第13章後編『つなげる』
###対邪神教合同作戦会議###
イベント予選が開始した日の夕方頃。
リンの家にて2人の来客があった。
1人はいかにも斥候な男性、もう1人はいかにも騎士な女性である。
「やっほ〜、つるぎちゃん元気〜?」
「リンさんこんばんは! 私はいつでも元気ですよ!」
「……うわ男の肩身狭いな。邪魔するぜー」
来客の正体は、
今回他の多くのプレイヤー達を代表して彼女らが集まったのには理由があった。
「お茶出すから適当に座ってちょうだい。あ、2階は行かないでよ。リアちゃんが寝てるからね」
「サナちゃんはウイスちゃんにゾッコンだね〜。母性ってやつ〜?」
そんなこんなで、少しずつ勢力を増やしてきた邪神教を打倒しようという主旨の会議が始まった。
司会、進行は年長者であるパナセアと不公平が行うことに。
「まずは戦力の確認からしようか。〘
「んでリンの嬢ちゃんとサナの嬢ちゃんの2人、〘
「いっぱいです!」
「このアホはほっといてくれ。頭数ならだいたい500だと思ってくれればいい。実力はそっちと比べたら圧倒的に物足りないだろうな」
「だとさブレイン」
「……小っ恥ずかしい呼び方はやめてくれ。――しかしそうだね、その数の不死身な兵がいるならそれこそ敵のアンデッド軍団に当てれる」
「町を直接守るのは〘大連合〙に任せる感じなの?」
サイレンの問いにパナセアは少し思案してから答える。
「向こうの狙いが町にあるのならそうだが、未だに目的が不明なんだ。そうだね?」
「1回敵の親玉と戦ったんだけどね〜」
「残念ながら引き出せなかったわ。愉快犯の可能性も否めないけど」
この中で最も(不本意ながら)付き合いの長いリンとサナがそう答える。それを確認してから、パナセアはこの辺りの地図をとりだして机に広げた。
「不公平くん。よろしく」
「ったく人遣いが荒いやつだな。今度上手いヤニ作ってくれよ?」
文句を言いながら不公平は自身のメニューからメモ機能とアルバム機能を開いて、ペンでバツ印をつけていく。
「これは連中の目撃情報を赤、何らかの被害があった地点を青で分類したものだ。ソースはリンくんとサナくん、コガネくんと不公平くんで手分けした聞き込み調査だから正確性はぼちぼちだ」
あくまで聞き込みがメインなため、人々が恐怖から誤認した情報の可能性もあると注意した上でパナセアは続けた。
「見ての通り、王国が活動範囲なのは分かる。そして被害のバリエーションはそこまで多くない」
「墓荒らし、家畜強奪、鉱山の独占、そして数え切れないほどのPK行為ってとこだな。意外と一線は超えてない印象があるな?」
「確かに村人の虐殺とかしてると思ってたんだが意外だな」
「それでも悪は悪です! 許すまじです!」
「この際連中を許す許さないの話をするつもりはない。戦うのを前提とした会議だからね。話を戻すが、先程挙げてもらった被害情報からするに、今までの活動は戦力の増強が目的だと思える。だからこそ、真の目的がつかめないんだ」
それを聞いて、皆それぞれ考え込む。
しばしの沈黙を破ったのは、今まで事の成り行きを見守っていたコガネであった。
「パナセアはんが言いたいんは、どうにかして先手を打ちたいってことやろ?」
「可能ならそれが1番良いだろうね」
「せやんな? やったら――」
コガネは一瞬瞑目してから、言い放った。
「明日、行こか。うち本拠地知ってるさかい」
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