婚約破棄されたので、うどん屋を始めました ー異世界でもあの味をー

つきがし ちの

プロローグ

思い出したのは、最悪のタイミング。


「レドフォックス嬢、ごめんなさい。

でも、ダグレ様をお慕いしておりますの。」


「幼い頃から婚約者として共に過ごしてきたテールには、

申し訳ないと思っている。

それでも、自分の気持ちに嘘はつけない、彼女が好きなんだ。」


これが小説の世界で、私は小説のキャラに転生したことを。


そして、今のこの場面は

小説のラストシーンだ。


あの小説では、私は彼らに怒り狂っていたけれど…


「そう、おめでとう。お幸せに。」


私にはそうすることができず、


表情を変えず、涙を一筋流しながらそう言った。


こうして私、テール・レドフォックスは、

皇太子殿下と婚約破棄をすることとなった。




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