第25話 秘宝の守護者
「やっほー。驚いてくれて何よりだよ!」
それは剣の上に浮かびながら、楽しげに笑った。
「挨拶はやっほーじゃなくて、
「おい、ノース。俺を叩け。」
俺はそれがひらひらと宙を舞いながら話すのを見て、ノースに告げる。
「え? あ、はい、行きますよーえいっ」
一瞬戸惑ったノースだったが、俺の言わんとするごとがわかったのだろう。可愛らしい声とともに、俺の背中を叩いてくれた。
「っ!!……夢じゃ……ない?」
ノーズの手がやってくるとともに訪れる痛み。
ゆ、夢じゃないだと……?
じゃあ、これは現実? この手のひらより少し大きいくらいの精霊が宙を浮いて、俺に話しかけているこれが、現実だと……!!?
「アハハハ、まあ夢と思っても仕方ないよね。紹介するよ、僕の名前はアオ。この青の神剣に宿る精霊さ。」
精霊さんはくるりと宙を一回転し、ペコリとお辞儀をしてみせた。
おかしい。アオとかいう安直すぎる名前はおいておいて。
俺らの世界は精霊なんかがまかり通るような、ファンタスティックベイベーな世界じゃないはずだ。
……いや、魔法使う種族も南の方にいるって聞くし、なんなら魔道具的なやつあるし。
そもそも俺ら海賊だし、いまさらファンタスティックベイベーとか言っても、遅いのでは?
「考え込んでるとこ悪いけど、説明させてもらうよ。君たちは七つの大財のうちの一つ。青の神剣を手に入れるためにここに来た。そして、僕は青の神剣を生半可なやつに渡さないための守り神的存在。さぁ、ここから起こることは? もうわかるでしょ?」
なぁ〜んか鼻につくな。
妙に偉そうで上から目線で、まぁ精霊だし。人間なんてってことなんだろう。
「よぉし、分かったやってやろう。腕相撲だな!!」
俺は腕の裾をまくって見せながら言う。
「望むところだ……って言いたいところだけど、今回はパスさせてもらうよ。今までとルールが変わっちゃうからね。」
「今まで……? 俺らより先に来たやつが他にも?」
精霊さんがさり気なく言ったセリフに俺はつっかかる。
今回はってことは少なっともに俺らの前に一度は来ているってこと?
そしてその人たちもゲームに挑戦した。そして、負けた。だから、青の神剣は今もなおその輝きを失っていない。
…………あれぇ、怖くなってきたぞぉ
「そりゃもちろん。大海賊時代の前の帝国時代から。いや、もっと前から、色んな人が偶然必然関係なしにやってきて、すべからく負けていったのさ。」
パチリとウィンクして精霊さんが言う。
かわいいじゃんか。
「ルールは簡単。君と僕。それぞれ大事なものを三つ紙に書こう。そしてジャンケンをして、勝ったら相手のカードを一枚引き、それが何なのか当てる。正解ならそのカードはもらえて、不正解なら相手のターンで自分はヒントを言わないといけない。どう? 面白そうでしょ?」
久しぶりの勝負に若干興奮気味の精霊さんが、満面の笑みで詰め寄ってくる。
「元帥、大丈夫ですか……?」
「わからんけど、多分きっとメイビーなんとかなる」
不安そうなノースに、俺は適当な返事を返した。
一つ言っておくと、俺は頭がそこまで良くない。
…………終わったやんけ
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