第2話 寝起き
寝坊助なオルタを起こしに、部屋まで向かうと、大きないびき声が聞こえて来た。
毎日忙しくて疲れてるのは分かるけど、だからといってのんびり待ってやるわけにはいかない。
「オルタ! 朝よ! 起きなさいってば!」
「ぐがーっ、ぐごーっ!」
寝息が煩い。
デリカシーは無いし、生活はおぼつかないし、お子様だし、熱中しやすいし、オルタは欠点だらけだ。
でも、悲しいかな。
そんなダメダメオルタでも、好きになっちゃったら、駄目な所まで愛おしく思えてきちゃうんだから。
とありあえず、大きな声で「オルタ!」そう呼びかける。
すると、扉の向こうから「ぐがっ!? うおおお!!」そんな悲鳴と、どしんという音。
たぶんベッドから落ちたんだろう。
怪我してないか、心配だったけど、甘い顔をしていてはオルタのためにはならない。
ドアを叩いて部屋の中にいる彼を急かす。
「まったく、何してるのよ、さっさと起きなさいよ。朝の見回りの時間でしょっ!?」
「ううっ、いててっ。何だキャロか」
「何だとは何よっ。わざわざ毎朝こうして起こしに来てあげてるっていうのに!」
「えっ? ああ、いや悪い悪い。何事かと思っただけだって。あー、いてて。たんこぶできてねぇかな」
特に思う所はなかったらしく、オルタはそんな事を弁明しながら扉の向こうでゴソゴソと動き始める。「服どこやったっけ」とか。「あれ? 靴下どこだ?」とか聞こえて来て、すごく心配になる。
本当は部屋の中に入って、手伝いたいくらいだけど、年頃の男の子の部屋に入るのってなんか意識しちゃうから、扉が開いてない限りは控えている。
何でだろう。子供の頃は、そんな事気にならなかったのに。
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