ほのぼの(?)子育て名言集

高山小石

第1話 どどどどどーんっ

 保育園に子どもを送っていった帰り道、たまに涙が止まらなくなる。


 ああ。このまま、この道路に飛び出せば死ねるかな?

 高い所ないかな? 何階くらいから飛び降りれば確実だろう?

 

 でも、後片付けする人たちに申し訳ないから、もっと迷惑のかからない方法は……。


 家に帰り着いても、せっかくの一人時間を使いこなせない。

 自分の好きに使ったら怒られそうで怖い。今、家にいるのは自分一人なのに。

 家事をしたくてもできない。


「毎日掃除機かけるなんて神経質か!」

「トイレ掃除なんか普段しないのに!」

「夏に熱い味噌汁なんか飲めるか!」


 怒鳴られた言葉が身体を縛っていて動けない。


 毎日掃除機をかけていたのは、産院や検診で清潔にするように言われたのと、子どもがアレルギー気味でダニやホコリをできる限り排除しないとかゆくなるからだ。


 来客の前にトイレ掃除は必ずしていたし、少なくとも週に1回は丁寧にしていたのが、来客前に怒鳴られてできなかった。来訪した男性客から「奥さんがトイレ掃除してくれないなら自分でしろよ~」と言われているのを聞いて以来、トイレ掃除ができなくなった。タイミングがわからなくなったからだ。


 作った料理に文句を言われると、なにを作っていいのかわからなくなる。汁物が減り、おかずが減り。もはや自分がなにを食べたいのかもわからなくなった。


 そんな自分が情けなくて泣けてくる。


 ぼんやりしている間に迎えの時間になって、子どもを迎えに行く。


「ママ、しんだらイヤだからね!」


 どこからそう思ったのか、子どもは言う。

 

「どどどどどーんってくらい、ママすきーっておもってるからね!」


 ありがとう。

 こんなダメなママでごめんね。

 うん。まだ死なないよ。

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