楽 出逢いについて

はじめて君の存在を知った日

はじめて君の歌声を聴いた日

はじめて君の姿をみて涙した日

はじめて君と笑いあった日


とにかく幸せだったことを思いだす

その瞬間を 思い出すことができて

こんなふうに 死ねるなら 僕は

それも悪くはないと思えるんだよ


これまで積みあげてきた自分の体に

刻まれているすべての君との記憶が

移り変わるように闇にとめどなく走る


希望だ 希望が見えた


僕はなにも 恵まれなかったけれど

君にだけは 恵まれたと思えるよ


走馬灯よ ありがとう おかげで 

心がこのまま溶けて行けそうだよ

青空が広くてまるで鳥になった気分だ


ああ 心地良いなあ


あと ほんの数秒だけでもいいからさ

全身を煽るこの空の風を感じていよう


ずっと鳥になりたいと思っていた

大きな翼があれば 君のもとへ

飛ぶのも簡単だと思っていたから


最後に ようやくほんの少しだけ

夢が叶ったんだ ああ マリア様

もう 思い残すことは ありません

僕は 解放されて 楽になれます


次の未来があったとしても君とは

出会えないだろうけど それでも

今まで ありがとう マリア様

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る