第1話「祐徳稲荷神社門前商店街」④

※場所は前線カフェ店舗内。③からの続き。 (※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーションです。




<バタリと出入り口の音が聞こえる>




祈里いのり:「(※明るい声で)おはようございます。どこに行ってたんですか?」




蒼羽あおば:「(※唸るようなほぼ無言で)……」




美琴みこと:「すいません。昨日は驚かれたとは思うんですけど…大丈夫ですか?今更ですがお名前をお伺いしても…」




蒼羽あおば:「蒼羽あおば蒼羽あおばと言います。昨日の事は夢だと信じたかったんですが、大家おおやさんが言っていた…その…」




神那かんな:「"おとぎ前線"…。私たちは扉の先にある"おとぎ前線"を通ってこの場所に来てる。普通なら日が昇る頃には前線はしまるはずだけど、不思議…この時間になっても閉まらない。それどころか、私たちもこの姿でいられている…。何故?」




祈里いのり:「(※甘ったるい声で)"かんな~あ"、いいじゃない。ここでも、この姿でいられるから。うんうん、沙希さきちゃんも嬉しいよね。」




沙希さき:「はい!お日様が昇ってるこの場所見るのはじめてだから…」




美琴みこと:「昨晩の凄い神気しんきが、ずっとこのお店全体を包み込んでる。この神気しんきの影響で、このお店内なら、いつもの姿でいられるみたい。」




蒼羽あおば:「大家おおやさんが言ってたことは信じることにその神気しんきって何ですか?」




美琴みこと:「神気しんきっていうのは、そのまま”神様の気”。どこの神様か分からないけど、この場所にあるおとぎ前線を強引にねじ開けたままにしている。じゃできない。ウカノミタマ様、つまり、最低限、お稲荷様位の力でないと、おとぎ前線をねじ開けることなんてできない。それにおとぎ前線がねじ開けられてる事をウカノミタマ様は気付いてるけど、そのままにしてるみたい。」




蒼羽あおば:「それじゃあ、そのおとぎ前線が開けられてる状態なんですね。あ、危なくないんですか?」




神那かんな:「そうね…何か意図があって、このままにしてあるんだと思う。でも理由は分からない…。兎に角、私たち4人は、ウカノミタマ様が何もされてないから、この"おとぎ前線"がこじ開けられてる状態を見守ることしかできない」




蒼羽あおば:「まさか、このお店に居続けることですか?」




神那かんな:「う~ん、簡単に言うとそうね。それに誰がこの現象を起こしているのか…。まず、私たちが一族総出でも掛かっても適わない力を持つ神様が何かの理由があってやってるってこと。そして、蒼羽あおばさん、、だっけ?この現象を起こしてるのはまずウカノミタマ様ではないわ。怖い力を感じる…あなたからもその力の影響を強く感じるけど…。その神様と何かがあるの?」




蒼羽あおば:「神様ですか…。基本、無神論者むしんろんしゃなので。(※少し間を空けたあとで)まあ、じゃないのはあなたたちの存在で良くわかりましたけど…」

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