深夜、私。
『』
-あなたからの連絡はまだ来ない。
湯船に浸かってスマホを触り始めると、何もしたくなくなって、ただボーッと画面を見つめて、指がふやけてきて、気づけば時間が過ぎている。そのボーッとしている間に色々考え、思い出す。今日のあれはダメだったとか、あれは良かったとか、あの時、こんな行動をすればよかったかも、とか。その中でも毎日、私はあの人のことが頭に浮かぶ。
あの人は私の心にいつも居座っている。私は「あの人のことが異性として好きなのか?」とか「気になるのか?」とか色々聞かれても、いつも興味が無いと答えるがそんなことは無く、ただ周りの人にこの気持ちを知られたくないだけだ。その理由はただ私が恥ずかしい、知られるのが怖いということもあるが、一番の理由はあの人には好きな人がいるからだ。
好きな人が私の事だったらどれだけ幸せなことだろう。あの人の口から好きな人がいると聞いたのは2年前の夏、仲のいい数人でご飯に行った時だ。前からそんな噂は聞いていたが、本当に好きな人がいて、その好きな人が私の苦手なあの子だと知ったのはその時が初めてだった。私とは何もかも違う苦手なあの子に、私はなりたいと思った。
そういえば、あの人から講義の件で連絡すると言われていた。連絡アプリを開いても連絡はまだだった。
半分諦めているのに、諦めきれない、底意地の悪い女だ。
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