第88話 スキンケアならどうだ?!

焼き肉とスイーツバイキングに関して話し合った結果、取り敢えず焼き肉はもう少し源之助が大きくなるまで待つ事にし、スイーツバイキングは大学に行く途中にあるホテルのレストランで予約が取れた3日後に行く事になった。


「やっぱりこう言うバイキングって一人で行くのは微妙なんだよね〜。

かと言って男性は行きたがらないし女性はカロリー値を確認しながら食べてるしでイマイチ楽しめ無かったんだけど、凛とだったら思う存分能力を使ってスイーツを食べられるから、これからは季節ごとに行こう!」

碧がうきうきとレストランのサイトに載っているスイーツの詳細をチェックしながら言った。


「是非!

冬になったらちゃんこ鍋とかも行ってみない?

前から試してみたかったんだけど、なんかあれって元は体重を増やすのを目的とした食事でしょ?

ちょっと行くのが躊躇われてたんだよねぇ」

実家の側の気に入っていた雑貨店の向かいにちゃんこ鍋の店があり、いつも良い匂いがしていた。


和食だから健康的かもと思いつつも、運動しまくってもあれだけ太っている相撲取りのメインな食事である事を鑑みると後が怖いと思って結局一度も入れなかったのだ。


折角東京にいるのだから、両国の辺で本場のちゃんこ鍋を食べてみたい。


「いいね!

他にも色々食べて見たい店はあったんだ!!

順次試していこう!」

碧が嬉しげに言った。


「取り敢えず、毎週1回は仕事での外食やサークルでの付き合いで行く飲み会とかとは関係なく、行ってみたいレストランに行くことにしない?」

週1程度だったら極端に財布や体に負担を掛けずに行きたい店を色々と楽しめるだろう。


「良いね!

最初は出来るだけランチで行けるところを選べば、源之助と遊ぶ時間もあまり犠牲にならないし」


まあ、その分グッズ開発が遅れるが・・・まだ大学1年なのだ。

のんびりいっても全然大丈夫だろう。


「そう言えば、腸の働きを抑えるんじゃなくって、新陳代謝を上げるって言う符は作れないの?

それで消費カロリーを増やせれば同じ量を食べていても痩せるでしょ?」


新陳代謝が良くなったら肌も綺麗になるんじゃないかな?

それこそシミを落とす効果とかも期待できたらこれも色々需要がありそうだ。


「う〜ん、新陳代謝ってやり過ぎると凄く疲れるんだよね。

しかも意識して食事量を変えない様にしないと、増やしたエネルギー消費量に合わせてお腹も空くからうっかりすると食べる量も増えちゃうの。そんでもって下手に食べる量を増やす習慣がつくと、符の効果が切れて新陳代謝が元に戻った後に恐怖のリバウンドがくるんだよ・・・」

遠い目をしながら碧が言った。


もしかして、過去に一度試して失敗したのかな?

「じゃあさ、ダイエットじゃなくってシミ抜きみたいな感じで、符・・・と言うかお守りが触れた部分の新陳代謝を上げて肌のターンオーバーを良くするのってどう?」

肌の調子を整えられるならニキビ対策としても良いかも知れない。

10代相手だったら適当なサクラを使って『効いた!!』という口コミを書き込ませたら、怪しげなお守りでも試すんじゃないかな?


本当に効くのであればあっという間に情報が拡散してバカ売れしそうだ。


「う〜ん、良いアイディアかも知れないけど、私も凛もシミなんてまだ無いから効果を試せないよ?

流石にテストしないと怖くて売りに出せないし、かと言ってそこら辺の知らないオバさん相手に試す訳にもいかないし」

食べ終わった朝食の皿を積み重ねながら碧が首を傾けた。


確かに。

つうか、シミ抜きの需要は30代か40代以降だろうから、私たちが適当に日焼けしてソバカスを作ってもテストサンプルとしては向いていないだろう。

ニキビは・・・吹き出物なら脂っこい物を食べまくれば出そうだが。


「この際、退魔協会の女性職員を巻き込んで試してみない?

上手くいけば恩を売れるし、顧客開拓にもなるよ。

まあ、アイディアを盗まれない様に初期から情報管理に注意を払う必要はあるけど」

つうか、医療機関で働いていない白魔術師って何人ぐらい居るんだ?


数が限られていれば模倣されても全体的な売上には極端に影響は出ないかも?

まあ、どちらにせよ頑張って工夫した成果を横取りされるのは面白く無いから、それこそ盗んで利用できない様に何か黒魔術で制限をかけても良いかな。


私も少しは役に立たないとね。









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