巫女のコスプレをしたら緑のたぬきに目覚めました!

無雲律人

前編:JK無雲、巫女のバイトをする!

 あれは今を遡る事二十数年前。無雲むうんがまだピッチピチのJKだった頃の話。



 JK無雲は今と大して変わらないメンタリティーの持ち主で、珍しい事大好き、面白い事大好き、楽しい事が大大大好きな若者でございました。



 JK時代の無雲といえば、規律の厳しいお堅い私立の女子高に通い、日々勉学と部活に……励んではいなかったんだなぁ、これが。お勉強はしていたけどね、部活は週二回しかなかったし、しかも大した活動もしてないような部活だったし、主にやっていた事は当時珍しかったパソコン! ネットで大学生のお兄様達と楽しくチャットしたり、オフ会行ったり、HTML組んで自サイト運営したり、無料ソフトで音楽制作していたり、そんなヲタクなJK時代だったわけですよ。



 高校自体は規律も厳しくてね、バイト禁止ときたものですが、無雲はこっそり色々とバイトをしていたのです。某ゲーム会社のアルバイトとしてゲーム大会やゲームショーで働いたり、とんかつ屋のキッチンで働いたり、ファミレスを三日でばっくれたり、色々していたわけですが、その中に、そのバイトはあったのです。



 そう……年末年始の巫女バイト!!!



 基本ヲタクの無雲なのですが、このバイトは友人に誘われましてね、お金云々よりも巫女のコスプレ(!?)が出来るってんで飛びつきました。バイト代はびっくりするほど安かったんですけど、何せ巫女のコスプレ出来る機会なんて滅多にないからねぇ、嬉しかったですよ、そりゃ。



 で、その巫女バイトなのですが、業務内容は売店でお守りやおみくじ売ったり、お屠蘇とそをひたすら注いだり、境内の掃除をしたり、難しい事はしないのです。年末は三十日から出勤で、お正月は三が日全て出勤の五日間だけの超短期間バイト。大晦日は神社に泊まり込みして徹夜で参拝者を迎え撃つのです。



 これだけ書くと、『楽勝バイト』に見えるのです。そう、楽勝。楽勝なはずだった。大晦日が来るまでは楽勝だって思っていた……。

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