第29話 楓ちゃんのターンです

「 行ってきま~す ! 」

 勇気ちゃんが、出掛けて行った。

 今日から二泊三日の合宿だそうだ。

【 楓side 】


 チャ~ンス !

 勇気ちゃんが、留守の間に仁くんと仲良くなるのだ !

 瞳ちゃんと相談した結果

 最初の一日目を私が、ゲットした。

 やったね ! 楓ちゃん。


 明日の朝まで仁くんと二人きりだ。

 瞳ちゃんも実家に帰っている。

 由利子先生も勇気ちゃんと合宿だから

 邪魔する人は、いない。


 朝食を食べた後、お茶を二人で飲みながらいろいろな話をした。

 こうして、じっくりお話をするのは初めてだわ。

 仁くんとの距離が、少し縮まった気がした。


 お昼は、オムライスに決まった。

 仁くんが、隣でチキンライスを創っている。

 結構、手際てぎわが良いなぁ~

 私は、上に乗せるオムレツを創りながら

「仁くんは、本当に料理が上手だよね

 何時くらいから料理をするようになったの?」

「 う~ん、両親が仕事で居ない時が多かったから、小学三年生の頃には 簡単な料理を創っていたよ 」


 今の時代 男の子達は、大事に育てられて

 わがままで、何も出来ない子が多い。

 そういう意味でも 仁くんのような男の子は、貴重な存在だ。


 仁くんが、チキンライスをお皿に盛ったので、出来上ったオムレツを上に乗せた。


「 ねえ ねえ 仁くん !

 ケーキ入力みたいに二人で包丁をいれようよ」

「 楓ちゃんは、面白い事を考えるね

 いいよ、 やろうか ! 」


 結構、ノリが良いなぁ~

 やっぱり この人で、良かった。


「「 ケーキ 入力です ! 」」


 二人で一緒に包丁を持ち切れ目を入れて

 それを広げて、ケチャップをかけた。

 もちろん、ハートマークだ。


 スープは、手を抜いてインスタントだったけど、二人で食べさせ合って 新婚さんゴッコをした。

 これ、かなり楽しい。

 また、いつかやろう !


 夜、カレーライスを食べた後、二人でテレビを見た。

 とても恐いホラー映画だ。


 よし !

 タイミングを見て『 こわ~い恐い !』と言って抱きついちゃえ !




 集中しているせいか、とても静かだ。



 ここだぁー !

「 キャー こわ~い ! 」

 私は、仁くんに抱きついた………

 アレ、反応が無い。


 ゆっくり仁くんの様子をみると、白目をいて気絶していた。

「 キャー 仁くん ! 」

 息は、しているよね。

 私は、急いで確認をしたのだった。


「 良かった。 息をしているわ


 彼をその場で寝かして、タオルケットをかけた。

 ホラー映画、苦手だったのかなぁ。

 私に付き合って、我慢して見てくれたのかなぁ ?

 彼に膝枕ひざまくらをしながら目を覚ましたら、謝ろうと仁くんの髪を撫でながら思っていた。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る