第3話 先生を見捨てる



 私は決めた。

 先生を見捨てよう。


 大変な状況の中、大人がいなくなるのは厳しいけれど、先生にはのうのうと生きていてほしくなかった。


 だってその人は、昔私の友人を見捨てたのだから。


 私には、一年前仲の良い友人がいた。

 クラスは違ったけれど、ずっと前からの友達だったから、よく話したり、よく遊んだりしていた。


 その友達は、いつも笑顔でいて、一緒にいると楽しかった。


 けれど、あるひその子は自殺してしまった。


 私はその原因を必死になって調べた。


 そして、その子がいじめられていた事を知って、その子の担任がいじめを見て見ぬふりをしていた事を知った。


 その子は何度もその先生に相談をしたらしい。

 職員室に行って、話をしようとしたこともあったようだ。


 けれど、先生はとりあわなかった。


 学年が変わり、その先生が私の担任になって、何食わぬ顔をしているのを見た時は、腸が煮えくり返った。

 今こそ復讐する時だ。


「残念です、先生。さようならですね」

「なぜだ。俺が何か悪い事をしたのか!」


 何もしなかったのも立派な罪なのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る