『やましんの処刑』
やましん(テンパー)
『やましんの処刑』
『これは、フィクションです。』
『やましんを、正午、処刑に処す。中央広場である。罪状。役立たず。処刑方は、斬首。』
『役立たず、だってさ。』
やましんが、呻くようにささやいた。
『元、職場において関わった約1000人から、アンケートをとった。その結果を、コンピューター判断した。もちろん、局長、部長、課長による協議もした。どちらも、結果は、『役立たず』だった。ただし、コンピューターのほうは、ギリギリだったそうだ。人間の判断がものを言った。』
『ご丁寧に、どうも。どのくらい、ギリギリでしたか。』
『役立たずは、53、否が47、棄権なし。
棄権したら、危険だからね。』
『かんぶは?』
『全員一致。』
『はあ。おみごと。』
『処刑は、正午、あと、10分。そろそろ、晴れの広場に移動しよう。』
『なにが、役立たずの一番の原因?』
『細かいことは山とある。命令に従わない。上司に対する口答え。職員の和を崩す。』
『職員旅行で、よその観光客にやたら、ちょっかい出す所長を、無視したからかですか?』
『それは、ささいなことだ。計画会議に所長を、呼ばなかったとあるぞ?』
『所長は、わざと、日にちを間違えたんだ。課長に聞いてくれ、あのとき、一階の課長が、電話して所長を叱ったんだ。』
『そうした報告はない。さらに、君は、支給すべき手当ての支給日を故意に遅らせた。』
『あれは、二階の課長が、書類を、机の下に隠してたんだ。故意ではないだろうが。』
『まあ、いずれにせよ、君が悪い。君は組合の幹部で、反体制的だった。』
『みんな、自分は、やりたくなくて、新米の僕に押し付けていたんだ。そういえば、昼休みに所長の接客が悪くて、お客様を怒らせ、後始末は、ぼくだったりした。』
『そうした、記録はない。ガセだ。』
『ほう・・・ごみ焼却事件も、ない?近所から、クレームの、あらしだったが、焼却炉で、プラスチック燃やしたのは所長。ぼくが、いじめるというが、いじめられたのはぼく。いつも、深夜までの残業を余儀なくされたのも。ぼく。』
『載ってない。』
『なら、しかたない。』
『さあ、行こう。断頭台だ。あれは、苦しまないと、されている。』
『ほんとかね。』
断頭台への道は、最後の花道だ。
ベルリオーズでは、ちょっと、格が高過ぎるからだめとされた。
シベリウスの6番も却下。
すべて、却下。
やな、世の中だったなあ。
奥さんは、来なかった。
無理もないかな。
もっと、楽しい人生になるはずだったなあ。
🌹 🌷 🌸 🌹 🌻
『やましんの処刑』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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