第34話 朝の挨拶
二人はノックと、男性の「おはようございます」という声で目が覚めた。日は高く昇っているようだが、部屋は驚くほど寒かった。
占い師はちょっとだけ身なりを整えてドアを開けると、やはりY子さんが想像したとおり、昨日の警官だった。
「本当にありがとうございました、でもすいませんが、あなたの事を即公表は・・・」
「良いんです、危険横断をしたのですから・・・どうかお気になさらずに」
占い師のほうが「早く帰って欲しい」という感じだが、何せすっぴんでも可愛い彼女を見たい男の性なのか、すぐには話は終わらなかった。
「朝食の準備でもしていようかしら、いやいや、私はいないふりをしていた方がいいわ、きっと」
Y子さんは布団から体を起こした状態のまま、動かないようにしていた。すると、何だか、気分的かもしれないが、この部屋が前よりも明るく感じた。
「私より、とにかく彼女が住んでいるのだから。でもここは住居には向かないわ・・・寒すぎる・・・」
早く帰って欲しいとY子さんも思った。
「はあ・・・やっと帰ってくれました・・・・」
その言葉を聞いて、Y子さんはケラケラと笑った。
「本心ね、面白い」
「すっぴんですから・・・」
「それでもきれいよ、うらやましい」
「そうですかね・・・私、自分の顔を、メークするとき以外はあまり見ないので・・・時々違って見えたりするんです、頭がおかしいのかと思って・・・ちょっと調べてもらったりしました。すると脳のある部分がかなり大きいらしくて、それで幻覚に近いものを見るんだろうと言われました・・・」
「そう・・・」
でも二人ともお腹がすいたので、とにかく朝ご飯を食べることにした。
「朝のお味噌汁って本当に美味しいですね・・・」
意中の男性が言ってくれたら、うれしいことだろうとY子さんは思った。
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