果物が実る木

第1話

　うちの庭にある木は、なにかよく分からないものを実らせる。

　たぶん果物？

　だと思うんだけど、どんな種類か分からない。

　辞書で調べてものってないから、ひょっとしたら新種、とかなのかな。

　そんな果物の見た目は凄く変わってる。

　灰色してるから、一見するとおいしくなさそうだし。

　上部には円錐の形をした白い枝がはえていて、皮はちょっとざらざらしてる。

　中身は、なんだか色々な形の部屋があって、細長かったり丸かったりしてる。

　肝心の実はその中。

　食べてみると、変な味。よく分からない。食べたことがない味。あっ、でも真っ赤な果汁をすすると鉄みたいな味がする事もある。

　一体なんの果物なんだろうな。

　そうだ、果物に詳しいお父さんに今度聞いてみようかな。

　うちのお父さんは凄い。

　どこかの研究所で、食料危機を解決するための研究をしてるらしい。

　果物や食べ物を食い荒らす増えすぎた動物達を減らさないととか言って、いつもあれこれ考えている。

　きっとお父さんなら、知らない果物なんてないはずだ。

「おとうさーん、ちょっと聞きたい事があるんだけど」