第25話 サンドゥの里 ~職人の町~

 エビルファング討伐の功績で、ミレスはBランク、ルナリスはAランク、フェレティスはCランクの冒険者に昇格し、剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドもBランクのクランへと昇格した。


 そんなレオネス達は現在、サンドゥの里へ向かう道中で、魔物と交戦していた。


「武器が故障中なんだぞ、勘弁しろよ」


 魔物に愚痴るレオネスだったが、全員、一応の戦闘は可能であった。

 レオネスは魔力の剣である魔刃剣フォースエッジを槍状に変化させた魔刃槍フォーストライデントを用いて、魔物と交戦。


「なんだか、魔法で戦うのも久しぶりな気がする……」


 ミレスはサブウェポンの剣が曲がってしまっているが、メインウェポンである杖は問題なく使えるため、本来の魔法使いとして、魔法で戦っている。


「ちょっと調子狂うけど、、まあ、やれないことはないわね」


 ルナリスは二挺拳銃の内、片方が故障したが、もう片方は無事なため、一丁の魔法銃で戦っている。


「みなさん、大変ですね」


 フェレティスに関しては、どの武器も故障しておらず、また、ルナリスとの修行で実力を上げたため、現在の剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドの主戦力となっていた。


「これで終わりか」


 魔物を駆逐し、戦利品である魔石を回収する。


「しかし、俺たちについてきて良かったのか、ルナリス?」


「うん? ついてきちゃ、ダメだった?」


 魔石を拾いながらルナリスに問いかけるレオネス。


「いや、今までソロで冒険者やってたんだろ?」


「ああ、そのことね」


 ルナリスは剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドについてきた理由を話す。


「エビルファングも消えて肩の荷が下りたし、誰かと組むのも良いかと思ってね。あなた達には借りがあるし、剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドには弟子がいるしね!」


 ルナリスはフェレティスを見て微笑む。


「そうか。なら、剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドの一員として、これからもよろしくな」


「ええ、こちらこそよろしくね」


「それはそうと、勝手に買った魔法銃の代金は返してもらう。剣の魔術師ウィザーディング・ブレイドの一員になったんだからな」


「うげぇ~……」



◇◇◇



 サンドゥの里に到着したレオネス達。

 武器の修理のために、武器屋を訪れる。


「どうですか? 直りそうですか?」


 レオネス達は各々の武器を武器屋に見せる。


「うーん、これは損傷がひどいな。修理するより、買い替えた方が安いぞ?」


「うーん、じゃあ、この機に新しい剣に買い替えようかな」


 ミレスは武器屋の言葉を参考に、修理より買い替えを選ぶ。


「こっちの魔法銃は内部パーツを取り換えれば大丈夫だ、時間が空いているなら今からでも部品交換できるけど、どうする?」


「レオネス、今からでもいいかしら?」


「構わないぞ」


「ありがとう。じゃあ、今からパーツ交換をお願いするわ」


 ルナリスの魔法銃は修理可能とのことで、修理を依頼する。


「最後に兄さんの剣だが、これはスマンが分からん」


 武器屋の意外な言葉に驚くレオネス。


「分からんって、どういうことです?」


「いや、この剣が痛んでいることは見ればわかるんだが、特殊な製法で作られているみたいでな、ワシのところでは修理できんが、製作者、もしくは製作者の流派の鍛冶師なら何とかなるかもしれん」


「うーむ、流石は師匠の形見。ただの剣じゃないのか」


「まあ、分解して調べれば、誰が作ったかぐらいは分かるだろう」


「なら、調べてください。それで、自分で製作者のところに行ってみます」


「分かった。魔法銃の修理もあるから一時間後にまた来てくれ」


 レオネス達はルナリスの魔法銃の修理の間、時間を潰すために町を散策する。


「そうだ、魔法の小袋マジックポーチ買っていい?」


 ミレスが道具屋の前でレオネス達に声を掛ける。


「ああ、そういや持ってなかったんだっけ?」


「そうそう。まあ、レオネスがでっかいの持ってるから、いらないかとも思ったんだけど、やっぱり自分の魔法の小袋マジックポーチを持ってた方が良いかなと思ってね」


「そうね、せっかくだから私も何か小物を見ようかしら」


 ルナリスも道具屋での買い物する気になった。


「フェレティスも何か買うか?」


「そうですね、魔石弾を買い足しておきます」


「んじゃ、俺も何か見るか」


 各々、買うものがあるため、道具屋でそれぞれの商品を物色、購入する。

 それぞれの買い物を終え、道具屋を後にするレオネス達。


「座れるところにでも行くか」


 広場に移動し、ベンチに腰掛け、道具屋で買ったものを見せ合う。


「ルナリスは何を買ったの?」


 ミレスがルナリスに問う。


「マジックポーションを三本よ」


「そういえば、ルナリスって回復魔法が使えたんだっけ?」


「まあ、応急処置程度の軽いものだけどね」


「いいなー、私は光属性の適性が無いから回復魔法は使えないのよねー。フェレティスは魔石弾だっけ?」


 今度はフェレティスに問うミレス。


「はい、あとは魔物図鑑を」


「魔物図鑑も?」


「はい、今までは回収者レトリーバーで戦いませんでしたが、今は魔物とも戦えますので、勉強に」


「へー、えらーい!」


 ミレスに褒められ、少し恥ずかしくなるフェレティスだった。


「レオネスは何を買ったの?」


「俺もマジックポーションだ。今は剣魔法が頼りだからな、魔力切れは死活問題だ」


「あー、確かに。ていうか、そういえばレオネスって魔法も使えたんだった。剣術の印象が強すぎて忘れてた」


 広場で会話している間に時間は過ぎ、魔法銃の修理が終わっているであろう時間となっていた。


「それじゃ、そろそろ武器屋に戻るか」

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