お仲間?
第10話 ラノベ生活クラブ?!
「和気藹々とテニスと遊びを楽しむサークルで〜す!」
「大学時代は一度きりなんだ!!
後で後悔しないように君の可能性をフルに伸ばそうじゃ無いか!
アメフトで思いっきり力の限りに闘おう!」
「校内でも1、2を争う規模の経済経営研究サークルで〜す!
知り合いを増やせば大学生活が更に楽しくなるよ〜!」
「内政チートをする為にまず必要なのは知識!
ラノベ生活クラブで色々研究しましょう!」
淡々としたラノベ好きキャラで高校デビューを果たし、部活は退職間際のおばあちゃん先生が薙刀の名人(?)だとかで想定外に高校にあった薙刀部に入り、おばあちゃん顧問の
集中力や記憶力アップの術をガンガン使いまくって勉強したお陰で部活や習い事にそれなりに時間を費やしても成績は中の上ぐらいをキープ出来たので、大学は辛うじて一流と言えなくも無いマンモス校に無事滑り込めた。
魔力も毎晩使い切って色々頑張ったところ、少しずつだが増えてきて収納スペースも今では中型リュックサックから1週間旅行用のスーツケースぐらいのサイズまで拡大した。
まだ衣替えの服を全部しまうには足りないが、魔力量の増加は止まっていないのでいつの日かは・・・と期待している。
ちなみに転移は3メートル程度が限度。
タブレットやPCに魔術でアクセスするのには未だ成功していない。
つまり、勉強に多少役に立っていた以外、相変わらず魔術はほぼ要らない子のままだ。
まあ、考えてみたら最初の前世の魔術と魔道具を総動員したよりも便利な生活が出来る世界に生まれたのだ。
魔術を無理に使う必要は無いかと最近は割り切っている。
ちょっとガッカリだけど。
大学で理工学部に入って色々と研究しようと言う目論見は、残念ながら哀しいまでに文系な頭のせいで潰えた。
記憶力マシマシ状態にすれば公式を覚えて当てはめるだけのテストはなんとかなるのだが、どうにも理数系の閃きが無いのだ。
理解力もちょっと微妙だし。
結局、理系は諦めて法学部に入ることにした。
魔術を活用してグレーな分野で活動する探偵や占い師になった際に、どこまで行くとグレーが黒になるかを知っておくのも必要かと思ったのだ。
記憶力だけで弁護士試験に受かりそうだったらそちらもアリかとも密かに考えている。
ちょろっとインターンっぽくどこかの個人事務所で働いた後は、自分で弁護士事務所を開いて探偵モドキな感じの事もしながら依頼人のトラブルを解決すると言うのも良いかも?と思っているのだ。
説明もできない技術を使ったスタートアップよりは親を説得出来そうだし。
しかも最初にクライアントと話す際にさらっと精神感応を使えば嘘をつかれているかも分かる。
クライアントの争いに精一杯肩入れして助けていたら、実は騙されていて悪人の片棒担ぎをさせられていたなんて言う事態は絶対に避けたい。
殺人でも隠しているんじゃ無い限り精神感応で知った内容を暴露するつもりは無いが、少なくとも悪人をクライアントとして受けないように出来るのは大きいと思う。
まあ、そこら辺は大学にいる間に実現可能性を調べていこうと思いつつ校内を歩いていたら、ちょっと不思議なサークルの呼び込みが耳に入った。
『ラノベ生活』??
「すいません、このサークルってどんな人が集まっているんですか?」
覚醒してからこの3年間、魔術を使っている人も魔力を露骨に垂れ流している人も見たことは無いが、それだけで自分のみが転生したと決めつける必要は無いだろう。
今時の日本で『私の前世は魔術師だったの!』なんて言ったらかなり痛い子扱いされる。
だが私と同じ古代の魔法陣を使った人間がもし現代日本に転生していたら、次の人生に備えて内政チートの準備をしていても不思議はない。
そんな人物がこのサークルを立ち上げたのかと思ったのだ。
もっとも、考えてみたら通りすがりの新入生に、サークル勧誘の最中で前世とか転生の話をする訳は無いだろうけど。
「基本的に、ラノベ好きが集まっているの。
ラノベファンで検証好きな人間が、ラノベにあるような内政チート技術がどの程度難しいか実際にやってみて確認しようって集まって作ったのがこのサークルなのよ」
呼び込みをしていた美人さんが答えてくれた。
なる程。
ラノベって確かに内政チートに関してはツッコミどころ満載だからなぁ。
それを実際に検証してみようって訳か。
面白そうだし、なんと言っても来世用に知識を身につけられそうだ。
自分一人だと素材集めとか実験場所とか色々難しそうなのだが、サークルで誰かが手配してくれるなら大分と助かる。
「どう、ラノベが好きならお試しで入ってみない?
実践してみるとますますツッコミどころが満載で楽しめるわよ〜」
笑いながら美人さんが言った。
「そうですね。
じゃあ、取り敢えずちょっとお試しで」
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注:ここは新型コロナが流行らなかった世界です。
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