第2話 亮が…

「パパァ!鶴さん折れた!」

「お、亮は器用だな。いい子だ、いい子だ」

亮の父親は大企業の専務で、親心か、只、自慢したいためなのか、亮の事を会社であっちの人には、折り紙の鶴、こっちの人には、顔が男前、尽きる事の無い、息子の利口な所、幼稚園からとても可愛らしい顔を、部下や同僚に…まぁ、お腹いっぱいです。

と言わせる子煩悩だった。


ある日、幼稚園のなかで、小さな喧嘩が起こった。

それは、亮が片方を背負って、残りは八割、相手の責任だった。


しかし、母親が迎えに来ると、

「あーくん、二度とこう言う事は起こしちゃだめよ?パパ、カンカンなんだから!しっかり反省して、パパに謝りなさい!」

と、自分の言いたいことは一つも言えず、只、亮が引き起こし、亮一人が悪い、みたいに思われたのか?と、とても心配した。

(違う!パパはいつも僕の事いい子だって言ってくれてたもん!あーくんがちゃんと言えば分かってくれるよね?)


自分に言い聞かせて、亮は母親のスカートに隠れて、恐る恐る家の敷居をまたいだ。


「パパ…ただいま」

「……」

「パパ?」

「何がただいまだ!」

「え…」

「お前のせいで、父さんの顔に泥を塗ったんだぞ!反省しなさい!今日は晩御飯なしだ!いいな!」



亮は間も無く、母親に細い手首を固くつかまれ、部屋に閉じ込められた。



(どうしよう!どうしよう!パパに怒られちゃった…!僕あんまり悪い事してないのに…どうして話しくらい、聞いてくれてもいいのに…)

幼いにしては、物事をちゃんと理解していた亮は、父親に、何故あんなにも怒られなければならないのだろう?そう思った。


(そうか…あーくんがもっといい子になれればパパも褒めてくれる!)



そして、亮はもっとになると誓った。



ある日、幼稚園のなかで、小さな喧嘩が起こった。

それは、亮が片方を背負って、残りは八割、相手の責任だった。


しかし、母親が迎えに来ると、

「あーくん、二度とこう言う事は起こしちゃだめよ?パパ、カンカンなんだから!しっかり反省して、パパに謝りなさい!」

と、自分の言いたいことは一つも言えず、只、亮が引き起こし、亮一人が悪い、みたいに思われたのか?と、とても心配した。

(違う!パパはいつも僕の事いい子だって言ってくれてたもん!あーくんがちゃんと言えば分かってくれるよね?)


自分に言い聞かせて、亮は母親のスカートに隠れて、恐る恐る家の敷居をまたいだ。


「パパ…ただいま」

「……」

「パパ?」

「何がただいまだ!」

「え…」

「お前のせいで、父さんの顔に泥を塗ったんだぞ!反省しなさい!今日は晩御飯なしだ!いいな!」



亮は間も無く、母親に細い手首を固くつかまれ、部屋に閉じ込められた。



(どうしよう!どうしよう!パパに怒られちゃった…!僕あんまり悪い事してないのに…どうして話しくらい、聞いてくれてもいいのに…)

幼いにしては、物事をちゃんと理解していた亮は、父親に、何故あんなにも怒られなければならないのだろう?そう思った。


そして、亮はもっとになると誓った。




―亮高校入学―

「父さん、おはようございます」

「おお、おはよう亮。亮今日は高校生になって初めての実力テストだったな」

「はい」

「しっかり勉強してきたんだろうな?」

「はい。僕は将来、父さんのような人になりたいですから」

「ははは。お前はお世辞も覚えたのか?」

「父さんの息子なんですから」

「いい、いい、ずっといい子でいなさい」

「はい…」

「じゃあ、行ってらっしゃい、あなた。亮、あなたも遅れないようにね」

「はい。もう出ます」



「ふー…」

深い溜息をついた。父親が車で遠くに行くまで、ゆっくり歩く。

なんだか、この家は気楽じゃない。

普通なら家にいれば、お菓子を食べたり、ジュース飲んだり、漫画を読んだり、好きな芸能人のファンクラブのインスタをチェックしたり、その後、にぎやかな夕ご飯。



亮は違った。部屋にあるのは参考書だけ。お小遣いはほとんどなく、新しい参考書を買いたい時くらいだ。

それを買う度、緊張で息が早まる。

何故なら、父親の、家を出て行かせる、と言う地獄のような約束を、高校生でそれを一発目から試されるのだ。

きっと、父は本気だ。


毎日参考書を読みかじった。しかし、亮はそんなに悲観的でもなかった。小、中から、学年一の成績を残し、高一で高三のテストの一部の、問題をすらりと解いた。

亮のポテンシャルは、相当だ。


そんな亮だったから、高校でもそのポテンシャルは、半端じゃない。

そしてテストが終わり、結果が壁に張り出されると、見事、亮は一位になった。


ホッと胸を撫でおろし、家に帰って、意気揚々と父親に『やったよ、父さん!』

それだけ痛くて、会社の専務ともなれば、もちろん定時では帰られない。

夜中、亮が自分が一位になった事を、父に一早く伝えようと、眠い目をこすって、父の帰りを待った。


十一時、やっと父が帰ってきた。全科目九十点以上。父さんが高校で初めてのテストで、納得いく結果を出した亮に、どんなに喜んでくれるか…、とても胸がざわざわした。


父が帰ってくるのを心待ちにしていた、亮は、玄関から父の声が聴こえたよな気がして、慌てて下へ降りて、玄関へ向かった。


「父さん!お疲れ様です。僕、一位になりましたよ!」

「当たり前だ。そんな事を伝えるために私を待っていたのか?」

「あ、はい…」

もっと喜ぶ顔が見たかっただけなのに、父はテストの点数だけを各科目ペラペラとめくり、

「九十一点があったぞ。もっと努力しなさい。それより、こんな時間まで起きてていいのか?朝は妃も起こさないと高校生になった時から決めているんだ。寝坊でもしたら、学校に走れば何とか間に合う、その間ずっと玄関で正座だ。分かったらもう寝なさい」

きさき、風呂だ。」

「はい。あなた」



自分が思い描いいた父の反応と、実際の父のやり取りが、これだけだった。

九十一点は確かに他の科目と比べれば一番低かった。

しかし、後の四科目は、数学九十九、英語百、国語九十八、理科九十八。

誰がどう見ても、とても博学だ。

しかし、父が言った、社会だけが、九十一だった。

その夜、亮は眠れなかった。


その翌日、父が苦言を呈していた、をしてしまのだ。

急いで支度をし、階段から降りてくると、真下にいた父親に平手打ちを食らった。


「そらみろ!油断しているとこうなるんだ!今日は、二十分正座してから学校に行きなさい!」

「行ってらっしゃい。あなた」

「あぁ」


左の頬が痛い。口の中も切った。


「あのさ…母さん、俺頑張ったよね?母さんは…分かってくれるよね?」

すがる思いで、母に涙を浮かべながら、尋ねた。

どれほど、優しい言葉が聞けるだろうと、只々祈った。

しかし…、

「甘えるのも良い加減にしなさい!あなたもう高校生なのよ!?お父さんの機嫌悪くするのだけはよしなさい!」





亮が…………………キレた。

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