第668話 協会付属も居たり?
「初日の6時間で4人って多いのか少ないのか、微妙だねぇ」
目の前に横たわる3人の男と1人の女を見ながら碧が呆れた様に呟いた。
「多いんじゃない?
しかも、2人はゴミ箱の魔法陣と関係ないって話だし。
呪師の集まるコンベンションでもハロウィンのどさくさ紛れにやっているのかしらね?」
そう。
結界を展開した時に倒れた2人は呪詛発生器に関与していたのだが、後から現れて倒れて確保された男女のペアは少なくとも血液のDNA検査の結果によるとゴミ箱とは関係無いらしい
意識不明な倒れただけの人間の指紋や血液を勝手に調べて良いのかね?と検査結果を教えられてちょっと驚いたのだが、呪詛関連だと弁護士を雇って裁判で争って・・・なんて事をやっている間に呪詛をあちこちに掛けられまくるリスクがある為、捜査そのものに関しては色々と容疑者の権利を無視する方向に融通が効くらしい。
呪師って実際に呪詛に掛かった人から辿るとか、呪詛に使われた
まあ、魂が濁って穢れているから黒魔術師なら視れば分かるし、白魔術師の碧も何やら感じるものがあるらしいが。
普通の元素系の術師や一般人じゃあ簡単には分からないので『呪師だから』と特例扱いで強硬な調査や検査をする前に呪師である事を確定する必要があるのだが、今回は白龍さまが『術師が結界に入ると昏倒する』と碧経由で通告したからスクランブル交差点近辺で意識を失った人間はデフォルト呪師扱いを受けることになったらしい。
氏神さまとその愛し子の信頼力、ハンパ無いね〜。
神様なら誰(何?)でも良いんじゃなくて、歴史と信頼のある白龍さまだからと、信じてるよ?
下手をすると夜中になって酒の量が増えて来たら、普通に酔っ払って意識不明になるアホも出てくるかもだけど。
まあ、人前で正体を無くすほど酒を飲む方が悪いよね。
取り敢えず、血液検査で当たった方の2人は有罪確定、残りの2人も何しに渋谷に来ていたのか、今までの余罪等々を含めこれから取り調べられる予定だ。
意識不明ではそれが出来ないので、警察が今回のハロウィンに対応する為に確保した臨時スペースへ碧が昏倒状態を解除する為に家へ帰る前に来たのだが・・・。
「これ、どれも呪詛返しで死ぬよね」
かなり濃厚な魂の穢れを見る限り、どの呪師も人を呪い殺すのに手を貸している。
呪詛返しって呪詛が倍になるんだからキツいだろうが・・・直ぐには死なないから一応話を出来るかな?
下手に呪詛返しを他者に移せる様な技術持ちが居たら危険だが、魔封じされた状態だったら大丈夫だろう。
「考えてみたら、声を潰して手が震える様にするのって警察から尋問された後にしないと駄目だよね」
碧がふと呟く。
「だね〜。
いや、手が震えても別に良くない?
ちょっと署名とかが歪になっても本人がやっているのを録画しておけば、警察的には問題はないでしょ。
白龍さま、魔封じは一生魔力を使えないぐらい、がっつりやって頂けますか?
碧の浄化結界内だったら呪詛返しの移転も出来ないと思いますが、警察がうっかり(?)結界の外へ連れ出す可能性がありますから」
碧に相槌を打った後、白龍さまに念を入れてお願いする。
呪詛返しが起きたら体調がかなり悪化するから病院に搬送される可能性も高いかもだしねぇ。
呪詛返しだから、病院搬送しても無駄だしやらない方が良いよって田端氏に言っておくべきかな?
『うむ。
魔封じはしっかり焼き付けておこうぞ。
声に関しては呪詛返しを生き残ったら1月後にでも発動する様にしておくかの。
手の方は変な紋様を描けぬようにしておいた方が無難じゃろうし・・・呪詛返しの一環と思うじゃろ』
白龍さまが応じた。
1ヶ月後では起訴された場合はまだ関係者の裁判とかが終わっていないかもだが、まあ取り敢えずある程度の調査が終わっていれば良いだろう。
「この調子でガンガン呪師が捕まったら、日本の呪師人口ががっつり減るかもね。
退魔協会も悪霊祓いだけすれば良くなったら少しは溜まっている依頼がスッキリするかも?」
碧が笑いながら言う。
「実は退魔協会で何食わぬ顔して働いている呪師がいたり?
そいつまで死んだりしたら慌てるお偉いさんが出て来そう」
黒魔術系の調査員がいるのだ。
退魔協会で退魔師として働きつつ協会に知られずに呪師としても働くのは無理だろうが、軽い呪詛を政治家の為に請け負う退魔協会のお抱え呪師がいる可能性はゼロではないよねぇ。
そんな呪師がいるとして、今回の妙に呪師が集まる渋谷に姿を現すか、ちょっと興味があるところだ。
碧が昏倒状態から解除する際に、さらっと記憶を探って付属先を確認しておこうかな。
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