第6話 1狩り行こうぜ


ドンドンドン


ドンドンドン


「イガー、、いるか?」


、、え?まだ日の出前だろ?


ベッドから起きてキョロキョロと窓の先を観るとまだ薄暗い


誰だよこんな朝っぱらからドアを叩きやがって!



寝起きを邪魔されイラッときたイガー



ガチャン「誰だよこんな朝っぱら、、、」


「ああ、すまんな」


「なんだ、村長か」


村で1番偉い村長だったので怒るに怒れなくなったイガーは後頭部をガリガリ掻いて気を紛らわした



「起こして済まない、先程王都から連絡があってな

2.3日中にこっちに来る事になった

仕事は休んでいいからブーと2人で狩りをしてきてくれ

ご馳走を用意して欲しいんじゃ」


「へーい」


なんだ、、仕事休んでいいのか、、やったぜ♫


しかも大好きな狩りと飯作りだ


何にしよう、、王都の人は何が喜ぶかな




さっきまでの怒りはどこへやら

早速どんな料理にしようかワクワク、ウキウキする虎獣人のイガー



なんだかんだまだ子供なんだなーと村長は内心喜ぶ



「伝えたからな、準備が出来次第ブーのとこへ行ってくれな、

あ、くれぐれも怪我だけはしないように

まあ、ブーがいれば大丈夫だとは思うが!

頼んだぞ」



「?ん?、、、ブー???」


村長が帰って行くのをジィーッと見続けるイガー


「え?俺1人じゃないのか?」


!!ガーーン!!


顎が外れて地面にまで着いちゃうんじゃないかって位驚いたイガー


マジか?アイツと?2人で?狩りかよ!!!


逃げようかな、、


一瞬本気で考えたが

村長からの頼みだ、しかも王都の人達をもてなす料理



「ああああー、、天使と悪魔がきちゃったよいっぺんに」


部屋をゴロゴロ転がるイガー



フーフーフー、、疲れた



準備しよ!



さっきまでのオーバーリアクションは何だったのか

イキナリ冷静になって準備するイガー


立ち直りが早いのもイガーの良いところである



えーっと!俺は武器は持たないけど解体用にナイフと持ち帰る用に縄

普段着でよくて、、あ、念のため魔石を色々持って、、


あとは収納に色々隠していざとなったら使える様にしなきゃな


昼飯に干し肉とジャムと木の実とフルーツ



こんなもんかな。ヨシっ!




朝飯に火鶏の塩漬けを茹でて葉っぱで包んで完成


茹でたからさっぱりいけるはずだ


一応、、アイツの分も用意して、、さあ出掛けよう


遅かったね」なんて言われたら腹立つからな




「おーい」




、、、


コンコン




、、、



ドンドン



、、



居ねえのかな。



ガチャッ


開いた!!


そーっと中を覗くイガー


「、、、留守かー?」


起こしたら悪いからな、、念のため小声だ




おかしいな、、村長は言っとくって言ってたはず



反応が無いのでそろり、そろりと中へ


そしたらバカデカいイビキが聞こえた



グガアー、、ゴー、、、グガアー、、ゴー


「なんだよ!うるっせえな、、ドラゴンかよっ」


ヒュルヒュルヒュル、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。



グガアー、、ゴー



おい!今1分くらい呼吸してねえだろ


なんだコイツは、、



段々腹が立ってきたイガー


近寄っておでこにベチンッとデコピンをかますと


やっと起きた



「ンアっ???アレ?イガー?」



「村長から聞いてねえのか?狩りに行けって」


「、、、あっ、、忘れてた」



ガクッとくるイガー


「あのな、、王都から来るんだろ、、早く行こうぜ」



ここで怒ったらミッション失敗で村長に怒られる


俺もそろそろ大人だ!ここは我慢だイガー!



「、、うん!ちょっと待ってね!、、ハチミツ舐めてもいーい?」


「はあ?ハチミツ?なんだよソレ」



まだ待たされんのかよ、と怒りそうになるも

ハチミツ?なる物を知らないイガー

ちょっと気になる


「それなら俺も鶏肉持ってきたから一緒に食おうぜ」


「うん、ちょっと待ってね」



奥の方からデカい壺を持ってくるブー


おいおい、身体の半分くらいねえか?


「なんだ?ソレ」


ドーンッと机の横におくと手で取ろうとするブー




でも今はお客さんがいるんだった!


キッチンから木のスプーンを持ってきて何回もよそう



お互いの席に置いたら準備完了



「いただきます」


「、、、いただきます」



イガーにはスプーンでよそったが

自分は壺から直接だ!


そんなちまちま食ってられないと言わんばかり


アムアム飲み込む


なんなら壺に顔を突っ込もうとしてる



「おいおい、朝からすげーな、、いつもこんなもん食ってんのか?」


「アムアム、、ドロリっ、、え?なにー?」


壺に顔を突っ込んでるからもはや聞こえないみたいだ



呆れながらよそってもらったハチミツをひと舐め



身体の毛がゾクゾクっとくるイガー


「うわっぺっぺっ、、なんだこりゃ、、甘ったるい」


そんな事はお構いなしに食べ続けるブー




「おいっそろそろいいだろ、、食いすぎだ。」


やっと止めに入ったイガー


壺にたくさんあったハチミツはもうすっかり減っていた


「あっ、、ごめん、、またやっちゃった」


口やら手やらハチミツでベトベト


そのままでは何もできないから洗いに行くブー




やっぱり、、、かなり変なヤツだな


この前考え込んだ俺がバカだったぜ


あんなもん食って腹壊さねえのかな?




ハチミツは気に入らなかったが

朝ゴロゴロ転んだ時の擦り傷は治っていた


しかしそれに全く気付かない鈍感な虎獣人




「準備は??それに何を狩る?」


「うーん、、イガーってレベル幾つ?」


「あ?俺は今30前だな」


何となく濁す!この世界では詳しく言わないのが当たり前らしい!

親父にそう教わっていた



「30か、、じゃあエンペラーいっちゃう?」


「エ、エンペラー?」


「え?知らない?」


「エンペラーって何だよ?つえーのか?」


「まあ、、エンペラーって言う位だからね」


「ほー、、、ヨシっじゃあそのエンペラーって奴狩ろうぜ!もちろん美味いんだよな?そこ大事だし」


「うん!エンペラーなら王都でもなかなか食べれないからね!間違いなく来た人達みんなビックリするし、美味しいーって叫ぶよ」


「そうか!そいつあいいぞ!早速行こう」



喜ぶならそれで充分だ。よーし、パパッと倒して早く帰ってきて準備しねえとな



「行こうぜ」


「うん」


結局話が終わったらすぐ行けるらしい


準備らしい準備をしてない熊のブー


なんだ、、、大して強くないのかと思ったイガーである


しかしソレは違う、、、どころか、かなりやばい敵だった






「おはようロームさん」


「おはようございます」


「ああ、村長から聞いてるよ!気をつけて行ってきてな」


「へーい」「はーい」




「んで?どっちなんだ?そのエンペラーって奴は?」


「ちょっと待ってね!今サーチやるから」





サーチとは言ったが熊のブーはサーチなんて使えない


一般的に敵を探したりするのがサーチというだけで


「スキル森之王」と「ハチミツ大好き」を持つブーにはサーチより詳しく、広範囲を調べられるからサーチはいらないのである


「ミツバチさーん、ミツバチさーん、、聞こえますかー?」


念話で呼びかける熊のブー


すると視界が一気にブーとイガーの頭上の空から森を見下ろす視界に変わる



#たくさんの監視カメラ映像が目の前にたくさんあるイメージです

その中で気になるのがあればそのカメラ映像のみアップで観れるというぶっ壊れスキル





昨夜から森全体に数千匹のミツバチを展開し

森を把握していたブー


さらに!100匹を1つのグループとして

森の中にいる魔物を探してもらっていた




んーと、、、エンペラーは、、



!!いた!!



「ちょっと離れてるから走って行こうね」


「そんなの当たり前だろ、、先に行ってくれ

俺は場所がわかんねえから」


「わかった」



かなり速いスピードで走る熊獣人


それもそのはず、遅いイメージかもしれないが熊は元々脚が速い、さらに高レベルである


周りの景色がどんどん流れて行く



だが、レベルでは劣る虎獣人だが

そこは虎獣人!


熊より速い!!


何なくブーのスピードに付いていけるのであった




「このまま直線で2山越えるから、先に行ってもいいからね」


「、、ああ」




サーチって2山先まで分かるのか?すげーなサーチ!

俺も欲しいぜ!



かなりチートスキルなのにイガーは何とも思ってなかった

ただ、ただ便利なスキルもあるもんだ、と



やはりまだ若いのである!





結局イガーはブーから離れなかった


それよりも途中気になった物を採取していた


ブーは全力だったんだけどね!


「レベル上げまくったのに、、種族値に偏り有りすぎだよこの世界」


ブーは独りゴチる


ま、持久力なら負けないからいんだけどね!






時間にして1時間半


一直線に走ってきた2匹


そろそろかなーと思う所でブーが止まる



そこでしゃがみ込みイガーを呼ぶ


「このまま直線で3キロ先

お互い意思の疎通が出来ないと危ないから」


ブンッ!


手元にミツバチを2匹召喚


「?!?!」


驚くイガー


「大丈夫、この子達は僕のスキルだから

イガー1匹肩に乗せるね!

普通に話せばこの子を通して僕に声が届くから

何かあったら話しかけて」


「、、わかった」


イガーは深く考えない


目の前に敵がいるのだ


必要最小限の情報だけを頭に入れ、どう動こうか考える


イキナリ2人で連携なんて出来ない


それなら各々の個人プレーで敵を圧倒すべきだ


「俺が先に行っていいか?」


イガーが真剣な眼差しで問う



「もちろん!危なそうなら必ず助けるから

敵から離れていいからね」


「わかった」




イガーのやり方はいつも暗殺だ


景色に溶け込み


近づき


1発で仕留める


もし1発で倒せないならすぐ離れる


ヒット&アウェイだ




それに観られたくないスキルもあるしな






指で自分を指して敵の方に指を刺す


じゃあ行くからな」という合図だ


こくん、と頷くブー


その後すぐ景色に溶け込み、見えなくなるイガー



一瞬見失うが

ミツバチを渡してるので位置は分かるんだった


ちょっと焦ったブー





さらに!敵の周りにはミツバチが展開している


イガーに何かあればすぐに飛び込む


その為の、、、準備を、、、





クイーンキラービー召喚」


ボフンッと煙から出てくるキラービー


「ここに居てね」


主が真剣な眼差しなので


コクンと頷き待機する






「さーて、エンペラーちゃん、、どんなかなー」



エンペラー???


って何だっけ?


例えばオークだと、、


オーク「Dランク」


ハイオーク「Cランク」


オークジェネラル「Bランク」


オークキング「Aランク」


オーク、、、、エンペラー?!?!?!「Sランク」?!





森の中の廃墟みたいな所


その奥からやばい気が漂ってる


さらに一体のエンペラーの前にはオークキング2体とジェネラル3体


それに、、ハイオーク10体、オーク達もいる


総勢30匹余り





汗がツーっと垂れる


「おいおい。、、あの熊やっぱりバカだな」




「チッ、、今更引けるか」




瞬時に作戦を考える


壊れた建物を背に、1番奥にエンペラーがいるから


雑魚を倒さねえと攻撃出来ねえ



こりゃ暗殺向きだな






まずは1番近いオークから



小さい石をオークの近くに投げる


その瞬間敵の背後に回り込む


カラン、コロンッ


小石に気付いたオークが不思議そうに観る


「グサっ」


ドスン



よしっ次




同じようにオークをどんどん倒してくイガー



しかしどんどんいなくなるオークに


ハイオーク、ジェネラル、キング、エンペラーが気付き


構える








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