第2話 追放宣告されたので家出を決意しましょう
身体に巻かれた包帯が外れて医療室から出ることができるようになった。
しかし自室に戻る前に使用人がやってきた。
「シャルロット様、ご当主様がお呼びです」
なんでも、私の父親である【ラングロ・ディルマーニ】が私に客間に来るように言っているらしい。
――まったく呆れるわね。生死の境をさまよっていた自分の娘の見舞いに来ることもなく、ようやく快復して動けるようになったと思ったらすぐに呼び出しなんて。
無視してやろうかとも思ったけれど、あからさまに反抗的な態度をとって余計に目をつけられるのも馬鹿らしい。なので言われた通りに客間へと向かう。
そこで待っていたのはラングロともう1人、会ったこともない醜悪に肥え太った服装だけは貴族っぽい中年の男だった。
「遅いぞシャルロット。お前の婚約者がお待ちだ」
「いえいえ、さほども待ってはいませんとも。ディルマーニ伯爵」
ラングロの言葉に、中年の太った男が笑って答えた。
――婚約者……? ああ、なるほど。そういうことね。
理解するのは簡単だった。
中年の男は子爵の爵位を持つ貴族であり、つまり、ラングロは厄介払いするためにこの男に私を売ろうというわけだ。
子爵の舐めるような視線が私の身体を上下して怖気が走る。
――うわぁ……キモイ。私って、いまは誰の目から見てもただの幼女よね? それもたった6歳の。なのに、なんかめちゃくちゃ性的な視線を感じるんですけど……?
私が背筋を震わせて数分、話はまとまったようだ。
子爵は、なにをいまさらといった感じだが、6歳の幼女を
10歳って。充分に外聞は悪いでしょ! と思ったが、まあこの貴族社会ではそんなに珍しいことでもないらしい。
――あーヤダヤダ。こんなロリコン親父に10歳で
子爵が満足げに帰途に着くのを見送ったあと、
「ようやく貴様を追い出す先が見つかって安心したぞ。いいか? 貴様のような出来損ないをもらってくれる者など他にはどこにもおらん。だからせいぜい子爵に気に入られるようにすることだ。分かったな?」
なんて言い残してラングロは私を残してさっさとどっかへ行ってしまう。
えーっと、それってつまり追放宣告?
ついさっきまで医務室にこもり切りだった私に対しての労わりの言葉の1つも無しでいきなりの邪魔者扱いですか、ああそうですか。
まあ私の方も、最初からこれっぽっちも期待なんてしてないけどね。
――さて、じゃあ10歳までに家出してやりましょうか。
ラングロの面目を丸潰し&苦労を水の泡にしたうえで私は自由を手に入れられる。
一挙両得とはこのことだわね。
――そうと決まれば10歳までの残りの4年間、全力で自立の準備をしましょう。
私はそう固く決意したのだった。
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