第6話 ドラゴン
最初は夢の中にいると思ってた。
寝てたたら、突然知らない場所にいるなんて、誰だって夢なんだなと想像するもんじゃない?
ファンタジー好きが生じた、私が作った妄想…
ゾンビやスライム、ダンジョン、仲間と冒険…
小さい頃、憧れてた物語…その中には勿論、かっこよくて、強いドラゴン…
私が妄想してた物語には、いつもドラゴンを出してた
ある時は、恐ろしいボス…またある時は、頼りになる仲間
どんな時も、ドラゴンは強いイメージ
そんなドラゴンに、小さな私は、会ってみたい願望があった
けれど、こう大きくなって好奇心が臆病になった私が、実際に目の当たりにすると…口を大きく開けてこう叫ぶよね
「私はおいしくありませんんんんん!?」
「我を見て、第一声がそれか」
やれやれと首をふるドラゴン様
私ドラゴンさんに呆れられてる!?
これで、まずそうって思われたか!?
見逃してくれる!?
圧倒的な存在感にさらされると、こうも人間慌てるんだね!
私、そろそろ倒れそう!
なのに、どうして夜一はこんなに平然としてんだろう!?
すげぇー
「少しは落ち着かぬか、異界の娘よ
我は人を食わんから、安心せい」
「え!?本当に!?後から嘘って言わない!?」
「言わん、言わん
ほれ、果物でも食べるか?」
「食べます」
隣で即答かよというツッコミが聞こえるが、そんなもの無視です。
お腹が空いてるので、なりふり構ってられません
そうして、ドラゴンさんにどこにあったのか、尻尾で果物を渡してくださった
この果物…なんか…凄く蒼い…ドラゴンさんと同じくらい威圧感半端ない…
「どうした、リンゴは嫌いか?」
これ、リンゴだったんだ…
背に腹はかえられません!
えーい!ままよ!
覚悟を決めリンゴと言われる果物を食べる
シャリッ!
…うまっ!?
そして、なんか頭の中でレシピが組み立てられる
「んん!?頭ん中で青い瓶のレシピが!?
このリンゴ使われてるの!?」
私天才になってる!?食べたら作り方がわかるなんて…
ふむふむ…この果物の果汁を絞り出したのがポーションになるのか…
やっぱりポーションだったんだ、よかった夜一に変なもの飲ませなくて
それにしても、このリンゴもどきおいしいなぁ
程よい酸味と甘さ、いくられでもいけそう…
はっ!夜一にも分けなきゃ!きっと、指くわえて待ってるぞ!
「夜一君ぅ食べたい?これ食べたい?」
煽りながら聞くと、夜一は若干苛立ちながらいらないと答える
意地っ張りさんめ!君もお腹空いてるの知ってるんだからね!
ぐいぐいと頬に果物を押し付けるが反応を示してくれない…
むしろ、一ミリも動いてくれない…
「無反応は、私寂しい…」
「かまちょか!ていうか、このドラゴンの気でよく動けるな…」
「気?威圧感半端ないのはぴしぴし感じます!」
「そういうことじゃねーよ…しゃべることに精一杯なのに…
意外とうちのご主人様はすごいのか…?」
「はっはっは、それはこやつのスキルのおかげだ
お主も異界の娘の契約獣だからしゃべれるのだ」
いまいちピンとこないが、とにかく私がすごいって話ね!
もっと私を褒めてもいいよ!
そう調子に乗ってると夜一に足を甘噛みされた
「甘噛みだけど痛い!
そして、さっきまで動けなかったのに何で!?」
「我が気を消したからな」
「やっとこれでお前にからかわれないで済むぜ」
この野郎!そこでタッグ組んで!卑怯よ!
ドラゴンとワンちゃんの組み合わせなんて奇妙よ!むしろ、ドラゴンが入っただけでどんな組み合わせも奇妙すぎるけど
「うむ、それではそろそろ、話をしてもよいかな」
お話…ドラゴンさんがしゃべるお話…おとぎ話かな?武勇伝?
それとも、やっぱり人間を食べたいっていうお話!?
がぶっ
「夜一君やい…甘噛みでも痛いんだって…それに、そこ脛だから…
弁慶の泣き所…とても痛い…」
「いったん落ち着かせないと、いつまでたっても進まないと思ったから噛んだ
後悔はしていない」
「潔い!それこそ夜一君!」
「ほんに、うるさい小娘だな…異界の者はみなこうなのか?」
異界?
そういえば、さっきからこのドラゴンさん私のこと異界の娘って云ってるな?
「その異界の者ってどういう意味ですか?」
「おお、やっと我の話に耳をかたむけたか
このうちに我いっぱい話すぞ」
お茶目だな、このドラゴンさん
「ふむ、心して聞くのだ…
お主は、この世界の者ではない、別の世界からやってきたものだ」
「うん、それは薄々わかってた」
「…」
私が即答で答えたら、すね始めたよこのドラゴンさん…
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