第4話 おふろー

 たまたま、どの子もお風呂が好きだ。

 ありがたいことに、沐浴もくよく(ここでは、首のすわっていない赤ちゃんを洗うこと)を嫌がる子はいなかったし、大きなお風呂にも喜んで入ってくれる。


 ただ、私自身を洗う間、安全に待ってもらう必要がある。


 ハイハイできない頃なら、沐浴時と同じように風呂場の外に着替えセットを用意しておいて、自分はぬれたまま、子どもを洗ってふいて着替えさせて、風呂場の外で待機してもらっている間にマッハで自分を洗ってふいていた。

 

 しかし、ハイハイ、つかまり立ちまでできるようになると、そうもいかない。


 お風呂場の外すぐに玄関があるので、風呂場の外に一人で待たせていると、靴を口に運んでしまっていた。今度は玄関をなめてしまうかもしれない。


 沐浴に使っていたベビーバスを風呂場の洗い場に持ち込んでみたが、さすがに大きさが合わなくて狭いし、自ら出ようとしてひっくり返りそうになったのでやめた。


 次に目をつけたのがバケツだった。


 プラスチック製の大きめのバケツをきれいに洗ってミニ湯船として使うようになった。


「おふろー」


 子どもは喜んでそこにすっぽりとつかり、オモチャで遊ぶ。

 その間に私は超特急で自分を丸洗いする。


 冬はすぐめてしまうので途中で差し湯する。

 夏の朝や昼間でも、バケツなら簡単に水風呂が楽しめるので、毎朝のように入りたがった。

 バケツに入ってオモチャで遊び、立ち歩けるようになってからは、自らバケツに出たり入ったりしながら、バケツの水をうまく使って遊んでいた。


 某目玉の親父さんのお椀のようにゆったりした湯船ではないのに、とっても気に入っていた。


 でももうそんなことは記憶にないんだろうな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る