美しい世界観を表現したかったのだろうね……多分
星空
「……見て見て、本当にここに来ると、星はきれいね」
ここは山。
満天の星空が見たい私と私の友人は、空気が澄んでいたり暗かったり星空を見るのに最適な山に来た。
予想通り、星はたくさん見えた。
いつも見ている何気ない空にこんなに星があったとは。
こんな景色を知っているヒトは日本でも少ししかいない気がして、ちょっと得意気になった。
「……ねえ」
「えっ?何?」
「山じゃない、自然の少ない場所に出るとこの満天の星空は消えてしまうのよね……。」
「……そう、だね」
急に話しかけられたもんでびっくりしたけど、友人の言っていることは、正しい。
「……街灯が、関係してると思うよ」
正しいであろう自分の意見も出し、少し考え込む友人がこっちを向いて言った。
「明るく照らす光で、見えなくなってしまうものもあるのね」
次の瞬間、友人が足を滑らせて崖から落ちてしまった。
深く落ちていく。
地上に落ちていく。
きみに、この満天の星空が見えなくなってしまった。
……いや、もしかしたら、天国へ昇って、私が今見てるよりもずっときれいな星空を堪能するかもしれないけどね。
でもあの"身体"にはもう満天の星空を見ることはできない。
きみの眼球を、星空をギュッと詰め込んだ小さな球にでも変えてしまいたいな。
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