第228話子猫(タビ)に逢いたい ! 前編

【洋子side 】


茂手内もてない 洋子


それが私の名前です。 彼氏は居ませんが、決して『モテない』訳ではありません。

この間、勇気さん から『 子猫 』の話を聞いて、どうしても逢いたく成りました。( 本当は先輩だけど、本人が嫌がるので『さん』付けしといます)


なので、勇気さんに メールをしたら『 OK 』が出たので、大江戸先輩の家に遊びに行こうと思っています。

視線を感じて振り返ると『 ジィー 』と見ているコロッケに気がつき


「 コロッケも子猫の頃は可愛かったのに、今じゃすっかりふてぶてしく成ったわねぇ~ 」

と言ったら、外方そっぽを向かれてしまった。

ねたかな ? そう、思ってコロッケを抱き上げ………重っ !


「 冗談なんだから拗ねないの ! アンタコロッケの代わりに、タビちゃんに会ってくるからね !」


「………………ニャ ! 」


一声だけ鳴き、尻尾だけユラユラと揺らしていた。



♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



大江戸先輩の家に着いたけど、村長の家だけあって平屋だけど大きな家だなぁ~


噂によると、由利子先生やハルト先生とハルト先生の妹も一緒に暮らして居るらしいけど、勇気さんは大江戸先輩と二人きりに成りたいとか思わないのかなぁ~…………思わないんだろうなぁ~

中等部にいた頃、勇気さん達の登下校を見ていたけど 恋人同士と云うより仲の良い家族みたいだった………だから『大江戸ファミリー』なんて言われていたんだけどね。


玄関の前で掃除をしていた瞳先輩に挨拶をした。


「 良く来たな 洋子、話は聞いているから中に入って良いぞ 」


「 ありがとうございます。 それでは失礼しますね 」


私が玄関から入ろうとすると、


「 ………洋子、その後ろの猫は お前の猫か ? 」

瞳先輩の言葉に振り返ると、コロッケが当然のように追いて来ていた。


アンタコロッケ、いつの間に追いて来たのよ ? 」

私が言うと、


いや、洋子が乗ってきた自転車の後ろのカゴバックから飛び出して来たぞ 」


「 私の自転車がパンクしていたから、お母さんの自転車を借りたんだけど 一体いつの間に潜り込んでいたのよ ! 」


「 ニャッ ! 」

当然 ! と言ったように聞こえたけど………気のせいよね。

今から追い返す訳にはいかないし、しょうが無いなぁ~


「 悪さをしないように見張っているので、コロッケも一緒に お邪魔しても良いですか ? 」

おそるおそる聞いてみると、


「 一応、家主の 仁 の許可がいると思うが大丈夫だと思うぞ。

どれ、私が仁に聞いて来るから待っていてくれ ! 」

そう、言い残して瞳先輩は家の中に入って行ってしまった。



玄関前で待っていると、


「 仁から許可を貰えたから中に入っても大丈夫だぞ 」

瞳先輩が玄関を開けて招き入れてくれた。


「 お邪魔します 」

………楓先輩と ハルト先生の妹らしき金髪の女の子 そして、眼鏡をかけた女の子が私が抱えているコロッケを見るなり


「「「 あぁー ! やっぱり、この間のデブ猫だぁー ! 」」」

と、指差しして騒ぎ始めていた。

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