第74話 純潔で色欲な聖魔一体メイドは御主人様が大好き
悠の目の前に超絶可愛いボンテージメイドが降臨した。
フレンチメイドを更にアレンジした女王様風メイド服だ。
滅茶苦茶下品でエッチなのに、百合華が着ると超絶美しく高貴な雰囲気まで感じさせ、悠の脳内の価値観が革命されそうな勢いの
※フレンチメイド
この場合のフレンチはフランス風という意味ではなく、イギリス人が『下品で性的な』という意味で名付けた、本来のメイドとは全く違う超ミニでノースリーブで尻や乳が露出していたりするものを指します。日本でメイドという意味ではこのタイプが原型となり、それを可愛くアレンジして様々なタイプが増え現代に至る。近年では逆に日本のメイド文化が海外に伝わり、ジャパニーズメイドとも呼ばれます。
超絶美しく、超絶色っぽく、超絶エチエチな、まるで奇跡のような存在の百合華が着ることにより、下品で露出過多なボンテージが、まるで最初からこれがメイドだと勘違いしてしまうようなファッションに昇華していた。
「はれ……えっ、ううっ」
ごくりっ!
見ているだけで魂を吸われそうな
「ふふっ、御主人様、調教のお時間ですわよ」
こちょこちょ――
艶っぽい目をした百合華に、
漏れ出したフェロモンの虜にされ、悠の完全敗北は必至だ。
これで処女なのだから意味不明である。
「さぁ、御主人様、私の部屋にまいりましょう」
「ううっ、許して……お姉ちゃん……」
余りの百合華の迫力に、悠が泣き出しそうな顔になる。
「ちょっと、ユウ君。だ、大丈夫だよぉ、痛くしないからぁ」
「で、でも……」
「ほらほらぁ、お姉ちゃんのお部屋に行くよ」
コスプレして完全にキャラに成りきった百合華の迫力が凄過ぎて悠がビビりまくるので、少しだけ普段の優しい姉に戻ってしまう。
ガチャ――――
姉の部屋が閉まり残響が消えると、悠の希望も地獄の門を潜るが如く潰えたかに思えた。
「お、お姉ちゃん……マジに怖い」
「お姉ちゃんではありません。私の事はアイリスとお呼び下さいませ、御主人様。あと、怖くはありませんですわ。私は悠様の忠実なる専属メイドでございます」
若干、悠の中二病がうつった百合華がキャラに成りきる。
ただでさえ人間離れしたフェロモンを持つ悪魔姉の百合華がボンテージメイドに完全武装し、まるで本物の女王様のような迫力だ。
「専属メイドって……もしかして、絶対服従とか?」
「はい」
「えっ、何でもするとか思うがままとか……」
「はい」
「もしかして、ちょっとエッチなコトも?」
「はい」
「うおおっ、見た目は怖いけど、また俺のメイドさんが」
悠の緊張が緩んだ。
こんなエッチなメイドさんが何でもしてくれるとなれば、色々と妄想が膨らんでしまう。
「では御主人様、服を全部脱いでくださいませ」
「ちょっと! いきなりアウト過ぎるよ!」
「拒否は認めません! 絶対服従ですわ!」
「俺が絶対服従なのかよっ!」
絶対服従で何でもするのは悠の方だった。
主がメイドに絶対服従させられるのだ。
「は、話が違う。騙された」
「もぉ、そんなお人好しのユウ君も大好きだよ」
「うううっ、本当に大丈夫なの? アウトなのはダメだよ」
「ほらほら、早くして。さっき私にエッチな命令したんだから拒否権は無いんだよ」
既に外堀は埋められていた。
返報性の原理という人間心理がある。人は他人から施しを受けた時に、お返しをしなくてはならないという心理が働く。
それと同じように、初回に相手が譲歩し得をさせてもらうと、次にくる相手からの要求を断りづらくなるのだ。試食や試着をしたからといって商品を購入する義務はないのだが、何となく『相手から丁寧な接客をされたのだから』という心理が働き購入してしまうのも、この返報性の原理によるものが当てはまる。
因みに百合華は、悠とイチャイチャする時だけ様々な心理テクが
今、悠はクラシックメイド姉にエッチな命令をした事で、フレンチメイド姉の命令を断りづらい心理だった。
「御主人様、先程、私にエッチで屈辱的なポーズをさせたのをお忘れですか? 百合華と呼び捨てにして、お尻を高く上げさせる恥ずかしい体勢にさせ、いやらしい手つきで――――」
「分かった、分かりました。します。女王様……じゃない、メイドさんの言う通りにします」
悠が折れた。
百合華の視線を感じながら服を脱ぐ悠。
ボンテージなフレンチメイドの百合華は、わざとジロジロと覗き込むように見つめる。
「ちょっと、後ろ向いててよ」
「嫌です、御主人様」
「くっ……脱いだよ……」
「まだパンツが残ってますよ。御主人様」
「それはダメだって!」
「はい、紙パンツに着替えてください。御主人様」
百合華が紙パンツを差し出す。
「なな、何をする気だ……」
「着替えてからのお楽しみです。御主人様」
「だから後ろ向いててよ!」
「嫌です、御主人様。じぃぃぃぃっ……」
文句を言ったら余計に接近され凝視された。
「ううっ、もう着替えるだけでHPが削られたような……」
隠しながら着替える悠を、ニマニマとエッチな顔になった百合華が、くるくると角度を変えながら覗き込み、最後はくっつきそうなくらい至近距離まで近づき凝視される。
「では、ベッドに寝てください。御主人様」
ベッドの上に大きめのバスタオルが敷いてある。
明らかに何かシーツが汚れないように準備しているようだ。
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ!
「はい、準備完了です」
悠がベッドに仰向けに寝ると、手足を玩具の手錠でベッドの柱に固定してしまう。
もう完全に動けない状態だ。
「ちょっと、何で手錠するの! 動けないって!」
「うふふっ、御主人様……楽しいオシオキ……いや、拷問の始まりですわ」
「やっぱりか! このエロ姉!」
羽箒をくるくる回して近づくと、悠の首筋や腋や脇腹など弱い部分をコチョコチョとくすぐる。
「ぐっはあぁぁぁぁ! くすぐったい! ダメだって! 大変なことになっちゃうから!」
「もう、大変なことになっていますわ。御主人様」
百合華の視線がある部分へと向いた。
紙パンツでは隠しきれないだろう。
「ちょっと、見ちゃダメだって!」
「もぉ、しょうがない御主人様ですね。タオルをかけて差し上げますわ」
ちょっとだけ優しくなった百合華がタオルで隠してくれた。
「ねえ、ユウ君は、あの子達とプールでイチャイチャしたんだよね?」
「……し、してない」
「ユウ君、正直に言って」
「うっ…………しました」
百合華に見つめられ正直に言ってしまった。
姉に対しては嘘が苦手なのだ。
あの吸い込まれそうな美しい瞳で見つめられると、全てが見透かされたような気持になって嘘がつけなくなってしまう。
「ユウ君……他の子とイチャイチャしちゃう悪い子のユウ君には、やっぱりキッツい拷問で躾けないとダメだと思うの。お姉ちゃんは、心を鬼にしてサディストでボンテージメイドのアイリスになるしかないんだよね」
「いやいやいや、わざとじゃないし。不可抗力だし」
悠が必死に弁解する。
「うふふっ、ユウ君が私のコトを一途に愛してくれているのは分かってるんだよ」
「お姉ちゃん……」
「でもでもぉ、やっぱりヤキモチ焼いちゃってぇ、嫉妬でおかしくなっちゃいそうな乙女心なんだからしょうがないよね」
「やっぱり、そうなるのかぁぁぁぁ!」
そこは、ちょっぴり可愛い、すっごく嫉妬な乙女心なのだ。
人は、愛ゆえに嫉妬し、愛ゆえに苦しみ、愛ゆえにオシオキするのだ。
連綿と、
何やらガチャガチャと小道具を用意する百合華。
怪しげな小瓶やら刷毛やら棒やらが出てきて、悠の恐怖心が急上昇する。
「なになに? 何なのそれ!?」
「アロマオイルですわ。御主人様を、身も心も蕩けさせて差し上げますわ」
「へっ?」
トロトロトロ――――
瓶から出したオイルを悠の胸板に垂らす。
部屋に柑橘系の爽やかな香りが漂った。
「うっ、くすぐったい」
「御主人様のカラダ……隅々までマッサージしますね」
にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ――――
百合華の綺麗な指が、悠のカラダにアロマオイルを塗りこんでゆく。
リンパの流れを良くしてリラックス効果を生むのだ。
愛しむように大切なものを扱うように、丁寧に丁寧に隅々までマッサージする。
「はぁあぁぁ……気持ち良い……天国か」
「うふふふっ、御主人様、気持ち良いですか?」
「うん、最高だぁ……」
恐ろしい拷問が待っていると思っていたのに、超極楽な癒しのマッサージで悠もビックリだ。
「んっ、ちゅっ……」
マッサージの手を緩めずに、愛情のこもったキスをする。
キスしながらカラダ中をスリスリされ、天国に昇りそうな気持よさだ。
「んんっ……お姉ちゃん」
「今は専属メイドのアイリスです。御主人様」
まだ設定が続いていた。
「では、下半身もマッサージしますね」
「は?」
悪魔のような恰好で天使のような優しさとか思っていたのだが、やっぱり悪魔のような悪魔姉なのを知る事になる。
「ちょ待て、そっちはいいから」
「御主人様、下半身は徹底的に容赦なく執拗に長時間マッサージしますからね」
「ちょっと、長時間って! 少しは加減して!」
体勢を入れ替え、逆さになった百合華が悠の顔を跨ぐ。
超ミニからパンツが丸見えで、超絶セクシーなガーターベルトや網タイツがエッチ過ぎる。
「うっわ! 見える! てか、透けてる! 見えちゃうから!」
選りにも選って、百合華の下着がレースのセクシーランジェリーだった。
エレガントなシースルータイプだ。
「だから、近いって! ケツが近い!」
「わざとですよ、御主人様」
「もう限界だぁぁぁぁ!」
にゅるにゅるにゅるにゅるにゅるにゅる――――
丹念にマッサージする百合華。
アウトにならないように、あそこだけは外してくれてはいるが、その周辺だけやたら執拗にモミモミスリスリしまくる。
一応、悠の一線を越えないという意見を尊重してくれているのだが、我慢の限界まで追い込みオネダリさせようとする作戦かもしれない。
「ふふふっ、この太もも周辺のリンパマッサージには性欲増進の効果があるのですわ。御主人様ぁ……徹底的にやりますわね」
「ぐぐぅあっ……やっぱり悪魔姉だったぁ……」
悠は目をつむり姉のアウトなパンチラを見ないようにして我慢する。
「御主人様がエッチになぁ~れ。エロエロきゅん!」
「そこに繋がるのかぁぁぁぁ!」
地味に拷問のような執拗さで追い込まれ続けたマッサージも終了し、百合華が優しく濡れタオルでカラダ中のオイルを拭きとってくれていた。
丹念に全身マッサージされ、上半身は疲れが取れたが、下半身は我慢のし過ぎでより疲れが溜まってしまう結果だ。
百合華の攻撃を耐えきった悠は、まるで魔王の攻撃を一人で耐えた勇者の如く称賛に値するだろう。
「ユウ君、そろそろ寝よっか?」
百合華がメイド服を脱いで下着姿になってベッドに入って来る。
「早く手錠外してよ」
「ん? 何のコト?」
「えっ……」
「ユウ君へのオシオキというか拷問はこれからだよ」
「はああ!?」
「今夜はぁ、お姉ちゃんの好き好き攻撃を、ずっと受け続ける運命なの」
「…………」
手錠で動けない悠にピッタリと抱きつき、幸せそうな顔をした百合華がキスの嵐をお見舞いしてくる。
「んあっ、んっ、ちゅっ、ちゅぱっ」
「あ、あの、これってもしかして……」
「もちろん朝までだよ」
「で、ですよね……」
悠は運命を受け入れた。
姉の攻撃は止む事が無く、耳周辺を尖らせた舌でチロチロしたり、耳たぶをくわえたり、時に荒々しくほじったりと、クリティカル攻撃を連打するようだ。
もう、百合華が満足するまでキスの嵐を受け入れるしか生き残る道はないように見える。
「あんっ、あああっ、大好き……大好きだよユウ君……誰にも渡さないから、私だけのユウ君なんだから」
そして激しい愛情表現の夜は続く――――
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