筋肉女子の内ももは、弱点まみれ

「マユってさ、足も引き締まってきたよね」


 またもわたしの自室で、シノがわたしの足に触れてきた。

 パッツンパッツンになった太ももに、手を這わせる。


「走り込みとトレーニングで、筋肉量は増やしたよほおおおお」


 スカートの中にまで手を入れようとしたので、わたしは慌ててシノの手首を掴む。


「待て待て。やめんかい」

「なんで? どこまで筋肉がついているかわかんないじゃん」

「じゃあ、スカート脱ぐよ」


 わたしは、制服のスカートを下ろす。


「ええ、丸見えになるよ。いいの?」

「ボクサーショーツだし、別にいいよ」


 ショーツ姿のわたしを見て、シノはガッカリした顔になる。

 

「もっとカワイイの穿きなよー」

「モテモテのあんたと違って、カワイくないからいいもん」


 シノは男子からも注目の的である。

 一方、わたしは男子から相手にされていない。

 階段の手すりから落ちた男子を助けたことがあり、「胸の付いたイケメン」と言われたことがあるが。


「でもあの男子って、彼女いるんだよね」

「知ってる」


 彼女にカッコいいところを見せたくて、手すりからジャンプしようとしてつまづいたのだ。

 その姿が間抜けて振られたとも。

 

「別に興味ないし」


 わたしだって、そんなイキったやつは苦手だあはああん。


「何をするだぁ!?」


 回想中に、いきなり触るなや。


「だって、ひきしまった筋肉大好きなんだもん」

 

 いくら家でも下着姿でうろつくのはちょっと、とシノがいう。


 わたしはショートスパッツを穿いて、シノに足を触らせた。


「ホント硬いね。岩みたい」

「そのたとえは、あんまりうれしくないな」

「でもホントスゴイよ。弾力のある砂袋って感じかな?」

「わたしの足なんて、そんなに面白い?」

「面白いよ~。たとえば」


 わたしの足の裏に、なにかゾワゾワした感触が。

 

「……あひゃあ!?」


 あまりのくすぐったさにビックリして、わたしはシノを思わず蹴りそうになった。


 しかし、脇の下に足をホールドされて動けない。


「コチョコチョ。ここは鍛えられまい」


 足指の間にまで、シノは指先を伝わせる。

 

「あはは、やめて、やめ」

 

 わたしが降参すると、あっという間にシノはくすぐりをやめた。


「あとは、こことか?」

「ん、くふううん!?」


 変な声が漏れそうになり、わたしは口を押さえる。


「何した!?」

「内ももをサワサワしたの」


 内ももは、性感帯らしい。

 神経が集中しているため、くすぐったくなるのだ。


「ちょ、おほ!」


 最初は外側を軽く揉んできて、内側へ手を寄せるとフェザータッチになる。


「ヤッバイね、ケイレンしてるよマユ」

「ホントダメェ!」


 強く抵抗したので、シノもホールドを解く。


「やっぱマユ、かわいいじゃん。男子は見る目ないよ」

 

 息を荒くしているわたしに、シノが耳元でささやく。

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