第33話 瞳ちゃんのターンと親友の応援


【 瞳side 】


 私は、ある事に気がついた。

 針に

エサ』を、つけるのを忘れていた。

 道理で釣れない訳だ………

 そっと、仁を見た。


 まだ、気付かれていないようだな。


 瞳

「 仁 !

 どうやら今日は、駄目みたいだな

 こういう日もあるさ !

 今日は、ここまでにして帰ろうか

 また、今度来る事にしよう 」


 仁

「 そうだね

 また今度、釣りに来ようね

 次は、リベンジだね 」


 仁の笑顔がまぶしい。

 バレてないよな………


 私達は、釣具を返してから帰ることになった。

 スーパー『ドウミヤ 』に寄ろうとしたけど

 昨日のカレーが、残っているらしいので

 真っ直ぐに帰ることになった。


 道中 私が、仁の手を見ていたせいか


「 瞳ちゃん

 良かったら手を繋いで帰ろうか ? 」


 差し出された仁の手に

『 どっきり 』 していた。


 帰り道

 仁と手をつないだだけで、うれしくなった自分に

『 我ながら チョロいなぁ 』

 と 思っていた。



【 伊予side 】


「伊予 !

 お前の友達が、返しにきた釣具セットだけど

エサ』が手付かずなんだけど、

 一体何を釣っていたのかな ? 」


 お父さんの言葉に

『 あちゃー きっと、餌をつけるのをわすれたなぁ~

 でも、仁くんと上手くいっているみたいだし成功なのよね。


 伊予

「 きっと『 恋 』を釣っていたんだよ !」


 伊予の父

「 そうかぁ~

 でも『こい』は、釣れなかったみたいだなぁ 」


 伊予

「 そうでもないみたいよ 」


 頑張れー 瞳 !



【 瞳side 】


 冷たいお茶を飲んで、二人でくつろいでいる。

 もう、夕方かぁ

 時間が経つのは、早いなぁ


 仁

「晩御飯まで時間はあるし、何かやろうか ? 」


 この家には私達が、持ち込んだ『将棋』『オセロ』『トランプ』『ジェンガ』がある。

 トランプは、旅行で散々やったし

 将棋やオセロは、私が最弱なのだ。


 瞳

「 よし、ジェンガだ !

 使う指は、二本だけ抜き始めたら必ず最後まで抜くルールでどうだ 」


 仁

「 よし、やろうか !

 罰ゲームは、どうするの ? 」


 瞳

「 無難に『 シッペ』で良いだろう 」


 仁も了承してくれた。


 集中 集中、 抜いている手が震える。

 交代 交代でやって行く内に 、どんどん積み木が高くなっていく。

 互いに譲らず、どのくらい時間が経ったのだろうか。

 ついに決着がついた。


 仁が、汗で指をすべらせて崩してしまった。


 仁

「 あちゃー 負けちゃったなぁ

 瞳ちゃんも集中力が、凄いね

 じゃあ、罰ゲームだね 」


 瞳

「………仁、目をつぶってくれないか 」


 仁

「 お手柔らかに頼むね 」


 私は目を瞑っている仁に抱きついて、キスをしていた。


 瞳

「 好きだ、仁 !

 勝手にキスをして、すまない

 だけど もう気持ちが、押さえられないんだ」

 私は、いつの間にか涙を流していた。


 仁

「 瞳ちゃん 好きだよ 」


 そう言って、もう一度キスをしていた。



 晩御飯のカレーは辛口なのに、

 その日は、甘く感じた。





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