第27話

僕とアリサさんは、グランド王国の広場で、必要な物を揃える事にした。鉱山の中に入っていくのだから、何かしら必要だよな……と思ったので、食料とか、機材を購入し、準備が整ったので、グランド王国を出て、シュミッツ平原を南の方角に進む事にした。進む途中、僕は、気になっている事があるので、アリサさんに聞いてみる事にした。


「アリサさん」


「ん? 何……? というか、アリサでいいよ?」


「じゃあ……アリサ、私とどうやってパーティを組む事になったのですか? 私、記憶を失ってまして、どのような経緯でパーティを組むようになったか知りたいんです」


そう、気になっているのは、僕=エルフィー・スカーレットが、何でアリサと一緒に冒険者なんかやる事になったのが、凄く気になったからである。


「そうね……あ、エルフィーは記憶を失ってるのよね?」


「はい、そうです」


「じゃあ、最初から話すわね? あれは……そうね、約一年前ぐらいかしら? 私がいつものように、冒険者として活動をしていてね? 依頼内容が一人じゃ難しかったから、誰かに頼もうと思ったんだけど、私って見た目が美少女じゃない? 男に声をかけて、見返りとして、体を要求とかされたらたまったもんじゃないから、そんな時に声をかけてきたのが、エルフィーだったのよ、最初は冒険者には見えなかったわね、えらく高そうな服を着こなしていたし、けどエルフィーがいうには「冒険者ギルドって何所?」って言って、私が案内してあげたら「始めて依頼を受けるんだけど……どれがいいかしら……」とか困っていたから、私が「じゃあ、一緒に行動する?」って声をかけて、そっから一緒に行動する事になったのよ」


「そうだったんですか」


「本当に思い出せない?」


「すいませんが……全く、思い出せないです」


「そう……でも、エルフィーはちゃんと戻って来てくれたし、また一緒に活動出来て嬉しいしね? さ、依頼を完了させましょう」


「そうですね」


アリサの話を聞いて、思った事は、実家で何かがあって、冒険者をやる事になったのか……という事だった。一体何があったんだろ? と思うのだが、今の所、エルフィーが住んでいたと思われるジュド王国には行く予定が全くないので、気にしないでおく事にするか……と思う事にした。シュミッツ平原をひたすら南に移動して、目的地、シュミッツ鉱山と思われる洞窟が見え始めた。

洞窟に辿りつき、中に入ると、ひんやりとしていてかなり涼しく感じられた。


「えっと……依頼内容だけど、オーロラストーンの採取よね?」


「はい、そうです」

「うーん……見た感じ、入り口付近には無さそうね……奥の方に行ってみましょうか?」


「そうですね、あ、でも……奥に行くと、地上の光が届かないから、真っ暗になりますよ?」


「そこは任せといて、こう見えても私は、魔法が使えるからね?暗闇より光を照らせ! ライト・ボール!」


アリサが杖を取り出して、呪文を言った瞬間

空中に光の玉が現れて、洞窟内を照らし出した。


「うん、これで明るくなったわね? さ、奥に進みましょう、魔物が現れたら、退治するわよ」


「この洞窟内に魔物って、いるんですか?」


「いると思うわ、ま、用心しながら行きましょう」


「そうですね」


そう言いながら、洞窟の奥へと進む事にした。

奥に進んでいくと、羽が黒色で胴体が灰色の蝙蝠みたいな化け物が、数体現れた。


「魔物よ、こいつは……テラーバットね! 結構弱い魔物だけど、超音波攻撃をしてくるから、それに気をつけて!」


「解りました!」

そう言って僕は、エミューの剣を構えて、テラーバットとか言う魔物に向かって、切り付ける。テラーバットは「キシャーー!」叫び声を上げて、消滅、もう一体いたので、それも切り付けようとすると、怪音波がわっかが襲ってきたので、それをぎりぎりで回避して、振り向きざまに垂直に切り付けた。何とか二匹を倒す事に成功し、アリサを見てみると


「氷の槍を顕現せよ!アイス・ランス!」


氷の呪文を唱えて、氷の槍を出現させて、テラーバットに攻撃、五体いたテラーバットは全て、消滅した。


「ドロップアイテムはなしか……それにしても、エルフィー、腕、落ちてないわね」


「そうですか?」


「ええ、いいタイミングだったわよ、さ、ここにいても仕方がないし、先を進みましょう」


「そうですね」


そう言って、洞窟の奥に進んでいって、大きな空洞に辿り着いた。


「ここにあるかしら……探してみましょう」


「はい」

そう言って僕は、グランド王国で仕入れた、穴掘り用の道具を取り出して、地面を掘ってみる。土が軟らかいのか、簡単に掘り進んでいき、キンと音がして、何だろうと思い音がした所を掘っていくと、大きめな石が現れた。


「アリサ、これ……」


「ええ、どうやら……オーロラストーンの巨大版ってとこかしら? エルフィー、これを掘り起こすわよ?」


「はい」

そう言って、僕とアリサは、石の周りを掘り進み、数十分後、石全体が見え始めた。


「うん、上出来ね? あとは……」


「あとは?」


「これを砕くわよ? 今のままじゃ、持っていけないでしょ? バッグにも入らないし」


「そうですね、でもどうやって砕きます?」


「こういう時にこれがあるんじゃない」

そう言って、取り出したのは、金属性ハンマーみたいな物だった。


「それは?」


「これは、掘削用のトールハンマーよ? さ、エルフィー、それを使って思いっきり、叩き付けなさい」


「アリサは自分でやらないの?」


「これ、結構重いのよ、エルフィーなら全力で、叩き付けられるでしょ?」

そう言って、アリサが僕にトールハンマーを渡してきた。確かに……持った瞬間、結構重く、普通だったら振り下ろせなかったけど、一度握ってみて、軽く振ってみる。

風を切る音がして、重かったけど、振り下ろせる事は可能だった。


「じゃあ、行きます!はあああ!!」


僕は、トールハンマーを持って、全力で石に叩き付ける。石にひびが入って、粉々に砕け散り、そのかけらを僕とアリサは、バッグの中に指定された量を入れる事にした。

入れ終わった後、アリサが


「うん、依頼完了ね? じゃあ、グランド王国に戻りましょうか?」


「そうですね、あ、でもこのトールハンマー、どうします? 持って行くとしたら、重くなりますよ?」


「そうね……エルフィー、持って行く? もったいないけど、私はここに置いて行こうと思うのだけど?」


「そうですね……重たいし、私もそれでいいです」


「じゃあ、決まりね? では、行きましょう」


「はい」


僕とアリサは、グランド王国へと戻る事にした。グランド王国に辿り着いた頃、時刻はすっかりと夕方に突入していて、夜になる前に、サーシャルランドに戻ろうと思ったので、コリンさんの所に行き、依頼を完了させて、僕はサーシャルランドに戻る事にした。


「エルフィー、やっぱり一緒に行動しようよ?」

とか、アリサが言ってきたけど、僕は


「お店の従業員ですから、それはちょっと出来ません……」


僕が断ると


「そっか……じゃあ、はい、これ依頼料ね? また、何か依頼を受けたら、一緒に活動してくれる?」


「……そうですね……考えておきます、それでは」

そう言って僕は、アリサと別れて、サーシャルランドに行く事にした。サーシャルランドに着いた時は、すっかりと夜になっていて、お店、シュガーレストに辿り着き、中に入ると、店長のアニーさんが


「遅かったわね……時間かかったの?」

と言って来たので


「ええ、まあ……こんな時間になっちゃいました」

「まあいいわ、さ、明日もお店を開くから、もう寝たほうがいいわよ?」


「そうする事にします、では、お休みなさい」


「うん、お休み」

そう言って僕は、自分の部屋に戻り、疲れたので、そのまま寝る事にしたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る