第548話 値上げはどうするんだろ?
「騙されたぁ〜!!!」
3日坊主になったラジオ体操は放置していつものお守り作りに励んでいたら、碧の叫び声がマンションの中に響いた。
びっくりした源之助がソファから飛び起きて碧の寝室の方へ逃げていくのが目に入る。
「どうしたの?」
リビングの方に行ったら、アマ○ンの袋が開けられて、そこに小さな紅茶の缶が置いてあった。
「紅茶が切れたから新しく買おうと思ったんだけどさぁ。
うちの近所の酒屋で安く売っているんでいつもそこで買っていたんだけど、こないだ行ったら無かったから駅前の成城○井に行ったら以前より200円以上も値段が上がってたからネットで探したの。
そしたら定期便で買えば前の酒屋の値段と同じになるのがあったから買ったんだけど・・・」
碧が手元の缶を睨みながら答える。
碧って時々紅茶をティーバッグじゃなくてリーフのを茶漉しを使って淹れているのだが、缶のサイズはいつのもじゃあないよね。
「え、それって前のやつの半分じゃない?
ネット販売なのに定期購入の割引き付きで半分サイズが前のと同じ値段なの??」
最近はステルス値上げでちょっと箱とか袋のサイズが小さくなるって話は聞くが、半分は無いでしょうに。
しかも缶の模様は元のサイズのと似た様な色と文字だから、ネットでみたら通常買っているのと同じだと誤解しても不思議はない。
よく見たら微妙に中央部の色にオレンジ味が強いけど、写真を撮った角度の違いかな?と思えなくも無い程度だ。
まあ、それでも実際に中身の数量を確認しなかったのはちょっとうっかりだとは思うけど。
だけどまあ、半分なのに同額で売ってるとは思わないよねぇ。
「でしょ?!?!
信じられない!!
取り敢えず、定期購入は止めなきゃ!」
碧がプンプンしながらタブレットを手に取った。
先ほど碧の絶叫で逃げた源之助がこっそり帰ってきて、テーブルの上の破り捨てられた袋の匂いを嗅いでいる。
「定期購入で割引きだったのに、1回買って定期購入をキャンセルしたら割引き分を追加請求されないの?
それとも問答無用で2回目までは買わさせられるとか?」
碧的には騙された様な気分なのだろうが、定期購入割引きで値引きして貰ったのに1回でキャンセルするのもズルだろう。
「う〜ん、取り敢えず差額請求みたいな通知は出てこないね〜」
タブレットで何やら操作していた碧が教えてくれた。
いつでもキャンセル可能って謳っているから店側にとってはどうしようもないのかね?
なんかこれを悪用する人がいないのが不思議だ。
「しっかし、100gで値上げ前の200gと値段がほぼ同じって随分と高いね」
紅茶なんてあまり飲む人がいなさそうだから、そう言う悪質なサイズ変更で騙しても気付かれないぐらい定期的に買っている人がいないのかね?
「あれ・・・?調べてみると今でも100gの缶が1010円、200gの缶が1230円ってなんか馬鹿にした値付けしてるんだけど。
何を考えて100gの缶を売り出してんの??
紛らわしい!」
碧が更に怒りだした。
「缶の方が肝心の紅茶の葉よりも高いって事?
100g分の差額がほぼ200円ってことは100gの紅茶の1010円のうち800円は缶代??」
ちょっと酷すぎない??
「しかもリーフだけの缶に入っていないのは75gで620円ぐらいで売り出されてる。
なんかこう、紅茶って値付けが変すぎるね。
諦めて緑茶にしようかなぁ・・・。
でも、ちょっと疲れた時に濃いめな紅茶に少し多めな砂糖とミルクを入れると良い感じにホッとするんだよねぇ」
溜め息を吐きながら碧がタブレットを下に置いた。
「確かに緑茶に砂糖は合わないねぇ。
その缶のを買ってた酒屋にリーフのは売ってなかったの?」
こうも変な根付けをしているって事は、紅茶の販売代理店がちょっと阿漕な稼ぎ方をする事にしたとかなんじゃないかな?
酒屋はもしかしたらワインボトルとかをヨーロッパから輸入する際についでに紅茶も積み込んで安売りしていたのかも?
そこでリーフのも売っていたらネットのよりは安く買えそうな気がするが。
最近は色々と値上がりしているけど、退魔料金も上がっていくのかね?
退魔師が直接退魔協会に値上げ交渉するのは難しそうだけど・・・考えてみたら、退魔料金ってどう決まっているんだろ?
実質人件費しか無い退魔料金だけど、生活に掛かる費用があがるなら退魔料金も上げてくれないと相対的に値下がりになっちゃうんだけどなぁ。
便乗値上げは良く無いが、インフレに合わせた調整はお願いしまっせ〜。
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