13話 自己紹介

「えー、全員そろったかな。私はここの1年Sクラスの担任と、魔術の講師をするアン=コンジュルという。よろしく。さて、さっそくだが自己紹介をしてもらう。誰からする?」




先生はこの美人な人か。うーん。ちょっと思春期には刺激が強すぎるような・・・




「せんせー、自己紹介は何を言えばいいんですか?」




「自己紹介は・・・自分の名前とこの学園での目標、趣味、得意なこと、好きな食べ物、などなど。とにかく自分のことがわかれば何でもいいぞ。わかったか?」




「ありがとうございまーす。」




「そんなことは置いといて、誰か最初にやってくれる人はいるか?」




「はーい!私からする。私の名前はコアー=フィーネっていうの。趣味はお菓子作り、得意なことは魔法・・・とか、勉強とか?ほかには~~~~~~~」




★★★★★★


30分経過。




「~~~~~~~~」




「おい、君が言えよ。」




「なんでだよ。お前が言えよ。」




・・・クラスがざわざわしている。




理由は単純明快、このコアー=フィーナとかいう奴がもうかれこれ30分くらい自己紹介をしているからだ。




こいつよくそんなに自分のことが出てくるな。もうこんなにしゃべってるとかえって、尊敬に値するのかも。




・・・誰か言えよ。


まあ確かに、こんなに気持ちよくしゃべっている様子を見たら、そんなこといえないと思うけれど、誰か一人くらいはツッコんでくれてもいいんじゃないかと思うんだけれど。




★★★★★★


さらに30分経過。




ふぅー。




「長いわ!」




「えっ!?私そんなに話してた!?」




「「「「「自覚なかったんかい・・・(; 。∀。)」」」」」




「えっとぉ、じゃあ最後にさっき話した通りだけど・・・」




「もういいわ、ありがとうコアーさん。じゃあみんなもよろしくって言って~」




「「「「「よっ、よろしく~。」」」」」




「次はだれがする?」




「俺がしよう。俺の名前はデイム=ムンガスというものだ!好きな食べ物は焼きそばだ!特技は体術などだ!この学園では生徒会長になりたいと思っている!よろしく頼む!」




「「「「「よろしく~。」」」」」




長くなくてよかった。




暑苦しい奴か。まあクラスに一人がいる奴だな。




あんまり関わりたくない。




★★★★★★




とうとう来てしまった。




「さて、残りは・・・」




「・・・俺の番か。」




「えー、俺の名前はテル=ハングルです。えっと、Sクラスの主席です。えー、好きな食べ物はコロッケと寿司とやらかい肉、嫌いな食べ物はブロッコリーとショウガです。よろしくお願いします。」




・・・どうだ、この素晴らしい自己紹介は。皆俺の自己紹介に驚いて声も出ない様子だぞ。




「「「「「・・・それだけ?」」」」」




「え?」




「「「「「え?」」」」」




「え?」




「「「「「「え?」」」」」




「え?」




「あーっ、もう!だぁーかぁーらぁー、過去最高得点でイコール学園に入学したSクラス主席の自己紹介がそんな陰キャだだ漏れで短いもんでいいのかって聞いてんの?」




「なっ!?」




陰キャ、陰キャ、陰キャ?!




陰キャなんて短語久しぶりに聞いたぞ。




「うっせー!自己紹介で1時間喋ってるやつに言われたくねーわ!このクソビッチが!」




「ビビビビッチですってぇ!?このぴちぴちの6歳児になぁーに言ってくれてんのよ!そもそも私はまだ処女・・・とにかく!陰キャの童貞に言われたくないわよ!」




どうしよう、こいつめちゃくちゃぶん殴りたい。




「終わりだ!俺の自己紹介は終わりだ!1時間喋られるより短いほうがいいだろ!!次!」




自己紹介は・・・終わった。というか終わらせた。

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