第12話 獣化はふんどしで



ジュッジュッジュッー


パカっ、、ジュワー、、パカっ、ジュワーー


「フンフーン♫俺は英雄ー♫英雄ー♫世界一の虎は英雄!味付けはショーユー♫」



獣人は朝から肉が食える!!



誰かが言った


何なら3食肉だけでも大丈夫


とゆーかぶっちゃけ一生肉だけでもいい



とゆー訳でイガーは朝からオークジェネラルの薄切り肉に塩と胡椒をふりかけサッと焼いた後に

レモンと醤油を少しずつかけた


「クー、めっちゃ良い匂い!」


さらにお肉をお皿に移した後に目玉焼きを焼く


さらに玉ねぎのお味噌汁


蒸した芋、暖かいお茶を用意して

ワゴンで村長宅へ届けた


「村長おはよう御座います」


「おお、イガーおはようさん、朝早くからありがとうな」


「いえ、中で食べますか?広場にしますか?」


今朝は快晴だ


「うむ、せっかくだから外で食おうか」


「分かりました、用意しておきます」


嫌に礼儀正しいイガーだな、と独りゴチる村長


機嫌が良さそうだ!


ふぁーあ、遅くまで話し合ってたせいか少し眠い村長であった



「みなさん、おはよう御座います

朝食なので少し軽めにしておきました。」


「おお!イガー君おはよう、朝からご馳走じゃないか」


「イガー君おはよう御座います!今朝もこんなに美味しそうな朝食をありがとうございます」


「虎のおじちゃんありがとー」


「お兄ちゃんだぞー」額にピキピキ血管が浮き出る




「この醤油ってのとレモン合うな」「目玉焼きと醤油も合ってる」「オークジェネラルうまっ」「蒸した芋何本でもいけそう」「王都での食事より豪華!参加して良かった」「ヌオオオオッーやはり醤油欲しいぞー」




やはり獣人は肉が大好きである


オークジェネラルというだけあって

朝からでもたくさん食べている

サッパリ味にしたのが良かったのか


イガーは大満足である


「あの、。おかわりありますぜ」


「おかわり」「オカワリ」「全部くれ」「お土産に」



オークジェネラル様様だな


また見つけたら狩ろうと心に決めたイガー!





朝食も終わり村長は養殖場へ奥様と女の子を案内するというので

獅子獣人とイガーと執事は狩りに行くという


熊のブーはなにやら別行動らしい



「それではまた後ほど」








「なるほど、、ではこの魚1匹で金貨1枚「約10万円」切り身にして3枚で銀貨1枚だとして


半身で元が取れる計算、、更に骨と頭と皮から副産物として、、儲けが1匹につき金貨2枚か、、


それならブツブツ、ブツブツ


村長「あの、、王妃様、、」


王妃「フフ、、なんですか?今計算をしてますのよ?」


ゴゴゴオォーと圧力を感じた村長はそっとしておこうと思った


なるほど!あの獣王様が経済など出来るわけもない


王妃様あっての王都であったか


この事は内緒にしておこうと決めた村長であった


お金のことは女性に任せておけば大丈夫だな、と心に決めた




「村長〜♫ではこれからは定期的にお願いしますわ」


「ハッ、仰せのままに」


「あとはこのお魚さんをどう食べたら1番美味しいかって所も教えて貰えると助かりますわ」


「それについては今夜か明日にでも」


「またイガーちゃんに任せてくれたら、、サ、イ、コ、ウ、なんだけどね!!ウフフ」



「ハッ!仰せのままに」


「また喜んでくれるかしら!

この国の未来がかかっています

よろしくおねがいしますね」


「ハッ」





獣王様は猪突猛進タイプで感情剥き出しで分かりやすいが

さすが白の一族!


この世界はどこの国も外にいる魔物を討伐してその日暮らしか基本だ


ソレをいつか食料不足が来るんじゃないかと

牛を村で育てたり、魚を湖で育てたりと

先見の明がある


恐ろしや、、、





⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎



「この辺りでよかろう!」


「そうですね」


「こんなだだっ広い所に魔物はいないんじゃないか???」首を傾げるイガー




「そうだな!」

そう言いながら「ムンッ」と魔力とは違う

自らの身体から発する闘気みたいなものを身に纏い

獅子獣人の姿からライオンの姿になる


眼は紅く、タテガミも立派になり、身体中から湯気のような闘気を溢れ出し

もしこの魔物が殺気を込めれば一目散に逃げたくなるのではないか、と


身体から警告音が鳴り響く



「なっ!!!」


ジリジリと脚が後ろに下がろうとする



「驚かせて済まない、、コレは獣化!という


我々獣人は元々獣だった


その獣にヒトのような二足歩行、知恵、魔力を授けてくれたのが

獣王神「ザイガー」様だ




シュンッと元に戻る獅子獣人


すると横から補足してくれる狼獣人のアレフ♂爺


因みに養殖場にいる狼獣人のアルフさんの弟らしい




「昔、まだ獣人が存在しない頃

ヒト種族と魔族で争っていました


その頃我々の祖先は魔物なので討伐対象、所謂食料や加工品の為の獲物ですね


絶滅した種族もたくさんいます


昔は本当にもっとたくさんの魔物「動物」がたくさんいたそうなのですが、、、


ヒト種族と魔族によって壊滅状態

そのまま続けられたら全滅してた、、


そんな時に獣王神ザイガー様が

魔物にヒト種族みたいな知恵を

魔族みたいな魔力を与えてくたさり

今の争いがほとんどない力が拮抗した世界になったそうです



所謂三すくみですね


何処かが崩れれば

また争いの世界になるやもしれません




「ザイガー様、、、?、?」


「うむ」


「はい」


「俺とちょっと名前似てるな、、」


「ギクッ」


「!!!」


「親父が神様の名前使っちゃったのかな!アハハ

ねえねえ、それって不敬罪って奴にならないよな?

俺イキナリ名前で捕まるとか嫌だぜ」


「ああ、それなら大丈夫だろう」


「はい」


「そっか!なら良かった」


ホッと息を吐く2人



「でさー、その獣化ってのは俺でも出来るのかな?

なんか、、こうグワーって強くなった感じがしたんだオッちゃんが」



「ああ、なれるな!というかもう既に片脚突っ込んどるぞ!ブーが言ってた」


「え?そうなの?」


「コレを覚えれば更に強くなれるぞ?」ニヤリと笑う獅子獣人


「頼む!教えてくれ、、いや、、教えてください!」


「キツイぞ、、?」


「失敗して死んでもいい、、俺は強くならなきゃいけないんだ!お願いします」


頭を下げるイガー




しかし、、死んでもいいは言い過ぎだろう、、と後頭部をポリポリ掻く獅子獣人


「その意気やヨシっ!早速やるか」


「私も陰ながらサポート致します」


「ヒャッホー!まず何をやればいーい?」


「そうだな!!まずは3人で鬼ごっこだな?」


「、、、」



そんなんでさっきの獣化出来るのかよ?って口から出そうになったが

教えてくれると言ったのだ

黙っとこう




この後4時間位ずーっと鬼ごっこしてたが

ほとんどイガーが鬼だった


なんなんだこの2人速すぎだろ

俺よりはえーとかやべーからマジで!






「そうだ!ソコダッ」


「ハァァァッーーーー」


「暴走したら私が止めます、遠慮なくどうぞ」


「ヴヴヴヴヴアアアアーーグルルァァー!!」



ドンッと音と供に静かになる



すると四足歩行状態のイガー


眼は紅く、体毛が伸び、縞々の模様も濃く、尻尾も太く、爪も長い、、若干表情も険しく、眉毛も凛々しくカッコよくみえる


「おおっ!ついに」


「いやはや!!そっくりですね」



「ガオオオオゥゥーーーー」


獣化したイガーが吠えると辺りから鳥や小動物、生き物の気配がどんどん離れていく


一気にサーーっと静かになる森






「どら、試しにあの大木を殴ってみよ」


獅子獣人が指差す先にあるのは


横幅10メートルはあろうかと思う大木だ!


今までなら「いや、無理でしょ」と思ってただろう


だが今は、、、いけそうな気がする




「ガアゥッ、、」一瞬で大木に迫ったイガーが勢いよく右手をズバッと振るう


すると空間が削れたのかと見間違えるほど

一瞬大木の上の部分が浮いて!!!


ズダーーーんと落ちた


空間ごと削り取った感じだった!、!



「フー、。。フー、、、フー、、、やっ、、、た」



獣化が解け、いつもの虎獣人イガーに戻りパタンと倒れた


「イガー様」駆け寄り身体を持ち上げる狼獣人のアレフ


「のう、アレフや」


「ハイ、獣王様」


「今、、たしかに時が動いたな」


「、、ハイ」


「獣王神様もさぞお喜びだろう、、後継者として充分過ぎる素質ではないか」


「ハイ」


「ワシは鬼か?」


「、、、いえ」


「誤魔化すなっ!」


怒鳴られた声でビリビリくる!アレフ



「我が子に、、ごく普通の幸せすら与えてやれなんだ」


「、、、」


「そんなワシが、、良い親なわけが無い、、、なあ、アレフや」


「ハイ」




喜んだ!


獣化が出来、喜んだ


しかし、それ「成功」はまたこの子を戦いの場に送り出す事になる


むしろ堕落し、アヤツみたいに遊び呆けてた方が幸せだったかもしれぬ


だがイガーは違った


優しく、強く、真っ直ぐだ


導かれたかのように


一国の王としては嬉しい


優秀な民は財産である


だが親としては、、、、、


「本当はただ毎日平和に、、親子で過ごしたいだけなのだがのう、、」



「王よ、、村へ戻りましょう」


「、、、うむ」







「なあ、聞いてるか?ブー」


「なーにー、、聞いてるよさっきから」


「俺さ獣化っての出来たんだぜ!もうちょっと練習すればもっと強くなれる、、そしたらこの前のエンペラーだってやっつけてやるからな」


「わかったよ!頑張ってね」


「なあ、オッちゃん、、ほかにアドバイスとかないかな?、、あの状態を長く続けられるようにさ」




村へ戻ってきた3人は何故か入り口でバッタリ会った熊獣人のブーの家にいた





「そうじゃなー、、」


「おっ!なんだ、なんだ?」


「ふんどしじゃな」


「ふんどし?、、ふんどしって布だろ?」


「ああ、、腰布だけだとな、、、」


「うん」


「四足歩行状態になるとお尻の穴が丸見えじゃのう」


「なっ!!!」



くすくす笑うブーとアレフ


イガーは顔が真っ赤だ


「フッ、、それは困るじゃろ、、ホラ」


シルク「蚕生地」のような滑らかな真っ白い生地


だいたいこの世界ではゴワゴワした布なんだが


獅子獣人のオッちゃんが出してきた生地はとても滑らかだ


「へー、やっぱり王都のは違うんだな」



「男の子は身だしなみも大切じゃからな!いつでも戦えるよう、毎日しっかり褌をつけておけよ」


「わかった、ありがとな」


「よい」






晩飯は皆んなで豚しゃぶならぬ


オークエンペラーしゃぶしゃぶなる物を食べた


何でもブーは朝からゴマという実を収穫し


美味しいタレを作ってたそうだ



テーブルに沸騰したお湯を用意し、その下に小さい赤い魔石を発動させたらずっとグツグツなる


その中に各々肉を入れて好きなタイミングであげて


ゴマダレというタレを付けて食べる




また美味いとか、死ぬとか騒ぐのかと思いきや


みんな無言だった!


どうやら美味しすぎて言葉が出なかったそうだ


そしておかわり、おかわりでとうとうオークエンペラーを全て食べてしまった


あんなにたくさんあったのに、、、




そうそう、ノム爺が楽器なる物を作ったみたいで

食後に音楽を奏でてくれた


ソレを聴いてたら誰かが踊り出したから

結局みんなで踊った


獣人だから身体がつい動いてしまったといった方がいいかな




人一倍はしゃいだ俺はちょっと休憩していたら


熊獣人のブーも来て休んでいる


「みんな元気だな」


「そうだね」


「今度このゴマダレ教えろよ」


「フフフ、いいよ」


「あと、またオークエンペラーを狩りにもな」


「うん」


「なあ、、、」


「ん?」


「踊らねえか?」


「脚踏まないでね」


「なっ!俺は踏んでも痛くねえぞ!そっちこそ踏むなよ」


「フフフ」








次の日イガーの脚は真っ赤に腫れていた


熊獣人のブーは踊れなかったらしい



「先に言えよなー、、トホホ」







獣王都、現獣王レイガー、スピリット、レオクローム


紛う事なきイガーの父親である


でもイガーの記憶にある父親とは違う


そして何故両親は名乗らないのか


その秘密はもう少し先の話である






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