第651話 ステータス!が出来たら・・・
「美味しかったね〜」
相変わらず行列の長かった回転寿司だったが、味もいつも通り美味しかった。
「うん。
とは言え、最近は変な動画を出す為に悪戯する人がいるっぽいからちょっとガリは食べる気がしなかったけど」
流石に回転している寿司はあれだけ混んでいる店の中で悪戯は出来ないとは思うが、カウンターの陰になりかねないガリだったら変な悪戯をやるのも可能なので、今回は手を付けなかった。
「確かに。悪戯って言っても軽く舐める程度なんだろうし、ガリって元々生姜の殺菌効果を利用する為に寿司と一緒に出されたって話だから、食中毒になるとか変な病気が移るとか言った実害は多分ないんだろうけど・・・やっぱ他の人の唾液が付いているかもと思うと、食べる気は失せるよね」
碧が頷きながら言った。
「ああ言う悪戯の動画ってマジで店にとってはダメージだろうねぇ。
と言うか、直接被害を受けた店だけじゃなくって、業界全体にとって被害があったんじゃないかな?」
まあ、回転寿司に行ってもガリを食べないって人が増えて経費が削減出来たと言う可能性もゼロではないが。
でも現実としては、回転寿司に行く代わりにバーガーショップや牛丼屋に行く人が増えたんじゃ無いかなぁ。
「アホな動画の為に信じられない迷惑行為する様なバカはガッツリ損害賠償請求を受けて、自己破産する羽目になれば良いのよ。
態々証拠をネットにアップロードしているんだから、金額は減額されるかもだけど訴えれば敗訴はないでしょ。
何百万円もの損害賠償金を払っても大丈夫な家の人ならガッツリ弁償すれば良いし」
碧が付け足す。
だよね〜。
とは言え、何百万円も払える様な家の人間だったら凄腕の弁護士を雇ってガッツリ減額交渉に成功しそうだけど。
そう考えると、支払い能力がある人間の方が払う羽目になる金額が少なくなると言う矛盾した結果になりそうだけど。
やっぱどの世の中でも、強者はより有利になるよねぇ。
前世では貴族とか高位文官とか強力な魔術師の方が明らかに生きやすかったけど、現世でも結局資金力がある方が有利だ。
まあ、それでも現世では努力と能力と運である程度は生まれの差をひっくり返せるけど。
そんな事を話しつつ神社に戻ったら、さっきの黒塗りリムジンが参道の正面で待ち構えていた。
ちょっと〜。
非常識すぎない??
迷惑なんだけど!!
無視して通り過ぎようとした碧の腕を車から飛び出してきた秘書が掴み掛かった。
「何処に行っていたんだ!!
先生が倒れられたんだ!!
今すぐ診てくれ!」
「はぁ?
救急車を呼ぶなり、最寄りの病院に行くなりすればいいでしょ」
上手い感じに腕を捻って秘書の手を外し、碧がそのまま神社の中へ足を進める。
つうか、さっき車で嫌味ったらしく目の前をゆっくり通って行ってたじゃん。
車の中で気分が悪くなって、態々戻ってきたの?
大人しく病院に行くなり、家に戻って主治医を呼ぶなりすれば良いのに。
「苦しむ老人を助けようともしないなんて、人としての心は無いのか!?
お前に会う為に態々体調不良をおして出てきたのに。
責任を取れ!」
なんか滅茶苦茶な事を言ってるねぇ。
体調不良ならせめて車椅子でも使えば良かっただろうに。
見栄を張って自力で歩き、椅子を頼もうともしないから体調を崩したんじゃ無いの?
自己責任だろう。
「空調の効いた高級車に乗って出歩く程度で体調を崩すならもう寿命でしょ。
さっさと諦めて遺産相続の手配でもしておく方が良いんじゃない?
ペットの為の祈祷は別に飼い主が来なきゃやらないなんて言ってないんだから。
もうすぐ死ぬんだったら、来世に向けて良いカルマを稼ぐ為にバンバン寄付して善行を積む事をお勧めするわ」
碧があっさり秘書の言い掛かりを切って捨てた。
あのオーラじゃねぇ。
かなりマイナスなカルマを積み上げてきてそうだから、来世はゴブリンか、スライムか・・・Gとかなんじゃ無いの?
今更寄付するだけでマイナスなカルマを軽減出来るかは知らないけど、心から悔い改めて人の為に何かをしようとしたら少しはマイナスが減るかもだよ?
思っている事よりも行為が全てと言う説もあるが、心の籠らない寄付なんかはどうなんだろ?
それで助けられる人生や命は実際にあるんだろうから、それが善行としてカルマの計算に入っても不思議は無いと言えば無くも無い気がするけど。
後悔せずに形だけでも善行を積もうと寄付した場合に実際にカルマに好影響があるのか、興味があるところだね。
そこまで細かいカルマ値の変動って白龍さまが見ても分からなそうだけど。
ラノベにある様な鑑定でカルマ値を含めたステータスが見れたら良いのに。
そうしたら自分のカルマ値も万全に管理できるんだけどなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます