怒 出逢いについて

出会わなければよかったと思った

何度も 何度も そう思った


これまであんなにたくさんの幸せを

もらっていたというのにもかかわらず

僕は とても 恩知らずな人間だから


苦しかった とても苦しかったよ


君なんか いなければよかったのに

そうすれば 僕は いまごろだって

安寧で自分らしい自分だけの生活を

過ごすことができていたに違いない


お金だって 溜まっていただろう

何の役にも立たない ポスターより

ずっとずっと 実用的なものだって

部屋にたくさん溢れていたに違いない


君に会いにいかなきゃいけないからって

スーパーでわざわざ野菜の価格を吟味する

そんな必要だって なかったはずなんだ


ああ 君に出会えなければよかった

そうやって 時の流れについていけない

自分自身のことが いちばん嫌いだよ

こんな八つ当たりはクソの役にも立たない

僕は僕のことが 嫌いで仕方ないの


どうして 君は僕を 幸せにするんだ

もうやめてほしいの どうして笑うの

もう泣きたくないの 憂いたくないの

だから 出逢いたく なかったのに

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