第100話 コタツの中で密着甘々で過ごす年末年始

 百合華も仕事納めとなり冬季休暇に入った年末。

 悠は正月の準備をしていた。


「これで良しっと」


 玄関にミニ門松を飾り、雰囲気だけでも年末年始にする。

 この愛の巣ときたら、一年中イチャイチャしまくっているので、正月くらいは厳かな気分にしたいところだ。

 しかも、長期休暇には毎回帰宅していた両親も、今回は急な仕事が入った為に帰宅せす、初めての二人っきりの年越しとなった。


 ※門松飾りは本来十二月十三日から二十八日に飾り始めるのが一般的で、二十九日は『二重苦』と呼ばれ縁起が悪く、三十一日も『一夜飾り』と呼ばれこれまた縁起が悪いそうだ。悠が飾った三十日は偶然にもギリギリOKだった。



「お正月飾りをすると、急にそれっぽい気分になるよな」


 門松を見ながら一年を振り返る悠。


 今年もエチエチな一年だったぜ……

 こんなに毎日エチエチで良いのだろうか?

 禁断で背徳的なインモラルライフ……

 てか、お姉ちゃん……

 年々エロくなっている気がするのだが……

 お正月くらいは厳かな気分で行きたいところだぜ。



 ブロロロロ――――

 キキーッ!

 バタン!


 明石家の前に宅配便の車が止まった。

 ちょうど玄関前にいた悠が振り返る。


「宅配便です。明石百合華さん宛てです」

 宅配業者の男性が大きな荷物を持って入ってきた。


「はい、ありがとうございます」


 ブロロロロ――――

 伝票にサインをすると、宅配便の車は去って行く。


「何だろ? 大きな段ボールだな……」


 段ボールにはコタツの絵がある。


「コタツ?」

 荷物を抱えたまま、悠は玄関に入り姉を呼ぶ。


「お姉ちゃ~ん、荷物が届いたよ」


 すぐに百合華がリビングから顔を出す。

「あっ、きたきた」


「何これ?」

「お楽しみだよ。ユウ君、部屋に設置するから手伝ってよ」

「うん……」


 大きな段ボール箱を抱えたまま、姉の部屋へと付いて行く。



 カチャカチャ――

 付属の工具でコタツを組み立てる。

 布団をかぶせて天板を乗せれば完成だ。


 百合華の部屋の中央にコタツが設置されてしまった。


「何でコタツ?」

 不思議な顔をする悠。


「いいからいいから、ユウ君も入って」


 向かい合ってコタツに入る二人。

 何だか変な感じだ。


「ああ、暖かい……」

「でしょ」


 何だかんだ言っていた悠も、コタツに入ると暖かさでまったりしてしまう。


「ふふっ、えいえいっ」


 ツンツン――

 百合華の足が、悠のある部分をツンツンする。


「うわぁっ! 何するんだドスケベ姉!」

「ふへへぇ~隙ありだよ」


 ツンツンツン――


「ツンツンするなって! もしかして……これがしたくてコタツ買ったのか?」


 何となく予想はしていたが、本当にコタツでイチャイチャする為に買ったようだ。


「ほぉら、ユウ君のあそこに突撃だぁ~」


 グリグリグリグリ――

 ドスケベ姉の攻撃は激しさを増し、つま先だけでなく足の裏全体を使い、グリグリと強めの刺激を送り込んでくる。


「ちょ、やめろって、ダメだ」

「ユウ君ってば、ダメとか言いながら、凄いコトになってるよぉ~」


 器用に足の指を使い、グリグリしたりニギニギしたりサスサスしたりとやりたい放題だ。


「もう怒った。迎撃の準備よし! 攻撃開始!」


 悠が反撃する為に自分の足を百合華へと伸ばす。


 グイグイグイグイ――

 微妙に繊細なタッチで百合華のカラダの一部をグイグイする悠。


「ちょぉおっとぉ~ユウ君のエッチ」

「エチエチ攻撃して良い人間は、エチエチ攻撃される覚悟のあるヤツだけだぜ!」


 おバカな展開になり、お互いに足でいじくり合ってしまう。


 グリグリグリグリ――――

 グイグイグイグイ――――


「ううっ、うぐぁぁっ……限界だぁ」

「ああああああっ、ああっん、もうダメぇ」


 どちらも陥落寸前だ。

 人は、見えている場所ではできない大胆な行為も、コタツの中という密閉空間ではできてしまうのだ。

 見えないからこそ攻撃はより大胆になり、ここでは表せない自主規制になってしまう。


「ぐっはぁぁぁぁ~っ!」

「んんんんっああああぁ~ん♡」


 ビックンビックン――


「あ、危なかった……」

 悠がホッと胸を撫でおろす。


 限界突破直前に、百合華が先に限界で崩れ去った。

 相変わらず防御はよわよわだ。

 何をやっているのか意味不明だが、これがコタツの醍醐味なのだ。



「も、もぉ~ユウ君のエッチ! 何するのよぉ」


 自分から始めたのに、百合華が文句を言う。

 たぶん、負けて姉の威厳が傷付いたのだろう。


 モゾモゾモゾ――

 コタツの中に潜った百合華が、モゾモゾと中を移動して悠の脚の間から顔を出す。


「ちょっと待て! 何処から顔を出してんだ!」

 完全にアウトになりそうで、悠が腰を引いた。


「うんしょ、うんしょ……」

 

 そのままゴソゴソと悠の体を這い上がり、密着したまま並んでコタツに入る形になった。


 ぎゅうぅぅぅぅ~

 百合華の両手が悠の首に巻きついて、抱き合ったままコタツの中でまったりする。


「暖かいね」

「うん」


 柔らかな姉のカラダと心地良い姉の匂いに包まれ、さっきまでの刺激で興奮冷めやらぬ悠が、ずっとこうしていたくてたまらない感じになってしまう。


 うへぇ~

 お姉ちゃんの髪が良い匂いだ。

 ずっとこうして嗅いでいたい。

 お、おっぱいがムニュムニュと柔らかけぇ~

 最高だぜ!



 悠のカラダに抱きついて心地良いぬくもりに包まれ、さっきの攻撃でトロトロに蕩けた百合華が、もっとエッチなことをしたくてたまらない感じになってしまう。


 ぐへへぇ~

 ユウ君のハグが気持ちいいよぉ~

 でも、もっと強く抱いて欲しいかも……

 さっきから胸がキュンキュンして止まらない……

 壊れるくらいに強く抱いて、この腰の奥のウズウズした感じにトドメの一撃を……

 あぁん、もうユウ君とエッチしたぁい!


 悠が義姉のおっぱいに夢中な時、百合華は義弟と合体したくて悶々としていた。



「ほら、ユウ君、キスして」

「うん」

「んっ……ちゅっ」


 コタツの中で抱き合ったままキスをする。


「ギュッてして、ナデナデもぉ」

「あっ、また甘えん坊姉になってる」

「ち、違うから。もぉ~」

「ふふっ」


 思いのほかコタツでイチャイチャが心地良くて、コタツから出るタイミングを逃してしまう。


「コタツって良いものだね」

「でしょ」


 悠もコタツの魔力に囚われてしまった。

 百合華の作戦通りである。


 この日は食事とトイレ以外はずっとコタツでイチャイチャしっぱなしとなってしまう。

 このままでは寝正月になる可能性大だ。

 やはりコタツは、人を堕落させる魔力があるのかもしれない。


 ――――――――




 そして大晦日の夜。

 やっぱり二人は並んでコタツに入り、ピッタリと寄り添いイチャイチャしていた。


「お姉ちゃんのうなじ綺麗だ」

「もぉ、ユウ君ってばぁ」


 百合華を背中から抱きしめて、艶やかな髪に顔を埋めて良い匂いを吸い込むと、その髪をかき上げて白く綺麗なうなじを出す。

 まるで開けてはいけない禁断の扉を開いてしまったような、何故かドキドキと胸が高鳴る感覚がする。


「ぺろっ――」

「ひゃんっ!」


 悠が美味しそうな百合華のうなじをペロペロする。


「ちょっと、ユウ君!」

「つ、つい美味しそうで……」


 百合華が180度反転して向かい合う。


「ユウ君がエッチなのをご所望なら、とことんエッチなお姉ちゃんになっちゃうよ」

 ニマニマとエッチな顔をして迫ってくる。


「えっと、そ、そうだ! 年越し蕎麦を作らないと」

「ユウ君、逃げようとしても無駄だよ」

「でも、このままコタツの中だと、年越し蕎麦が食べられないし」


 コタツから出たくないが、このままでは年を越してしまう。


「じゃあじゃあ、勝負で作る人を決めよっ」

「勝負?」

「ペロペロし合って、先に声を上げた方が負け」

「よし、乗った!」


 コタツマジックに囚われているのか、悠がおバカな勝負を受けてしまった。


「よーい、スタート! ペロペロペロペロペロペロチュッチュッペロペロペロペロペロペロチュッチュッペロペロペロペロペロペロ――」


「ぐっはぁ! ダメダメ、ヤメロぉ~~~~」


 全く勝負にならなかった。

 開始直後の百合華による超絶ペロテクに翻弄され、簡単に悠が堕とされてしまう。

 首筋から鎖骨へと高速ペロペロで追い込み、凄まじいスピードで上着を捲り胸板からお腹へと回転させるようなペロテクで移動し、更にズボンに手を掛けたところで悠が完全敗北したのだった。


 最近は敗北続きの百合華だが、本気を出して先制攻撃すれば必勝間違いなしだ。

 いつか来る日の悠との初めて記念日の為に、日々ネットでエチエチテクのサイトを見て練習しているのだから。


「ううっ、うううっ……凄過ぎる……人間技じゃねぇ」

「うふふっ、私の勝ちぃ~」


 ガサゴソ――

 悠がコタツから出て立ち上がろうとする。


「ユウ君、何処行くのっ! 一緒にいて!」

「何処って……年越し蕎麦を作るんだけど」

「ヤダぁ! ずっと一緒って言ったでしょ」

「えええ……」




 百合華が悠から離れようとしない為に、結局蕎麦は二人で並んで作る事になってしまう。

 やっぱり仲良し過ぎて新婚さんみたいだ。

 旅行の時の新婚さんプレイが復活だ。


「もう、何の為の勝負だったんだよ」

 蕎麦を茹でながら愚痴をこぼす悠。


「ふふっ、こうしていると新婚さんみたいだねっ。えいえいっ」


 肩で悠をツンツンっとする百合華。

 傍から見たら完全に新婚さんだ。


「聞いちゃいねぇ……」

「うふふふっ」


 出来上がった蕎麦に買っておいたエビ天とネギを入れて完成させる。


「「いただきます」」


 やっぱりコタツで二人並んで年越し蕎麦を食べる。

 テレビには年末の歌番組が流れ、大晦日の雰囲気が完璧だ。


「うん、茹で具合も味も私好みで完璧だね」

「そりゃ良かった」

「躾けた甲斐がありました」

「くっ……完堕ちみたいに躾けらた俺って……」


 小さい頃から姉好みに躾けられ、完全に姉色に染められている悠。

 百合華の逆光源氏計画は成功していた。

 もう、悠の身も心も百合華の思うがままかもしれない。


 除夜の鐘の映像が流れる頃、もう今年も残り少ない。

 悠と百合華は見つめ合ったままコタツの中で抱き合う。


「ねえ、ユウ君……年が変わる瞬間はキスしたままでいたいなっ」

「うん」


 くちびるとくちひるを合わせて、お互いの背中を強くまさぐるように抱き合う。

 このままカラダが溶けてしまうのではと思うくらいに、昂った胸はドキドキキュンキュンとしている。


『3、2、1、ゴォォォォ~ン! 新年あけましておめでとうございます』

 テレビから新年を告げる鐘の音とナレーションが流れる。


「んっ、んぁっん……ちゅぱっ」


「あけましておめでとう、ユウ君」

「あけましておめでとう、お姉ちゃん」


「今年もよろしくね」

「うん、今年もよろしく」

「今年こそエッチだからね!」

「今年こそ……って、ええっ」

「もう、逃がさないからっ」

「そ、そうだね。考えとく」



 新しい年を迎え、新たなステップへと進もうとする二人。

 そして、二人の関係が深まると、周囲にどのような変化が訪れるのだろうか。

 激動の一年が始まろうとしていた。






 ――――――――――――――――


 お読みいただきありがとうございます。

 これで第二章が終了し、引き続き第三章に入る予定です。

 第三章では、二人の関係に変化が?

 それでは、第三章もイチャイチャ甘々で行きますので、よろしくお願いいたします。


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