することはできませんが、私の分は別です」
「え?」
「は?」
「い?」
呆気にとられる騎士3人。私はにっこり笑って言った
「うふふ、私が心をこめて大好きなディルクに作った食事を台なしにしておいて、お咎めなしなんてありえませんわ。罰として私の下僕になっていただきます。ディルクに嫌がらせをする輩の調査・報告と嫌がらせの阻止をしなさい」
「な、なんで俺達がそんなこと…」
「ならば、正式に処罰します?公爵令嬢にここまで無礼を働いたのです。少なくとも、出世はできませんね。私はどっちでもよろしくてよ」
騎士3人はうなだれて、下僕になることを了承した。名前と所属を言わせて、また連絡すると告げた。3人はトボトボと帰っていった。
騎士3人が見えなくなってから、ディルク様が話しかけてきた。
「ところで、ロザリンドはなんでその姿に?」
「ああ、子供の姿じゃナメられるかなって。どうです、好みですか?私、将来有望ですよぅ、美人だしきっと胸もおっきいし」
「げほっえほっ」
むせた。
ディルク様真っ赤になって超むせた。冗談ですよ、軽いジョーク。悪かったよ。下ネタ苦手なんですね。
「お、女の子がむむむ胸とか言わない!」
「で、好みですか?」
首を傾げる。ディルク様、もう一段階赤くなれる余地があったんですね。しらんかった。血管大丈夫ですか?首まで真っ赤ですよ。
「ロザリンドは、かか可愛い…と思う」
「で、好みですか?」
そこはどうしても聞きたいとこなんですよ、私的に。
「好みとかそもそも考えたこと、ない、けど…普段のロザリンドは可愛くて、今のロザリンドは綺麗でちょっと意地悪で…すごくドキドキする。こんなの初めてでどうしたらいいかわからない」
殺 す 気 か
いやいやいや、何コレ!何コレ!可愛すぎでしょう!口元を隠して照れる、ゲームでよく見た仕草の破壊力ハンパないぃぃ!萌え死ぬ。めちゃくちゃときめいてますよ、私!
むしろ私がドキドキしすぎてどうしたらいいかわかりませんよ!!
んもぅ、こうなったらぎゅーの刑です!スリスリしてやります!
「うわあぁ、こここら!ろ、ロザリンドは本当に3歳なの!?」
「あー、身体と半分は3歳だよ」
「は?」
私はかいつまんで話をしました。ロザリアは3歳だけど贈り人のリンは成人していると。
「贈り人のリンがいるから、ロザリンドは俺が気持ち悪くないの?」
「うーん、どうかな?ロザリアには獣人差別意識はないし、むしろディルクと仲良くなるのを賛成してるし」
「…そっか。ねぇ、ロザリンド。お願いがあるんだ」
「はい?」
「リンの姿を見ることは出来る?」
「できるよ」
ゆらり、とリンの姿に変わる。うむ、相変わらず胸無いな。盛ればよかったかしら。
ディルク様はじっと私を見ている。
「どうしたの?」
「うん。見た目は変わっても、君はロザリンドだね」
「胸はないけどね」
「だ、だからそこはいいから!茶化さないで!!」
いや、ロザリアからリンになると胸元が淋しくてさ?ロザリンドは幼児だから仕方ないけど、もう少しボリューム欲しかったよね。
「はー、もう…」
顔を隠して耳と尻尾をぴるぴるさせたディルク様いただきました!
あ、ぎゅーはしたけどちゅーはしてませんでしたね。
リンとディルク様の身長はさして変わらない。私はディルク様の顔を隠す手を取ると、ほっぺにちゅーをしました。
「これからも、よろしくね」
「は、う…うん」
キスされたほっぺをおさえて顔を伏せるディルク様…乙女か!
「それにしても、ロザリンドで散々してたのに、反応違うね」
「小さいロザリンドにじゃれつかれるのと、今の状態でじゃれつかれるのは違うって!」
いや、違わなかったら対象外ってことで私が悲しいか。
考えてたら、ほっぺに感触があった。あれ、ディルク様めっちゃ距離近い!
ほっぺにちゅーいただきました!
鼻血噴かなかった私を褒めてください!!
「こっちこそ、これからもよろしく」
照れたディルク様の笑顔は、今までで1番素敵でした。
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