第67話 ペットショップとブリーダー
「子猫を買うならペットショップよりもブリーダーからの方が良いんじゃない?
ペットショップだとかなり早い段階で母猫から引き離されるから免疫力が弱いかもだし、一匹か二匹でケージに入れられているから『力一杯噛まない』とか言った他の猫との付き合い方もしっかり学べていない可能性が高いらしいよ?」
近所の知り合いが言っていた事を碧に告げる。
免疫力は碧の
噛まれるたびに小さな子猫を叩く訳にもいかないし。
「あ、そうなんだ。
ちなみに、ブリーダーってどうやって探すの?」
タブレットから目を上げて碧が尋ねる。
「ネットで調べてみたら?」
近所の知り合いのお姉さんもあっさりブリーダーにコンタクトが取れていたから、業者じゃなければ買えないとか言うことは無いはず。
だったらネットで検索したら出てくるだろう。
「おお〜。
本当だ、あっさり出てきた」
碧がタブレットにパシパシ入力し始めた。
「ちなみに、どんな猫を想定してるの?」
私としては自然な猫っぽい短毛のアメショーあたりか、綺麗なロシアンブルーなんかが良いのだが、禿げてて不気味なスフィンクスとか長毛で無ければ一応どれでも構わない。
長毛はねぇ。
ブラッシングが大変そうだし抜け毛が凄い事になりそうだから遠慮したい。
「う〜ん、やっぱり普通に可愛いのがいいかなぁ」
まあ、それは猫を飼おうと思う誰もが考える事だろうね。
でも。
「人によって感性は大分違うんだよ?
例えば毛が長いのと短いの、どっちが良いの?」
あとはブサ可愛系とすっきり美猫系のどちらが好みかだよね。
私としてはブサ可愛系よりも普通に可愛い方がいいんだけど、碧が主人になる猫だ。
彼女の主観で可愛いのを選ぶべきだろう。
「え〜と、取り敢えず東京のブリーダーに絞ってみるとして・・・。
やっぱ毛は短い方が良いかな?
・・・なんだって『エキゾチックショートヘア』って名前は
碧がブツブツ呟きながら弄っているタブレットを覗き込む。
確かになんか写真を見る限り毛がホワホワしていて長い様に見える。
「・・・不思議だね」
ブリーダーの所在地だけでは絞りきれないようで、碧が猫の種類を適当に選び始めた。
「おんなじ種類でもかなり見た目が違う猫がいるんだね。
純血種ってそう言う遺伝子的条件を固定した血統の猫だと思っていたんだけど」
碧が首を傾げながら呟く。
確かに、ロシアンブルーはほぼ同じに見えるが、ミヌエットとかエキゾチックショートヘアとかアメリカンショートヘアと書いてある種類では色々な色や顔の猫の写真が並んでいる。
「生後56日経たないと売れませんって買いてあるのに生まれてすぐみたいな幼い子まで掲載して貰いたくないね〜。
そう言うのを除外して検索できないなんて、使い勝手が悪いな、このサイト」
ブツブツ言う碧の後ろからサイトを眺める。
「この『こだわり条件追加』ってところで条件を追加できないの?」
指で条件追加と書いてあるタブをタップしたら、誕生月とか値段の条件とかが出てきた。
「おお〜。
・・・幼すぎるのを除外しても多いね、これ!!」
嬉しい悲鳴をあげながら碧がタブレットに出てきた多数の写真を片っ端からタップし始める。
「現在複数の子猫を売り出しているところを取り敢えず選んでみたら?
健康状態は碧が分かるだろうし、性格はある程度は私が分かるから、見に行ってその中から条件が合うのを選べば良いんじゃない?」
使い魔契約や従魔契約は実際に結ばなくても、その前段階で対象の性格や知性がそれなりに分かる。
元気な子かおっとりした子、好奇心が強い子や人好きな子など、好みに合わせた子猫を選ぶには選択肢が多い方が良いだろう。
一匹ずつ会いに行くのでは時間がかかりすぎる。
まあ、碧が拘りがあって特定の希少なタイプじゃないとダメってなったらそうも言ってられないが。
「う〜ん。
その場合はブリーダーから検索すれば良いのかな?
凛はどんな猫が良いの?」
「短い毛の方がいいね。
あとは、普通に美猫な方が、ブサ可愛いのより好きだけど・・・これはそこまで拘りはない」
不細工な猫に金を払う必要があるのかね?とは思うけど、出すのは碧だ。
・・・碧だよね??
こないだのロクデナシ男の案件では事前調査無しだった事に対する口止めを兼ねたらしき割り増し料金が振り込まれたし、『自炊したいから気の合った友人とハウスシェアする』と言ったら実家から引越し代を貰えたしでそれなりに余裕があるので私が半分猫代を出しても構わないが、猫は生き物だ。
猫の寿命が尽きる前に私と碧の同居が何らかの理由で解除された場合に、どちらが猫を引き取るかで揉めたく無い。だから所有権ははっきりしておく方が良いだろう。
猫を使い魔にしたり、白龍さまの助けで猫又に進化(?)させたりするなら尚更猫との付き合いが同居期間より長くなる可能性が高いし。
そこら辺、碧は考えてるのかね?
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